<思案橋付近>
“さるく”というのは、長崎弁で「歩く」の意味だそうです。
知っている人は知っているのですが、いま長崎では、「長崎さるく博」という、まち歩き博が開かれています。
今回の旅行の目的は実はこれです。一体どんなことが起こっているのか、確かめてきました。
まず、まち歩きの基本的な仕組みですが、 定番コースをボランティア・ガイドの案内でまわる「長崎通さるく」、自分でまわる「長崎遊さるく」、専門家がガイドする特別コース「長崎学さるく」の3種類があります。このほかに、体験やイベントなども。
「長崎通さるく」は週末に集中的に開催され、平日は少しずつ開催のようです。
週末なら朝夕2回の時間設定がほとんど。一部、夜景を見るコースなどがあります。
各コースは定員15人ぐらい(予約制)。でも多いと2班出したりしています。案内は、ボランティアのガイドさんとサポーターさんの2人が付きます。
私は、
通さるく「文人墨客も思案した? 〜丸山巡遊〜」
通さるく「長崎港水辺散策 〜出島ワーフ・長崎水辺の森公園〜」
の2つに参加しました。
まず夕方の丸山コース。参加者は2班で25人ぐらい。
丸山は、江戸の吉原、京の島原と並ぶ花街だったとか。
(・・・とおっしゃってました)
道の突き当たりにかわいらしい丸山交番が立っています。
このあたりに明治期まで大門があったそうです。
こちらは史跡料亭花月の石畳。
ここは、丸山を代表する妓楼「引田屋」だったそうです。かなり広い。
ほかにも長崎検番、梅園身代わり天満宮、中の茶屋、料亭青柳などまわりましたが、ガイドツアーなので、あまり写真を撮れませんでした。
翌日朝の水辺散策コース。
まず川に蓋をして作られた市場の見学から始まります。
右が市場の背中。手作り感のある市場で、鮮魚が売られています。
港を眺めながら散策します。
海岸にはショッピング施設や美術館が建ち、新しい観光・ショッピングゾーンとして開発が進んでいます。
いずれのコースも、コース中間で休憩と飲み物のサービスがあり、途中でミニガイド(料亭の女将さんや税関職員など)があるなど、工夫がありました。
クリアファイルに昔の写真を入れていて、現地で見せていただきながらの説明もあります。
このイベント、どんな人が参加しているのか、気になりません?
私が参加した2回は、そのほとんどが長崎市民(!)です。東京の大学に行っている娘さんが帰省した機会に家族で参加、というパターンもあるようです。私のようなよそからの観光客は少数派。驚くのが、非番の(?)ボランティアさんまで参加していることです。
それでもいいんじゃないかなと思うんです。
コースは街中に張り巡らされています。長崎市民自身が長崎のことをよく知って、「ここの石をなでると頭が良くなるんだよ」などという話をできるようになれば、お客さんが来たときに「面白いもの」を案内することができます。それは観光都市にとってとても大きな効果です。
街中をぞろぞろ歩くので、歩行者やバイクなど、道を譲らないといけません。そんなとき、サポーターさんは「お世話になってます、さるくですー」と声をかけています。それが半年間、続くのですから相当な存在感だと思います。
長崎の路面電車は100円。多くの観光施設が、今は長崎市民には無料。観光地のメリットを長崎市民が受けられる仕組みになっています。市民が観光を楽しめる延長に、さるく博もあるような気がします。その効果は会期終了後も、じわじわと効いてくるのではないでしょうか。
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