今回、九州訪問のタイミングと合ったため、国東半島芸術祭を見に行きました。
車で回るのに向いた会場で、レンタカーで回るという手もあったのですが、バスツアーが運行されていることもあり、これを利用しました。(今回、結構普通の旅行記になっています)
3会場を回る「歩いて旅するコース」です。
別府駅で拾ってもらって、最初に訪問したのは成仏(じょうぶつ)会場。
国東半島は低い火山がぼこぼこと並ぶ地形です。中央にある両子山から放射状に谷が伸びて6つの郷が開けています。そこに六郷満山という6つの寺院を中心とした神仏習合の文化があるとのこと。密教文化も盛んなようです。
成仏のあたりもそんな地形・地域でした。
会場に近づくと地元の方が待ち構えていて、肉桂の根をいただきました。
噛むと甘くニッキの強い香りが口に広がります。
初めて食べましたが、こんなにはっきりした味がするものなんですね。
作品に到着。縄文遺跡に家形のカウンターが設置されています。
遺跡であり、落石の可能性もある場所で、よく許可が下りたなと思います。防護柵などない分、場所の強い力が迫ってきます。
このように、この芸術祭ではサイトスペシフィックプロジェクトといって、その場所に根ざした作品が1つの柱になっています。1つの場所に1つの作品。
この作品は参加型で、1人1人が家形の石に彫刻を彫り、各自の設定したペースでカウントアップまたはカウントダウンするカウンターが付いています。
これが壁面一杯に並んでいます。
現代の磨崖仏として作られているのだとか。
国東半島に数多くある磨崖仏にどれだけの人が関わったのか知らないのですが、そこに彫った一人一人の姿を想像するとまた違った見え方をします。
近くの成仏寺にある仁王像。
車窓から度々仁王像を見かけましたので、国東半島ではとてもありふれているようです。
狛犬のように並んでいます(ただしお寺)。
近くの集会所では特産品の販売とともに、地元の方がお接待をしてくださっていました。
このあたり大地の芸術祭に似ています。
続いて岐部へ。
昼食には地元食材を使ったお弁当が出ました。
資料館と写真展会場になっている旧有永邸の和室でいただきます。
和室の凝った欄間。
ツアー参加者と話し込んでしまって、館内を見る時間があまりありませんでした。失敗。
岐部はキリシタンの郷だったとのこと。
川俣正さんの説教檀という作品が設置されています。
形としては空中の遊歩道です。
木漏れ日が美しいそうなのですが、この日は雨空で残念。
その先まで行くと海を眺めることができます。
16世紀にこの地に生まれ、エルサレムに巡礼したペトロ・カスイ岐部にちなむ作品だそうです。
その作品解説とともに、制作時のエピソードとして、お茶の時間のたびに差し入れに登ってきたちっちゃなおばあちゃんの話なども聞かせていただきました。
海辺にはエビの養殖場だったという池があり、それも気になります。
ここでも地元農産物を販売していました。
まこもたけは名前は知っていましたが、食べるのは初めてです。
続いては千燈プロジェクトに移動。
かつて千燈寺という大きな寺院があったのですが、戦国時代に大友宗麟の焼き討ちで焼失。その遺構として石畳などが残っています。
下の方でバスをおりて、石畳の道を登っていきます。
立派な石垣があります。このあたりがお寺の中心。
仁王像も残っています。
さらに登っていくと奥の院があります。
岩屋を利用していて、深い歴史を感じさせます。
おびただしい五輪塔群。
旧千燈寺跡全体として、森と遺構の取り合わせが不思議な感覚を呼びます。
さらに山道を登っていって、ようやくここの作品にたどりつきます。
目指すは稜線上に立っているあの人影。
この日は霧が深く、雨も降る中、一般のガイドは中止されていたのですが、ツアーということで連れて行ってもらえました。
アントニー・ゴームリーさんの等身大の像です。
彼は世界のあちこちに、自分自身で型どりした鋳鉄像を立てているそうです。
この写真では伝わらないかもしれませんが、かなり冷や冷やしながらたどりつきます。
ここでは設置にまつわる苦労話を教えてもらいました。
釣り人を呼んできてワイヤーを飛ばしたり、材木搬出用のケーブル技術を使ったりと、設置場所が設置場所なだけにかなり大がかりです。テストのために作られたコンクリート製のダミーちゃんというのがあり、ダミーちゃんクッキーまで売っていて、その派生振りが面白いです。
視線の先はこんな風景。
かなり急峻な地形で、たぶん霧が晴れていたらもっと怖いと思います。
本当は海が見えるそうなのですが。
残念ですが、天気のことは仕方ありません。
改めて来てみたいと思います。
ここまででほぼツアー目的は終了。
最後に道の駅に寄って帰ります。
地元食材を使ってデザインに凝った商品が作られているのも、大地の芸術祭などと似た展開です。
一人で回っていては間が持たないかなと思いますので、バスツアーは助かります。
国東半島芸術祭のコンセプトがよく分かるツアーでした。
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