カテゴリー「国内旅行(東京)」の記事

2013年5月 4日 (土)

東大の中心軸(東京都文京区)

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前回、東京では本郷の鳳明館に泊まりましたので、まだ行ったことのない東大本郷キャンパスものぞいてみました。
事前に「見るのに半日はかかるよ」と言われていて、実際そうだと思います。
次の予定があったので、今回はさっとメインストリートを歩くだけになりました。

 

正門から入ります。

 

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守衛室も、木造の下見板張りが一般的かと思うのですが、お堂のような和洋折衷のずっしりした建物です。
こういうのも帝冠様式というのでしょうか。
元は明治45年、伊東忠太設計とのこと。

 

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正門から安田講堂までまっすぐ、イチョウ並木にスクラッチタイルと石によるゴシックの建物が並んでいて、ヨーロッパのキャンパスのような雰囲気です(行ったことはありませんが)。

 

東京大学は関東大震災で壊滅的な被害を受けたので、その後に同大学建築学の内田祥三設計による復興建築が立ち並びました。

 

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左手には工学部列品館(大正14年)。

 

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右手には法学部3号館(昭和2年)。

 

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列柱の向こうに入口があって、装飾的です。
ライムストーンのような、暖かみがあって柔らかそうな石材は何を使っているのでしょう。

 

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列柱上部の飾り。

 

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中心軸から外れますが、東京大学図書館(昭和3年)。
ロックフェラーの寄贈によるもの。
本が並んでいるように見える?
そんなベタなことはしないか(笑)

 

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その先の左手には法文1号館(昭和10年)。
この三角屋根・尖頭アーチの入口が両側に並んで面白い光景です。
入口の屋根に載っている飾りは、前の建物に使われていたものだそうです。

 

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側面の入口も尖頭アーチ。

 

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法文2号館(昭和12年)。
南北軸がアーケードで建物を貫いているのが面白いところです。

 

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法文1号館にも通路が貫通しています。
ここをランナーがたくさん走り抜けておられました。

 

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中心軸の突き当たりには安田講堂(大正14年)。
名前の通り安田財閥の安田善次郎の寄贈によるもので、震災を挟んで建設されています。

 

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安田講堂の入口は扉も凝っていて、細かく細工がされています。

 

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車寄せの天井を見上げると和風モダンの装飾。

 

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安田講堂の車寄せから正門の方を見ると、こんな眺めです。

 

新しい建物を増やしつつも見えないところに配置し、残すところは残してうまく継承されているという印象を受けました。

 

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こちらは工学部2号館(大正13年)の入口。
一部を残して増築されています。

 

キャンパスの他の建物は改めて巡ってみたいと思います。

 

<関連記事>
 「東大の秤の番人」

 


より大きな地図で 文京区 を表示

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2013年5月 1日 (水)

東大の秤の番人(東京都文京区)

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東大の正門の反対側に弥生門があるのですが、その近くにこんなものがありました。
昔風に言うとカンカン場(看貫場)だと思います。
重い研究機器などを量ったのでしょうか。

 

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小屋の味わいもいいのですが、大きな秤がデンと門番のように座っているのが面白いなと思います。

 

 

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2013年4月29日 (月)

台東3丁目の看板建築など(東京都台東区)

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探訪するときは、ある程度目的を持って訪れる場合と、たまたま通る場合がありますが、今回は東京出張の際、たまたま通りがかっての探訪です。
通りを歩いていると道の奥にこの建物があるのが目に入りました。
当然、近寄って見ます。

 

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遠目にも凝った建物と分かりますが、グリーンのスクラッチタイルや銅板での縁取りなど、近くで見ても美しく仕上げられています。
ショーウインドーがありますが、何のお店だったのでしょうか。

 

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2階の戸袋は銅製で模様入り。

 

このあたりは台東区の台東3丁目で、戦災を免れた地域だとのこと。
関東大震災後の看板建築がたくさん残っています。
どこまでが戦前のものかは分かりませんが、あれこれと紹介してみます。

 

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まず、同じ通りにガスライターサービスセンター・平坂商事と書かれた建物があります。飾りの柱があって、オーナメントが付いてと石造っぽい豪華なつくり。

 

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こちらは銅板張りの3階建て看板建築。
3階建ての建物が多いです。

 

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細い裏通りがたくさんあって、防火用水らしきものも置いてありました。今はプランターですが。

 

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ラジエーター風の銅板張り。

 

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これは1960年代ぐらいでしょうか。
面白いタイルの建物です。

 

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出窓のある住宅。
壁をきれいにしていますが、ベースは古いかも。

 

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どっしりした和風の建築もあります。

 

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亀甲模様の銅板戸袋。

 

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反対側は木の壁のままでした。
波板で覆われていますが、元は木の壁だったのでしょう。
町工場のようです。

 

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この建物、手前は増築と思いますが、奥に丸窓が見えます。

 

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腰までスクラッチタイルが張られていて、玄関扉は木のままです。

 

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角に立つ近代建築っぽい建物。

 

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波模様が印象的な看板建築。
隅のポイントに花のような模様が入っています。
3軒並びで、この建物は丸長紙店と書かれています。
紙の関係はよく見かけたように思います。

 

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渋い銅板張りの看板建築。

 

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ダイヤモンドマークが入るのは昭和の中期でしょうか。
森永乳業の販売店だったらしく、錆びたエンゼルマークやマミーのバルーンが残っています。

 

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Wの銅板看板建築。

 

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東京では珍しいと思うコンクリート製塵芥箱も見かけました(東京オリンピック前にほとんど撤去されたと聞いています)。

 

それにしても東京でも残っているところには残っているものですね。

 

なお、今回の写真はiPod touchで撮ったので、画質の悪いのも多いです。見にくくてすみません。

 

 

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銀座の奥野ビル(旧銀座アパートメント)

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東京に行ったついでに銀座の奥野ビル(旧銀座アパートメント)も見に行きました。
検索すると非常にたくさんの記事がヒットしますので、あまり説明はいらないですね。

 

昭和7年頃に建てられた高級アパートです。設計者は川元良一といって、初期の同潤会アパートや九段会館を設計した人。最後の同潤会アパートを見納めたのと同時に見るというのは感慨深い気もします。

 

建物の真ん中にスリットが入っていますが、これは左が1期、右が2期と2期に分かれて建設されたためだそうです。スクラッチタイルの落ち着いた雰囲気で、7階は増築なので雰囲気が違います。

 

<参考>
 大月敏雄氏の『集合住宅の時間』の「第五章 迷宮のスタジオ・アパートメント」(2006年)

 

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下から見上げたところ。窓を縁取っているのが面白い。
窓辺に植物を植えているところが多く、土のような壁に合っています。

 

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奥野ビルがアパートだったのは戦前まで。戦後にオフィスビルとなり、今はギャラリービルのようです。6階までギャラリーが入っているので見学しやすいです。

 

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1階ロビー。
一歩足を踏み入れると広がるタイルの世界。
落ち着いた色合いです。

 

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何に使われたか、小窓。

 

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開閉手動のエレベータも名物です。

 

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エレベータの階数表示。

 

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とても品のある階段室です。
地下にはかつて共同浴場があったらしい。

 

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途中階のエレベータと階段室。

 

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途中階の階段。
ちょっとずつ違います。

 

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面白いのが、階段脇に窓があって、隣の階段が見えるんですよ。

 

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7階へは階段が続いています(立入禁止)。

 

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空室になっている部屋をのぞき込んでみました。
住宅はどんどん建て替えられてしまいますが、ギャラリービルとして戦前のアパートが残るのは貴重なことですね。見学もしやすいので、見に行く者としてはありがたいことです。

 

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2013年4月 3日 (水)

鳳明館・台町別館に泊まる(東京都文京区)

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さて、チェックインのために鳳明館に向かいます。
今回、鳳明館に泊まったのは、前に「まちかど逍遙」「ひろの東本西走」で紹介されているのを見て、ぜひ一度泊まってみたいと思っていたからです。
場所は初めて訪れるにはやや分かりにくいところにあります。
本郷の急な坂道を登っていくと鳳明館の本館が見えてきました。

 

ネットで予約を入れたのですが、鳳明館は本館・台町別館・森川別館の3つの建物があり、その時点ではどれになるのか分かりませんでした。取りあえず(本館に入りたかったので)本館で声を掛けると、「お客様は台町別館です」とのことで、向かいの台町別館に案内してもらいました。

 

 

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台町別館は昭和22年に住宅として建てられた建物です。

 

学芸出版社のシンポジウムで鳳明館のご主人が語った内容の記事があって、非常に興味深いので、ぜひ読んでみて下さい。
 →「こだわりを持った和風旅館」

 

ご主人の語るところによると本館は明治30年代に下宿屋としてスタートしたもので、戦後旅館に改装されたそうです。非常にもうかったので向かいに自宅を普請したところ、常連さんから宿泊客よりぜいたくな家に住むとはけしからんと言われて旅館にしたのが台町別館というエピソードが面白いです。

 

昭和22年というと前に泊まった西郊旅館もその頃の改装で、廊下の作り方などに通じるものを感じました。鳳明館の方がぜいたくですが。

 

森川別館は昭和28年だそうですね。

 

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那智黒石(たぶん)が敷き詰められた玄関。
面白いのが、よく見ると花柄が入っているんですよ。
靴を履くためにしゃがんだときにふっと気付くようになっているのではと思います。
(この記事では当日と翌日の写真とが入り交じっています)

 

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玄関の様子。床は寄木細工ですし、受付の木の使い方などもユニークですね。

 

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寄木細工は、旅館西郊もそうでした。
かなり凝ったパターン。

 

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2階に上がる階段。
ご主人の談話によると桧の一枚板らしい。
松をかたどったような窓もあります。

 

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廊下には那智黒石を敷き詰めたところに桧が埋め込まれています。形の組み合わせが面白い。

 

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廊下がカーブしているのがまたいい感じです。

 

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別の廊下。内のような外のような、旅館西郊にも通じる廊下です。

 

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鶴亀の細工が入った丸窓。
このねじれている木なども銘木なのでしょうね。

 

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今回は残念ながら泊まった部屋はコンクリートの新館でした。
ただ、それでも和風の雰囲気を出すため、天井に細竹?を張っています。
冷蔵庫も木目調でした。

 

宿泊客は外国人が多く、日本風を心がけておられるようでした。旅館らしいきめ細やかできびきびした接客をしていただけます。
朝食には熱々の湯豆腐なども付いてきました。

 

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タイル張りの洗面所です。

 

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翌朝、少しだけ館内を見て回りました。
入舩という部屋。帆掛け船の透かしも入っています。
全ての部屋が違うというこの旅館、何度も泊まる楽しみがありそうです。

 

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廊下からは庭が見えます。

 

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玄関脇には洋間が附属しています。
この部屋はコンピュータールームとして宿泊客が利用できます。
ステンドグラス風の磨りガラスがきれい。

 

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ステンドグラス風の丸窓もあります。

 

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ドアに達筆な「押す」の文字。
陶器製のようです。裏側の「引く」を写真に撮るのを忘れました。

 

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台町別館を裏から。
真ん中に見える建物はお風呂です。
この左に本館があります。

 

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台町別館の庭に通じる門。
使われることはあるのでしょうか。

 

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こちらは鳳明館本館。登録文化財です。
次はこちらをリクエストしてみましょうか。
ぷにょさんによれば、団体客用だけど指定すれば泊めてもらえるそうなので。

 

台町別館だけでもとても見どころのある旅館ですし、リーズナブルです。
チェックインが22時までなので、それだけ気を付ければ。

 

<関連サイト>
 学芸出版社HP『歴史ある建物の活かし方』記念シンポジウムより、
 鳳明館の小池邦夫さん「こだわりを持った和風旅館」  同じく、「建物紹介」 …各館のデータあり
 まちかど逍遙「鳳明館台町別館」        「森川別館」  ひろの東本西走「鳳明館・台町別館-1」         「鳳明館・台町別館-2」         「鳳明館・台町別館-3」

 

<関連記事>
 「荻窪の旅館西郊」(2012年6月)
 「学士会館に泊まる」(2007年8月)
 「再び学士会館に泊まる」(2009年10月)

 

 

※900本目の記事

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2013年3月31日 (日)

旧東京市営真砂町住宅(東京都文京区)

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今回、東京に出かけた際、初めて本郷の鳳明館に泊まりました。(その話は次回紹介します)
チェックインのために私は東京メトロの春日駅で降り、だいたいこっちの方かなと歩き始めました。
既に咲き始めた桜を見上げながら、カーブする坂道を上がっていきます。

 

すると丘の上に、下見板張りの古そうな住宅が見えてきました。玄関扉が素敵なのですが、真正面に庭木があってよく見えません。

 

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門柱なども古そうです。随分玄関まで高低差があります。
反対側には公園がありました。
ここ自体、周りより結構高い場所です。

 

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ほんとは脇道に抜けたかったのですが、そんな道はないまま、道なりに下らされます。
すると今度は腰折れ屋根の洋館が見えてきました。
それも2つも。

 

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1つめはこちら。

(追記)2022年9月に解体されたそうです。(2022.9.30記)

 

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正面から見るとこちら。
きれいですが、明らかに古い住宅です。
玄関扉なども木製で古き良きデザインです。
カブトのような玄関の屋根が面白い。

 

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横から見るとこんな感じで、円弧に網目の持ち送りが付いています。

 

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玄関の上には「第四七號」という番号のプレートが付いています。この時はどういう意味だろうと不思議でした。

 

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もう一軒も色のパターンは違いますが、似たようなデザインです。

 

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正面から見るとやはりカブトのような玄関屋根が付いています。

 

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こちらも同じような持ち送り。
明らかに先ほどの住宅とセットです。

 

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門柱に表札があると思ったのですが、よく見ると表札ではなくて、住所が書いてあります。
住所は真砂町です。今は本郷なのですが。

 

同じものが複数あるときは何かある、のでネットで調べてみると、ここは旧東京市営真砂町住宅だといういうことが分かりました。
→例えば、ぼくの近代建築コレクション「東京市営真砂町住宅(1)」「東京市営真砂町住宅(2)」  喫茶店で瞑想して、銭湯で元気になる「旧東京市営真砂町住宅」

 

東京市が関東大震災前後の大正12〜14年にこの地の右京山を開発して46棟75戸の住宅を建設したものだとのこと。
腰折れ屋根の住宅2棟は第2期(大正12年)のもので、丘の上の住宅は第3期(大正14年)のものだそうです。公園も一体的に整備されたもの(写真ありません)。

 

市営住宅といっても中流層向けです。ということは大阪でいうと旧大阪市営北畠住宅杭全住宅の位置づけですね。ただこちらの方がいっそうぜいたくな感じ。いずれもきれいに保たれています。
たまたま出会えてラッキーでした。
この道も秘密の散歩道のようで、歩いて楽しいです。

 

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ところで、この道の入口にあたる春日駅前には都営真砂アパートというのが建っています。

 

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その1階には文京区設真砂市場が入っていて、ユニーク。

 

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レトロな雰囲気の市場です。
社会的な施設がまとまって整備されたのですね。

 

鳳明館に泊まったことで、うれしいおまけが付いてきました。

 

<関連記事>
 「旧大阪市営北畠住宅」(2009年2月)…大正15年
 「旧大阪市営杭全住宅」(2009年12月)…昭和3年
 「旧小阪町営住宅・東翠園」(2010年4月)…昭和11年なので時代は下ります

 

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上野下アパートを見納め(東京都台東区)

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最近、最後の同潤会アパートである上野下アパートが5月から解体されるとニュースになっています。ちょうど東京に行く機会がありましたので見納めしてきました(初めて見るのですが)。

 

同潤会は関東大震災からの復興住宅を供給するため、内務省が大正13年(震災翌年)に設立した財団法人で、東京・横浜に16ヶ所の集合住宅を建設しました。昭和4年に建設された上野下アパートもその一つです。

 

同潤会や上野下アパートについては他に詳しい解説などがありますので省略します。

 

場所は東京メトロ銀座線・稲荷町駅のすぐ近く、JRの上野駅からも徒歩圏内の便利なところですが、アパートのある場所は表通りから一本入って静かです。

 

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ほぼ全景。アパートは道に平行して建てられています。
細長い1棟と小さな1棟の2棟です。

 

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住民の方の引っ越しはまだ完了していないので、立ち入らないようにという注意書きがあり、表から見せていただくだけにします。

 

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建物は4階建て。
水平・垂直に延びるかっこいい形です。
4階が張り出しているのですね。

 

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建物との間にはちょっとした庭があります。

 

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「上野下アパート」の表札。
門柱はスクラッチタイル張りです。
全体にこの色合い。

 

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共用の玄関には木の扉が残っています。
プライバシーの関係で消しましたが、玄関上にお住まいの方の名前が並んでいます。

 

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「建築計画のお知らせ」を読むと、地上14階、地下1階の店舗付き共同住宅に建て替えられるのですね。
解体後、8月から建設工事が始まるようです。

 

歴史的な意味のある建物が、1つも残らないというのは惜しいことですね。

 

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今回は近代建築探訪MLの皆さんに連れて行っていただいたので、ついでに近くの近代建築なども案内していただきました。
これは東京メトロ銀座線の稲荷町駅。昭和2年にできた初期のものです。

 

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プラチナ万年筆の建物。

 

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裏側の方が面白いと教えてもらいました。
上野下アパートから見るとこちら側がみえます。

 

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近くの蓮城寺。
洋風部分が真ん中にはまり込んだような面白い構造です。

 

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これはかなりびっくりの比留間歯科医院。
歯科医院という感じではない素敵な建物です。
これも昭和4年だそうです。

 

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裏手に回ると旧下谷小学校。
シンプルなデザインながら、昭和3年建築の復興小学校のひとつだそうです。
現在は使われていません。

 

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この季節だから校舎が見えますが、夏にはツタにびっしり覆われるようです。
何か利用されると良いのですけどね。

 

こうしてみると関東大震災からの復興期の建築がまとまって残っていることが分かります。
今まで上野に来ることはあっても西側ばかりで、今回案内してもらった東側も震災復興の建築という意味で面白いと思いました。

 

<関連記事>
 「阿佐ヶ谷住宅の残照」(2012.6.23)
  …阿佐ヶ谷住宅も解体間近で、最近立入禁止のロープが張られたと聞いています。
 

より大きな地図で 台東区 を表示

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2012年11月30日 (金)

糀谷の朝散歩(東京都大田区)

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夜行バスで東京に出かけたときは、朝から銭湯に入りたい気分になります。
といっても朝からやっている普通の銭湯は少なく、前に訪れた燕湯か、今回訪れた西糀谷の「幸の湯」などごく少数のようです。

 

最寄り駅は京急の糀谷駅。
駅を降りると懐かしい町並みがありました。
米屋さんです。

 

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こちらは建具屋さんでしょうか。

 

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これは散髪屋さん。
看板建築に含めていいのかどうか。
後で通ると開店していたのですが、この窓、斜めに開く窓です。

 

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目指す幸の湯はマンションの1階。
風情はないものの、安泰に見えます。
手ぶらのお客さんに各種セットを用意するなど、しっかりされています。

 

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風呂に入ってすっきりしたところで、同じ道を戻っても面白くないので、蒲田駅に向かうことにしました。
棒グラフみたいに並んだシュロの木。
面白い仕立てです。

 

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どじょう屋さんは東京ならではですね。
渋い店構えです。

 

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こちらの工場は色使い鮮やか。
写真では分かりにくいと思いますが、木製の桟や扉が残っています。

 

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これは何か分からない、昭和のセットのような建物。
コンクリートの流しが効いています。

 

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金魚園の高橋養殖園。
らんちゅうで有名で、昭和3年からここで営業されているとか。
明治期に旗本かららんちゅうを授かったのが始まりというと、これもまた江戸っぽい業種です。
→公式HP「ちょっと高橋養殖園の歴史」

 

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ちょっと気になるY字路。
左の道を行きます。

 

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すると明平製菓という人形焼きのお店がありました。
そこで焼いておられるようで、いい匂いが。
注文するとおばさんが焼きたてを袋に詰めてくれます。
10個210円という安さもさることながら、とてもおいしい。
蒲田駅前なので、このパターンでまた買いに寄ろうかと思うぐらいです。
食べログでの紹介

 

朝風呂と下町の散歩が楽しめて、いいエリアだと思います。

 


より大きな地図で 蒲田 を表示

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2012年11月18日 (日)

西北新宿ノスタルジー(東京都新宿区)

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6月なのでかなり前のことになるのですが、出張で新宿に出かけました。
西新宿を歩いていてショッキングだったのは、神社の森が切り開かれてマンションが建とうとしていたことです。何か一線を越えてしまっている感じがします。

 

それでもその周辺の北新宿や西新宿にはまだ懐かしい街が残っていました。
見た感じでは昭和30年代の街という雰囲気。
少し裏に入るとこういう街が現れる東京は面白いと思います。

 

まずは北新宿から。

 

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湿気を感じさせる住宅。
表通りの、水を弾いてしまうような街とは対照的です。

 

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未舗装の路地にアジサイ。
歩いていると暮らしの手帖社がありました。
銀座で設立されて、六本木、東麻布に移って、今はここ北新宿の静かな街に。

 

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アパートと店の併用住宅。

 

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ビワの木がアーチをつくっている道。

 

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木造平屋の小さな住宅。

 

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同じ家の塀なのですが、きっちり積まれたブロック塀に、ぴったりはめ込まれた郵便受けとたぶん牛乳箱。
職人技を感じさせます。

 

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手描きのトマレは味があります。

 

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淀橋咳止地蔵尊というお地蔵さんが分かれ道にありました。
再開発による道路拡張で移転したそうです。
江戸時代の1708年からあるという由緒あるお地蔵さん。

 

続いて西新宿です。

 

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ここも木造アパートが残っています。

 

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玄関あたりがいい感じ。
中にショップがあるような雰囲気ですが、確認できていません。

 

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石畳のある路地。

 

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木製建具や門柱が懐かしい。

 

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並びのときわ荘というアパートも味があります。

 

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木製の階段が見えます。
ガラスの嵌め方などかつてのモダンさを感じさせます。

 

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木製の窓手すり。
夕暮れが似合うアパートです。

 

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角のたばこ屋さんは定番ですね。

 

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そしてたばこ屋さんに覆いかぶさるような庭木。

 

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ぽっかりと開いた墓地の空間。

 

表通りを歩いたのとは全く違う印象を見せる街です。

 

 

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2012年11月 7日 (水)

荻窪のお屋敷跡公園(東京都杉並区)

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荻窪の旅館西郊に泊まった翌日、ウォーキングマップに載っていた大田黒(おおたぐろ)公園に出かけてみました。
入口はお屋敷の門のよう、というよりお屋敷の門です。
音楽評論家の大田黒元雄氏の屋敷跡地につくられた公園だからです。

 

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門をくぐると70mのイチョウ並木に圧倒されます。

 

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飛び石が続いて、次の門があります。
なかなかお屋敷にはたどり着きません。

 

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園内はこういう配置になっていて、ほとんど庭です。

 

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芝生の広がる中央部。

 

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東屋のある池もあります。

 

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そして私の目的はこちら、大田黒元雄氏の仕事場です。
昭和8年に建てられ、長年ここで仕事をされていたそうです。
芝生の広場に向かって広く窓が取られています。

 

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入口側。暖炉に煙突もあります。
アズキアイス色の外壁が印象的。

 

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建物は記念館として公開されていて、無料で見学することができます。
矢羽根模様の腰板が面白い。

 

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屋内はこんな感じ。展示品は撮影禁止です。
ランプや暖炉はOKらしいので、ここまでは紹介できますが、他に1900年組立のスタインウェイ社のピアノや装飾的な家具などが並んでいます。

 

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この部屋で何より印象的なのが、この壁面です。
ラスター釉のような油膜の光沢があるブロックが並んでいます。
音楽的な表現なのでしょうか。

 

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暖炉はシンプルにボーダータイル。

 

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これも昔からある照明器具だそうです。

 

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寄せ木細工の床面。

 

公園としては非常にユニークで見どころがあると思います。
近くに西郊ロッジングや阿佐ヶ谷住宅もあるので、一緒に見て回ると良いかなと思います(そうしました)。

 

<関連サイト>
 杉並区 施設案内・大田黒公園

 


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