カテゴリー「国内旅行(新潟)」の記事

2012年12月31日 (月)

新潟さと歩き(12)松代の街道

120820matsudai1
夏の新潟旅行最終日、松代(まつだい)の街を歩きました。
小さな盆地にある宿場町です。
1997年に開業した北越急行ほくほく線のまつだい駅が、トンネルとトンネルの間で顔を出すように置かれています。大地の芸術祭では主要な拠点の一つです。

 

120820matsudai2
宿場町の通りは幹線道路に平行する道で、木造の建物が並んでいます。

 

120820matsudai6
雪おろしのためか、梯子が目立ちます。
この建物の梯子に乗っているのは、農業用防鳥テープで編まれた「金ん網」です。民話をモチーフにした山本麻世さんの作品。

 

120820matsudai7
木製桟の入れ方が凝っていて魅力的です。

 

120820matsudai8_3 ※クリックすると拡大します

 

この宿場町からさらに平行して、古道の松之山街道を示す看板があったので歩いてみました。

 

120820matsudai9
こんな風に集落の合間を縫っていく道です。
教えてもらわないと分かりません。

 

120820matsudai10
静かな散歩道です。
このあたりも融雪用の池があります。

 

120820matsudai3
再び宿場町の通りへ。
現代的な色使いのこの建物、元は松栄館という旅館だったのですが、ドイツ人のカール・ベンクスさんによるリノベーションで、多目的イベントスペースとなっています。
古民家にうまく付加価値を付けています。

 

カール・ベンクスさんは、ここだけでなく、あちこちで古民家再生をされているそうです。

 

120820matsudai4
大正6年、当時は田村旅館として営業していた姿の写真が掲げられています。

 

120820matsudai5
通りでは他にもリノベーションが行われていました。
カフェ&ドミトリーの「山の家」です。

 

芸術祭をきっかけにした動きですね。

 

120820matsudai11
ところで、集落を歩いていたときにびっくりしたもの。
ごみ(?)の当番表です。
同じ名前の方が多いのか、姓ではなく、屋号が40もずらりと並んでいます。

 

120820matsudai12
これを取り入れた作品もあって、このカラフルな板は、上に一軒一軒の屋号が記されています。

 

120820matsudai13
大地の芸術祭の会場は、宿場町とは反対側、まつだい駅の南側に固まっています。
駅を降りると出迎えてくれるのはやもり。
ぎょっとしますが、もちろん作品です。

 

120820matsudai14
草間彌生さんのシンボル的な作品、「花咲ける妻有」。
駅からも見えるので、とても目を引きます。

 

120820matsudai15
メイン会場のまつだい農舞台。
右手がお城のあった山で、山頂まで作品が点在しています。
私は半分までであきらめました。

 

120820matsudai16
近くには移築された民家のまつだい郷土資料館(旧室岡家住宅)もあります。

 

120820matsudai17
すごい厚みの梁でしょう?

 

120820matsudai18
また、これ以外に松之山地区も回ったのですが、作品を紹介するときりがないので、少しだけ紹介します。
マリーナ・アブラモヴィッチさんによる夢の家プロジェクトです。

 

120820matsudai19
古民家を改装した宿泊施設で、夢を見るための施設、ということになっています。
宿泊客は、窓に張られたフィルムによってそれぞれ違う色で満たされた部屋で、防護服のようなスーツを着て、箱の中で眠り、見た夢を書き留めていきます。
夢の記録は箱の中に入っているので、観客も読めるのですが、なかなか大変そう。

 

120820matsudai20
かなりじっくり回った今回の旅ですが、あまりに会場が広いので、それでもまだ一部。
しかし、廃校・古民家の活用や地元の関わりなど知ることができ、面白い体験がかなりできました。
次回もできれば。

 

帰りはお盆期間で復活していた急行きたぐにで大阪まで戻りました。

 

いつもながら長々とした記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。
また来年も新潟には行くつもりです。

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

 


より大きな地図で 越後妻有 を表示

| | コメント (0) | トラックバック (0)

新潟さと歩き(11)泊まれる学校

120820sansho1
夏の新潟旅行、最後は三省(さんしょう)ハウスという宿泊施設に泊まりました。
ここは三省小学校の木造2階建ての廃校舎を活用した施設です。三省小学校は1875年に設立された歴史ある小学校でしたが、1989年に閉校となり、活用方法を公募、専門学校のセミナーハウスを経て、2006年に大地の芸術祭の宿泊施設になりました。

 

ほくほく線の松之山駅から送迎していただいたのですが、車を出していただいた方はこれまで地元でこの校舎の活用に関わって来られた方で、外国からの作家さんを自宅に泊められたりもされているそうです。道中、とても興味深いお話が伺えました。

 

三省ハウスは芸術祭期間以外でも泊まれます。

 

120820sansho2
三省ハウスの玄関。
小学校の玄関そのまま。

 

120820sansho3
木の廊下です。
三省小学校の校舎は1955年(昭和30年)に建てられました。

 

120820sansho4
宿泊室。2段ベットが並ぶドミトリー形式です。
男女は別室です。シンプルですが清潔感のあるベッドでした。
この日はほぼ満員。いびきをかく人がいるかどうかは運次第ですね。

 

120820sansho5
食堂は結構広いスペースで、テラスもあります。
地元の食材を使った料理をバイキング形式でいただきます。
地ビールなども販売していました。
晩にはここで他の宿泊客と話をしました。
宿泊者は関東からが多いようです。やはりここに泊まるような人は気合いの入っている人が多くて、大阪から来ましたというと、「瀬戸内国際芸術祭の時に行きました」という人が何人もおられました。

 

120820sansho6
土産物屋もあります。
芸術祭の記念グッズなどを販売しています。

 

120820sansho7
図書室もあります。

 

120820sansho8
三省ハウスは芸術祭の展示会場にもなっています。
この家具はラトビアのアイガルス・ビクシェさんの作品。
ふだんは集落の各戸に置かれているそうなのですが、この期間だけ集められています。

 

120820sansho9
体育館では、木村崇人さんのワークショップの作品が展示されていました。
吊されているのは子供たちの等身大日光写真です。随分大がかりな。

 

また床には補助輪付き自転車でペットボトルに入れた青い塗料を引っ張って線を描いています。
まだ準備中ですが、そりなど地元ならではの障害物が置かれるようです。
制作風景はとても楽しそうですね。

 

120820sansho10
校舎の外にも出てみます。
野菜などの屋台もありました。

 

120820sansho11
学校の校門です。
バスの時間まで間があるので、朝の散歩に出てみました。

 

120820sansho13
裏手にある白山神社。
なかなか複雑な細工の狛犬です。

 

120820sansho14
参道の長い階段を下りていきます。

 

120820sansho15
裏手の集落に出ました。
のどかな風景です。
道の左に何か立っていますでしょう?

 

120820sansho16
土管のようなものに火の用心と書かれています。
他でも見たのですが、何を再利用しているのか気になります。

 

120820sansho17
また、高田街道と書かれた道があったので、歩いて行ってみました。

 

120820sansho18
尾根筋の歩きやすい道で、両側は深い谷になっています。
高田は遙か先なので、すぐに引き返します。

 

120820sansho21
小学校のある小谷の集落に戻りました。
もう一つの小谷白山神社があって、樹齢600年の大ケヤキがあります。

 

120820sansho19
木造の消防小屋。

 

120820sansho20
ここにも火の見櫓があります。

 

バスは小学校まで上がってくると思っていてゆっくりしていたら、実は下の国道までしか来なくて、地元の方に次の施設まで送っていただくことになりました。その節は大変お世話になりました。

 

教えていただくことも多く、次も来るなら泊まりたいと思うような宿でした。

 

<関連HP>
 三省ハウス公式HP

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

 


より大きな地図で 越後妻有 を表示

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月30日 (日)

新潟さと歩き(10)絵本の学校

120819ehon1
季節外れの大地の芸術祭の記事。
次の目的地は絵本と木の実の美術館です。
これはテレビで紹介されているのを見て、ぜひ見たいと思ったところです。
2005年に廃校になった旧真田小学校を、絵本作家の田島征三さんが丸ごと絵本にしてしまったというものです。

 

120819ehon2
校舎は木がふんだんに使われています。

 

120819ehon3
まず体育館。流木をペイントしたたくさんのオブジェが浮かんでて、いきなり圧倒されます。
時々、バッタンと動くものもあります。

 

120819ehon4
絵本のタイトルは「学校はカラッポにならない」。
来客の子どもがピアノを弾いていて、作品の世界と一体化していました。

 

120819ehon9
まず学校に棲むお化けと対面。

 

120819ehon5
口から何かが出ていますが、木をつないだものに木の実が付けられていて、これをたどっていくことで話が展開します。面白い。

 

120819ehon6
最後の在校生ユウキ・ユカ・ケンタ。
彼らがこのお話の主人公です。

 

120819ehon10
黒板に描かれた先生。

 

120819ehon7
木の実は穴をくぐって、先へ先へ、教室から教室へ。

 

120819ehon8
木の実は窓をくぐったり、壁を抜けたり、自由につながっていきます。

 

120819ehon11
最後に3人は学校の壁から飛び出していきます。

 

120819ehon13
また別のお化け。

 

120819ehon12
3人が飛び出していますでしょう?

 

とここまでは普段から美術館として公開されているのですが(冬期は休館)、大地の芸術祭企画として、その先の展示が作られていました。
これは「どうらくオルガンちちんぷいぷい」。
中に入って人力で操作することで、バッタンバッタン、ボーボー、ピーピーと音が奏でられるようになっています。

 

120819ehon14
裏の坂を上がっていくと、叩くと音の出る竹筒。
棒でカンカンと叩きながら歩いて行きます。

 

120819ehon15
わらでできた大きな人形。
仕掛けでむっくりと。

 

120819ehon16
道は斜面の上に続き、学校を見下ろします。
カラフルな旗が並べられています。

 

120819ehon17
この集落は鉢集落といって、すり鉢状の地形になっています。
今まで見てきた学校の絵本の世界を飛び出して、学校を愛おしみ空を飛ぶように眺めながらめぐるルートで、演出として非常に面白いと思います。

 

120819ehon18
最後に階段を下りて、入口に戻ります。

 

120819ehon19
池にあるバッタはししおどしのような仕掛けで、水がたまるとバッタンと頭を下げます。
するとつながっているワイヤーを引っ張って・・・体育館の人形が動くようになっているわけです。
子どもにはとても楽しいと思います。

 

同じ廃校を活用するにも、こんな活用の仕方もあるんですね。廃校になったからといって、カラッポにしてはいけないという思いのあふれるいい展示でした。

 

紹介しませんでしたが、ミュージアムショップやカフェもあります。

 

120819ehon21
再び河岸段丘を走って十日町へ。
この風景の変化も魅力です。

 

<関連サイト>
 絵本と木の実の美術館公式HP

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

 


より大きな地図で 越後妻有 を表示

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月28日 (金)

新潟さと歩き(9)眺める部屋

120819myougayama1 ※クリックすると拡大します

 

夏の新潟、大地の芸術祭の続きです。
巡回バスで一度十日町に戻って、今度は別のバスで西側の山間部を目指しました。
信濃川を越え、河岸段丘にのぼる途中、砕石場がありました。
興味深い眺めです。

 

120819myougayama2
山道を走って着いたのは名ヶ山(みょうがやま)の集落。
斜面に民家が散らばる、画になる風景です。

 

120819myougayama7
各戸の戸口にカラーの布を垂らしているのはアートの演出です。
これだけでちょっと風景の印象が変わります。

 

120819myougayama3
まず民家の一つを改造した、名ヶ山写真館を訪ねました。
2006年オープンです。

 

120819myougayama4
家に入るとそこにあるのは枯山水の庭。
ただし、石ではなくて、たんすや道具などが立てられています。
ほかに参加型の遺影写真(参加者が遺影写真を撮ってもらう)の展示などがありました。

 

120819myougayama5
窓が取り外されていて、内と外がつながっています。

 

120819myougayama6
2階に上がると壁まで取っ払われていて、家を額縁に村の風景が広がります。
座布団と団扇が用意してあって、ゆっくり眺められるようになっていました。
面白い改造です。

 

120819myougayama8
続いて坂をのぼり、2001年廃校の旧名ヶ山小学校に移動しました。
この夏、アジア写真映像館となっています。
「世・界:三世十方」というタイトルで日本と中国の写真家による展示がされていました。
(左下はカフェ)

 

120819myougayama9
そんなに古い小学校ではなく、あまり手も加えられていません。

 

120819myougayama10
体育館では高さを活かした展示。

 

120819myougayama11
窓からはきれいな夏の風景が眺められます。
石川直樹さんによるエベレスト登頂のドキュメンタリー映像なども流されていました。
映像で見ても足がすくみます。

 

120819myougayama12
教室の黒板。降雪や積雪の記入欄があるのが豪雪地帯らしい。

 

120819myougayama13
恐らく昔の生徒が作った集落の模型がありました。

 

地域的に、廃校したからといってマンションが建つわけもなく、このような形で活用が図られています。
廃校を利用した会場は本当に多くて、そこを巡ることは活用の事例を見て回ることにもなります。
周囲に高い建物がないので、小学校は眺める場所としても面白いですね。
この後の記事にもいくつか廃校が出てきます。

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋
 (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

 


より大きな地図で 越後妻有 を表示

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月25日 (火)

新潟さと歩き(8)土の学校

120819mogura1
再び夏の新潟の旅です。
季節外れだし、近代のあれこれを楽しみにされている方には申し訳ないのですが、良かったら見て下さい。
もうしばらく続きます。

 

大地の芸術祭の訪ね歩きは、十日町のまちなかを離れ、山間部に向かいます。
ほんとは車が便利なのですが、私は苦手なので期間中に運行されている巡回バスを利用しました。

 

120819mogura4
こういう一日乗車券があります。
もっとも便数が限られるのでそんなに乗り倒せるわけではないです。

 

120819mogura2
車窓はいかにも夏の色。

 

120819mogura3
向かったのは、平成21年3月末に廃校になった旧東下組(ひがししもぐみ)小学校です。
十日町から東北方向の山間にあります。
そんなに奥深い所ではありません。
それほど古い校舎ではないですよね。

 

120819mogura5
芸術祭の中では、「もぐらの館」となっています。
土をコンセプトとする作品が集まっています。
入口の土のゲートをくぐるともぐらになった気分で校内を探検します。

 

120819mogura6
2階に上がる踊り場にはどこかの森が映し出されています。
これは中里和人さんの作品の一つで、房総と新潟の手堀トンネルを訪ねる映像が流されています。

 

120819mogura11
こちらは室内に作られた通路の向こうに同じく手堀トンネルの写真。
この会場の作品の中で、この手堀トンネルの姿にとても心ひかれました。機会あれば見てみたい。この場合は水を引くためのトンネルですが、油井や金鉱を掘る技術とつながっているのだろうかなどと想像がふくらみます。

 

120819mogura10
教室名の代わりに作家さんの名前が出ています。

 

120819mogura7
この廊下がまたすごくて、壁が端から端まで左官職人さんによる版築(土を突き固めた壁)になっています。

 

120819mogura8
足元には木の皮?が敷き詰められているので、ふかふかした感触を味わいながら歩いていくことになります。

 

120819mogura12
窓の外の風景とつながる不思議な空間です。
むしろ、外と全く異質な室内空間がある方が不自然?

 

120819mogura9
各地の土を使って風景を描く、南条嘉毅さんの作品。
あと3方の壁にも各地の作品が飾られていました。

 

120819mogura13
各地の地層をそのままはぎ取った土壌モノリス。
地質学の展示でもあるのですが、アートの目で見ても美しいグラデーションです。

 

120819mogura15
そして、学校の土から生まれたように、空に向かうハスの葉。
校舎全体が小学校時代とは違う姿を見せていました。

 

120819mogura14
校内で見かけた、たぶん旧東下組小学校の校章。
雪の結晶がモチーフですね。
今頃は雪が積もっていることと思います。

 

120819mogura16
ところで、小学校の向かいには火の見櫓が立っていました。
美しいシルエットですが、エッフェル塔みたいというと言い過ぎ?

 

120819mogura17
サイレンではなくて、鐘が吊されています。

 

もっとあちこち歩き回りたかったのですが、バスの時間があるので、次に向かいました。

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校
 (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

 


より大きな地図で 越後妻有 を表示

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月29日 (木)

新潟さと歩き(7)文字通り小千谷

20120818ojiya1
十日町を回った後、十日町では宿を確保できなかったため、少し離れた小千谷に宿を取りました。
小千谷の駅を降りると巨大な錦鯉に出迎えられてびっくりします。
しかも2匹。

 

20120818ojiya2
錦鯉の口の中を入るとこんな世界。
歩行者用の地下道なわけです。
以上の写真は翌朝の写真です。

 

20120818ojiya3
着いた日はすっかり日暮れていました。
目隠し看板にも錦鯉。

 

20120818ojiya4
既にシャッターが降りている店が多かったのですが、そのシャッターアートがことごとく錦鯉。

 

20120818ojiya5
こんな感じ。
徹底して錦鯉の産地であることをPRしています。
夜だから見られる風景とも言えます。

 

20120818ojiya6
小千谷の旧市街は、駅のある場所から信濃川を西に越えたところにあります。
今回の宿は旧市街にありました。
駅から20分ほど離れています。

 

20120818ojiya7
この小千谷、初めて訪れたのですが、あちこちに谷があります。
そういえば「小さな千の谷と書くなあ」と改めて思いました。
信濃川にたくさんの谷が流れ込んでいます。

 

20120818ojiya8
隙間から見えた木造工場。
寄ってみたかったのですが、先を急いでいたのでパス。
地図で見ると織物工場のようです。

 

20120818ojiya9
トタンの壁がみごとな建物。
錆び具合のパターンが面白いです。
冬用のスロープが立てかけてあります。

 

20120818ojiya10
メインストリートは高いところにあって、両側はたいてい下っています。
起伏のある街は好きなので、また歩いてみたいなという気がします。

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷
 (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

 


より大きな地図で 越後妻有 を表示

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月28日 (水)

新潟さと歩き(6)除雪車のダンス

20120818snowdance1
新潟の十日町は街の西を信濃川が流れています。
夕方その河原に人が集まります。

 

20120818snowdance2
河原に大勢の人々がシートを敷いて並んでいます。

 

20120818snowdance3
そこへちっちゃな除雪車を先頭に、除雪車のパレード。
夏なのに?

 

20120818snowdance4
この日は大地の芸術祭のイベントとして、「雪上舞踏会」が開催されるのでした。
ミエレル・レーダーマン・ユケレスというアメリカ人アーティストの演出による十数台の除雪車のダンス。

 

とくにこれを見る予定はなかったのですが、たまたま開催日に当たっていることを知り、せっかくなので見に行った次第です。

 

20120818snowdance5
まずは全出演車両によるパレードから始まります。

 

20120818snowdance6
ショベルカーのタイプ。

 

20120818snowdance7
雪を砕いて吹き寄せるタイプの除雪車。

 

20120818snowdance8
男女ペアを思わせる2台。
ロミオとジュリエットをモチーフにした話だそうです。
音楽や解説などは一切なく、エンジン音だけが響きます。

 

20120818snowdance9
2台の仲を引き裂く暴れ者。

 

20120818snowdance10
除雪車の可動部を次々と動かすパフォーマンス。
アームが伸びたり、いろんな所が動くのですね。

 

20120818snowdance11_2
結構、複雑な動きもできます。

 

20120818snowdance12
最後にドライバーの皆さんが降りてきて、ごあいさつ。
皆さん、いつも除雪車を運転されている方なのでしょう。
仕事をしていて、こんなに拍手をされることはないと思います。
ちょっと照れておられる感じも。

 

20120818snowdance13
ロープが開放され、どうぞ近くで見てくださいというアナウンス。
子供たちが駆け寄ります。

 

20120818snowdance14
子どもたちは運転席に乗せてもらったりしていました。
もちろん大喜び。あちこちで記念撮影です。

 

20120818snowdance15
こんなところにシャベルが用意されているんですね。

 

20120818snowdance16
エンジンルームも見せています。
こういう乗り物のファンにはたまらないのでしょう。

 

20120818snowdance17
日が暮れてもまだ見学は続いていました。

 

20120818snowdance18
帰り道、工事会社の駐車場で、こんな光景にも親しみが感じられるようになっていました。

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス
 (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年11月27日 (火)

新潟さと歩き(5)大地の芸術祭・十日町会場

120818tohkamachi2
非常に季節外れなのですが、夏に訪れた「大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ」の記事、続きです。
メインの会場となっているのは今回紹介する十日町で、あといくつか拠点になる会場があり、残りは山間部などに散らばっています。

 

十日町はこの地域の中心となっている織物の町です。
津南会場のあと、この街を巡りました。
あちこち脇道にそれながら紹介します。

 

十日町の駅前にはアーケードの通り。
縦横にアーケードがあります。
ここの場合は雁木と言った方が良いのでしょうか。

 

120818tohkamachi3
こんな風にまちなかに作品があります。
原倫太郎+原游さんの「影祭-夏祭り万華鏡、真夏の行進-」
壁に遊びの情景などが影として描かれています。
歩いていて突然出会うとハッとしそうです。

 

120818tohkamachi4
商店街の空き店舗を利用した、野田智之さんの「越後妻有リサイクル・アート美術館」

 

120818tohkamachi5
商店街の方から提供された素材を組み合わせて動く作品などが作られています。
大地の芸術祭には参加したいアーティストが多いので、公募の競争率が高く、芸術性はもちろん、地域との関わりも考慮されるそうです。3年に1回のイベントですから、継続して参加しようと思うと、3年後も考えて関わらないといけません。

 

地域型のアートイベントを見るとき、地域(場・人・文化)と作品がどう関わっているかを見るのも一つの楽しみだと思います。

 

野田さんは会期中に滞在しながら制作されていて、作っていると小学生などが覗いていくそうです。
故障しないモーターへのこだわりなど、いろいろ面白い話を伺いました。
現在は、横浜の黄金町バザール2012に出展されているようです。

 

120818tohkamachi6
こちらはサインが気になって立ち止まったお店。
実は大地の芸術祭に合わせて勝手にやっているイベントだそうです。

 

120818tohkamachi7
アート作品の展示もあったのですが、面白かったのは2階に展示されていた機の数々。
実際にここで機織りをされていたそうです。今では外の方に頼むようですが。

 

120818tohkamachi8
町中で見かけた牛乳箱。
ローカルな牛乳屋さんです。
ロゴのフォントがいい感じ。

 

120818tohkamachi9
こちらは正式な作品。
上西エリカさんの「Growing Memories」です。
遠目に見ると日本の古地図風の絵です。
何が「Growing」かというと、これはジグソーパズルになっていて、来場者が濃さの違う青いペンで「街がこうあってほしい」など絵や文字で書き込んでは、はめ込んでいきます。
この時点でほとんど埋まっていますが、ところどころ空白があるのが分かりますでしょうか。
私も1つ描いてきました。後で聞くと、この日で全て埋まったそうです。

 

こういう参加型の作品もたくさんありました。

 

120818tohkamachi10
小高い神社の敷地にあった昭和女子大学グループによる「山ノウチ」。
弓のようにしならせた竹を背中合わせに組み合わせたユニットをたくさん積み上げています。
神社から何かが立ち上っているよう。

 

ツル植物が何本か立ち上っているのがすごく面白いと思って、学生さんに話したのですが、「それは意図していない」とあっさり否定されてしまいました。

 

120818tohkamachi20
この神社のあたりは、工場跡があったり、とても趣きある場所でした。
こういう民家などすごく好きです。

 

120818tohkamachi11
3階建ての元旅館らしきものもここにあります。

 

(追記)滝文本社、解体されてしまったそうです。(2014.10.11記)

 

120818tohkamachi12
この面白い建物は市民体育館。

 

120818tohkamachi13
こちらはひょうたん型かトの字型のハンコを短冊に押して、そこに好きに書き加えて吊すという作品。
これも参加してきました。

 

120818tohkamachi14
道を歩いているとぽっかり空いた空地に「深雪観音堂ここにありき」の碑。
かつてここに「旬街座」という映画館がありました。昭和13年1月1日の晩、晴れ着を着た織物工場の女工さんたちで満員の映画館の屋根が雪の重みで崩落し、69人の方が亡くなったそうです。
慰霊のため「深雪観音旬街堂」というお堂が建てられました。
その後、映画館は続いたのですが、2004年の中越地震で被災して閉館。
お堂も取り壊されて現在に至っています。
この地域の災害の歴史を象徴するような場所です。

 

120818tohkamachi15
この会場も空き家を利用した「影祭-夏祭り万華鏡、真夏の行進-」。
描かれた影と本当の影が入り交じって面白い空間です。

 

初日はこれぐらいだったのですが、日を改めてメイン会場を見学しました。

 

120818tohkamachi1
メイン会場の中でも中心は、越後妻有里山現代美術館キナーレです。
その中でも中心になるのが、中庭全体を使って展示されている、クリスチャン・ボルタンスキーの「No Man's Land」。
古着の山をUFOキャッチャーのように、クレーンでつかんでは落としています。
あたりに響く心臓の鼓動音。
夕方になると蒸気のようなものが漂ってきたり。
正直なところ、よく分かりません。

 

意味は分かりませんが圧倒されます。
クレーンの背後、2階から目の前で眺めながら食事できる場所があったりして面白いです。

 

120818tohkamachi16
会場の中はこんな感じ。
そんなに詰め詰めではありません。
真ん中のガラスの箱は、作品の中に入って頭上から建物の形をした銀紙が降ってくるというもの。

 

120818tohkamachi17
新潟各地の砂を並べて、色見本のようにしたもの。
こんなにバラエティーがあるのですね。

 

120818tohkamachi18
散髪屋の回転広告の中に入ってしまうという体感的な作品。

 

写真をうまく撮れなかったのですが、真っ暗な部屋にライトを点けた模型列車が走っていくと、線路の脇に置かれた妻有の様々なモチーフが壁に投影されていくというクワクボリョウタさんの作品が、意外性もあってとても面白く思いました。

 

120818tohkamachi19
アート作品を見た後に街を歩いていると、何気ない光景がアートに見えてきたりするのですよね。
そういうところも面白いと思います。

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場
 (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月20日 (火)

新潟さと歩き(4)囲うと溶かす

120818kakou4_2
十日町など、新潟の妻有地域の町を歩いていてすぐに気付くのは、窓枠にフックが付いていることです。

 

120818kakou5
こういう状態のものを見ると分かるのですが、冬場に1階が雪に埋もれてしまうのですね。こうしておかないと雪の圧力で窓ガラスが割れるかもしれないし、窓が開かなくなるのでしょう。新しい住宅にはフックが付いてないのも見ましたが、たいがいの建物についていました。
夏でも板をはめたままの建物も時々ありましたが、西日除けなんでしょうか。

 

120818kakou6_2
そしてセットされた風鈴。
これに何か目的があるのかは分かりません。

 

120818kakou1
囲っておかないと出られないということで、車庫はもちろん囲われています。

 

120818kakou2
消火栓も囲われています。
いろんなものが囲われています。

 

120818kakou3
一方、前に津南で取り上げたこの池。屋根から下ろした雪を溶かす池です。
鯉を飼うのはボウフラ除けの意味もあるのかもしれません。
雪 → 池 → ボウフラ → 鯉 → 副業に?
隣の小千谷は錦鯉の産地です。

 

これも豪雪地帯の風景といえます。

 

120818kakou7
こちらは松代の池。
夏空が映り込んでいます。

 

風土への工夫がつくる風景は、独特の魅力があります。

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場  (4)囲うと溶かす
 (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月22日 (月)

新潟さと歩き(3)十日町の木造工場

120818mokukou3
新潟の十日町は絹織物の町です。
町のあちこちで板壁の木造工場を見かけます。
津南の元工場に続き、今回も木造工場を紹介します。

 

バスに乗った際、十日町駅の西側で木造工場2つが目に止まりましたので、後で見に行ってみました。
表通りからは1本引っ込んだ場所にあります。
マップで見ると紬を作られている根啓織物さんの工場らしいです。

 

120818mokukou2
反対側から。
2つの工場が渡り廊下で連結されています。
雪深いこの地では渡り廊下が冬場に必要なのかもしれません。
あるいは織物を雨に濡らさないためか。

 

120818mokukou4
もう一つの工場はこちら。
どの工場も細長くて似ていますが、それぞれに違います。
この工場の屋根は片側が寄せ棟で、反対側が切妻。

 

120818mokukou5
反対側から。
この工場も2つの工場が連結されています。

 

120818mokukou6
(株)山モ庭野工場と書かれています。
下見板張りの壁に、縦長の上げ下げ窓がレトロな雰囲気。

 

120818mokukou8
入口も木の扉のままです。

 

120818mokukou1
十日町の体育館に近い工場。根善織物さん。
2棟の工場が直接連結されています。

 

120818mokukou9
現代美術館「キナーレ」の裏手にあった工場。
表札によると生糸商の高三商店さんです。
保税工場の表示もありました。

 

120818mokukou10
三角屋根の建物から両翼が伸びるきれいなデザイン。
両翼を建て増したようにも見えます。

 

120818mokukou11
これも「キナーレ」の近くです。
住宅のようでもありますが、生糸卸の高貞株式会社さんの連絡所となっています。

 

120818mokukou12
板壁が複雑な形です。

 

十日町はもともと麻織物(越後縮)の産地だったのが、幕末に絹織物に転換、時代に合わせて変わり続けてきたそうで、現在も着物の町として生き残っています。
この地で「大地の芸術祭」が開催されているのも、芸術性のある絹織物を作っていることが素地としてあるのかなと感じました。

 

(参考)
 「織物の系譜 十日町市織物のあゆみ」

 

<関連記事>
 ○新潟さと歩きシリーズ
 (1)大地の芸術祭2012  (2)津南の木造工場など  (3)十日町の木造工場
 (4)囲うと溶かす  (5)大地の芸術祭・十日町会場  (6)除雪車のダンス  (7)文字通り小千谷  (8)土の学校  (9)眺める部屋  (10)絵本の学校  (11)泊まれる学校  (12)松代の街道(完)

 

 ○これまでの新潟の記事の目次

 


より大きな地図で 越後妻有 を表示

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧