宮の腰公園と浄水場(名古屋市千種区)
前回の記事に出てきた鍋屋上野浄水場の北側に、宮の腰公園という昭和15年に開設された小さな公園があります。
細長い公園の四辺が全て道に接していて、見通しの利く公園です。
この公園、附近の他の公園と違うのは、三菱から(県に?)寄附を受けてできた公園ということです。
工場地帯の防空公園として運動場・児童公園等が整備され、昭和19年に市に移管されましたが、空襲により完全破壊されてしまったそうです。(名古屋都市センター『戦前の名古屋都市計画史について』)
訪問日:2018年10月8日
宮の腰公園の入口です。
現在、宮の腰公園という表記ですが、元々は宮ノ腰公園だったようです。
公園内、あちこちトラフェンスで囲われていて、何が改修されているのか気になりました。
ストリートビューで確認すると、ここは雲梯とジャングルジムを組み合わせたような遊具があったようです。
反対側から見るとこんな感じです。
ちょうど台風21号・24号の後でしたのでその復旧関係かなとは思いましたが。
ストリートビューを見ると、時計の柱が立っていたようです。
他にはよく見かけるグッドデザインの水飲み場。
やはり空襲で完全破壊と言われる通り、戦前のものらしきものは確認できませんでした。
公園に見どころがなかったので、ついでに鍋屋上野浄水場の写真も載せておきます。
この写真は浄水場南側の歩道橋からで、ここからは敷地内の様子がよく見えます。
奥には緩速濾過池が見えます。
木曽川から引いた水を砂の層にゆっくり通す間に、池に住み着いた藻類や微生物などによって水を浄化します。
大正3年に8つの池ができ、昭和3年に6つの池が追加されて、近年まで使われてきましたが、平成26年に新しい池に更新されました。
その浄水場の南西角に、平成6年(1994年)に水道通水80周年で整備された水道公園「水の丘」という公園があります。
この時は噴水は動いてませんでした。
こんな感じで段々になっていて、水が流れ落ちていくので水の丘ということなんでしょうね。
この丸いの気になりますでしょう?
陶丸=「鍋屋上野浄水場の急速ろ過池の下部集水装置に使用されていた磁器質の球」とのこと。
他にもこの公園には、浄水場の石積や沈殿で取り除かれた砂や泥を利用した煉瓦が使われているそうです。
浄水場から東山配水場までの送水管の上は天満緑道になっていて、このルートは水の歴史プロムナードとして、案内板や小川などが整備され、所々にかつて水道施設で使われていたものが屋外展示されています。
例えばこれは仕切弁。
イギリス製で、明治44年から約70年、鳥居松沈殿地で使われていたものだそうです。
こちらはY字管。
昭和6年から鳥居松沈殿地で使われてきたものです。
水を2方向に分けるものだそうです。
こんな感じで水道の歴史にも触れながら歩けるようになっています。
公園を求めて行った訳ですが、思いがけず水道の歴史をたどることになりました。
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日常旅行日記「近代の公園目次」
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