ジャンボフェリーで屋島へ(香川県高松市)
2022年9月に屋島を訪ねた時の話を書きます。
この時は神戸からジャンボフェリーを利用しました。
ジャンボフェリーの会社案内を見ると、明治10年に高松で代々米問屋を営んでいた加藤彌太郎が旧高松藩の船2隻を船頭家ごと譲り受け、大阪〜香川の貨物輸送を始めたことから書き起こされていますが、直接的には昭和44年に加藤汽船と関西汽船の共同運航で、阪神〜高松のカーフェリー「ジャンボフェリー」を就航させたのが始まりです。その後、加藤汽船の単独運航を経て、平成15(2003)年、元社員に事業譲渡する形でジャンボフェリー株式会社に航路が移管されました。
たまたまでしたが、この時、ジャンボフェリーに乗ったのは四国村の話につながって良かったと思います(後日記事にします)。
訪問日:2022年9月10日
何か思い入れがあって乗ったわけではなくて、船が好きなのと高松に行くのに便利だからという選択です。
深夜便で午前1時に出発して、朝5時15分に到着する便があります。
通常1990円のところ、深夜料金+500円、土休日料金+500円で2,990円でした。
乗船するとキラキラのロビー。
ひと昔前の船はこんな感じですね。やたらと明るい。
この時の船は「こんぴら2」。平成元(1989)年就航の船です。
この船は私が乗った3ヶ月後の2022年12月17日、新造船あおいと入れ替わりで引退しました。
神戸港への入港回数がフェリーで国内最多、明石海峡航路の通過回数が世界最多などの記録を持っていたそうです。
→引退についての記事 ジャンボフェリーHP「「こんぴら2」、延期後の引退日が12月17日(土)に決定」
(その後、2023年2月20日にバングラデシュのチッタゴンで解体されたそうです(あまがみさんのブログ記事「こんぴら2」)
図らずも記念となる乗船になりました。
乗船するとこんなものがありました。
フードコートの呼び出しベルみたいなもので(というよりそのもの?)、左が高松行き用、右が小豆島行き用です。
とくに高松行きは午前5時15分に下船し損ねると小豆島まで連れて行かれます。
この機会なので、もちろん使ってみました。
雑魚寝のカーペット席で、4時間後に下船では寝られません。
とくにこれを使わなくても船内放送が入ります。
フェリーの後部甲板。使い込まれた甲板の風合いがいとおしい。
薄明の高松東港に到着しました。
右に屋島の影が見えます。
まだ朝の5時。時間はたっぷりありますし、こんなに近いのならと歩いていくことにしました。
フェリーターミナルの外には「加藤汽船」の文字がありました。
普通は徒歩ならリムジンバスで高松駅に向かうところで、歩いて出ようとすると迷ってなかなか出られません。
「ようこそ香川県へ」の看板。
到着した感があります。
港にあったコンクリートの謎の構造物。
分かりませんが、とりあえず記録しておきます。
まず詰田川大橋を渡り、高松パブリックゴルフ場(塩田跡地)を右に見て、今度は屋島大橋を渡ります。
屋島がだんだん近付いてきます。
だんだん明るくなる空。
海の向こうに豊島や瀬戸内の島が見えます。
そろそろ渡り終わる頃、相引川と新川を隔てる長い石の堤がありました。
延々と続いています。
橋の反対側の歩道を歩けば何本もの堤が見えたかも。
相引川は両端が海という珍しい河川で、屋島を四国から切り離している川です(そうは見えませんが)。
渡った先にあるのは東部下水処理場です。
実はこの下水処理場のある場所は屋島浜と言って、明治39年から工事が始まって明治末年までに完成した、比較的新しい塩田跡地らしいです。
敷地の境界には土手が続いています。塩田の頃からあるものなのでしょうか。
(高松市HP「東部下水処理場内の塩田跡地の紹介」)
東部下水処理場の地図です。
営業時間なら構内に入って塩田遺構など眺められるんですが、朝早すぎたので通過しました。
東部下水処理場の東の境界。
この水路の左が屋島浜の塩田(1907〜1910年築造)で、右が亥浜の塩田(1755〜56年築造)、奥が潟元新浜の塩田(1842年築造)なので、かつては全て塩田でした。(児玉洋一著「高松地区塩田の史的研究」(1955年)より)
またこの地域の塩田については、屋島に行こうHP「屋島の塩田」に紹介されています。
塩田を隔てる川。
水路の両側に杭のようなものが打ってあるのはどんな目的があるのでしょう。
気になります。
コンクリート橋ですが、橋脚の部分が石積みで、古い橋のように思われます。
八坂神社の鳥居の向こうには屋島の峰が見えていました。
次の記事では屋島に登ります。
ところで今回歩いた道は塩田跡の間を抜けるような道でした。屋島の東側にも塩田があります。
瀬戸内の海岸を歩くとかなりの頻度で塩田跡に出会いますし、そこが工業地帯になっていたりします。塩田は土地の改変に(しばしば新しい土地を生み出すこともあり)大きく影響してきました。もっと塩田について知っておくべきかなと思っています。
<関連記事>
⚪︎ジャンボフェリー
「夏の香川・島めぐり(14)小豆島へ」 この時は「りつりん2」に乗ったようです
⚪︎塩田関連
「赤穂の塩の役所」(赤穂市・2008年4月)
「大毛島から高島へ」(鳴門市・2016年9月)
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