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2024年4月 4日 (木)

四国みぎした旅行(25)津呂の港(高知県室戸市)

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2023年GWの高知旅行の続きです。
この時の旅行で一番印象深かった町は室戸市の津呂(つろ)でした。

そのうち今回は港を紹介します。現在では室戸岬港と呼ばれる港です。
以前訪ねた室津よりも南、室戸岬寄りにあります。

旧港はこの写真に収まるぐらいで、切り立った斜面に囲まれ、港口の漁協の建物が異様に存在感を放っています。
前年にも日が傾いてからこの港の脇を通り、そびえ立つ建物が印象に残っていました。
手結(てい)港よりは広く、室津港よりは狭い港です。

津呂には高知東部交通の営業所があるので、ここを始発・終点とするバスもあり、比較的行きやすい場所です。

訪問日:2023年5月1日


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<昭和22年米軍撮影空中写真 国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より>

戦後すぐの室戸岬港の様子です。
直近の昭和東南海地震で隆起したため、岩礁が顔を出しているようです。
その時、港内は掘り下げられました。
津呂の旧港は写真で一番右奥に当たります。
いかにも岩盤を掘り込んだという印象を受けます。

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港の北東には「昭和九年海嘯襲来地点」の標石が立っています。
昭和9年とは室戸台風のこと。海面からは結構高さがあるのですが、この高さまで高潮が押し寄せたということです。
同様の標石は集落の何ヶ所かで見かけました。

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港の南には、相似た2つの記念碑が並び立っています。

右が「紀貫之朝臣泊舟之處」、左が「野中兼山先生開鑿之室戸港」(ともに昭和3年)です。
まず紀貫之というと土佐日記。平安時代、土佐国司としての任期を終えた紀貫之が船で京へ戻る途中、この港(その頃はこんなに立派ではないですが)に10日間停泊したことを記念しています。

野中兼山は江戸時代、土佐藩の家老として藩政改革に取り組み、各地で土木工事も行ったのですが、港湾開発では先日取り上げた夜須の手結港を整備しました(1655年完成)。日本最初の掘り込み港と呼ばれる港です。
その後、この津呂港を港口を締め切っての掘り込み工事で寛文元年(1661年)に完成させました。すぐ次に室津港の工事に取り掛かったのですが、間もなく失脚したため、工事は後任者に引き継がれました。

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記念碑の脇には解説板が立っていて、紀貫之や野中兼山について解説されています。

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記念碑の脇には津呂村道路元標があります。
ここが町の中心ということになります。

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その間には遍路道の道標もありました。

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近くにあったレンガ積みの遺構。何なのかは不明。

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この港は西に開けていますので、西陽を浴びて情感が増しています。
1台の自転車が走っていきました。

隆起によって港は壁に囲まれるようになり、箱庭のような印象も受けます。

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この港で面白いのは南東部分が切れ込んでいること。
この部分の道路は高架になっています。

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その真下には水が流れ込むらしく、水場が設えてあります。
ここで漁具や魚を洗ったりしたのかもしれませんね。

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この部分にはむき出しの岩盤が露出しています。
(他の部分はほとんど石垣を積むか、岩盤をコンクリートで覆っています)

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港を通る道路と船が係留されている犬走りの間は何ヶ所か階段で結ばれています。
ほとんどは直線の階段ですが、この階段は岩盤の上を折れながら下っています。

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横から見るとこうなります。
コンクリートで固められた岩盤が張り出していることが分かります。

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下に降りてみると船を係留する係船柱があり、いくつかはコンクリートを充填された陶管です。
同様のものは室津港でも見かけました。

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こちらも同じく陶管の係船柱。
摩滅して味わいが出ています。

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港の周囲は低いコンクリート柵で囲まれています。

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港の海側には頑丈そうな建造物がありました。
冷蔵倉庫とかでしょうか。

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やがて日も暮れたので、もう歩き回るのはやめて岬屯所前のバス停でバスを待ちました。

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すっかり暗くなった港を日の名残りが淡く染めています。

この後来たバスで安芸に向かいました。

<関連記事>
 「四国みぎした旅行(10)隆起する室津港」(室戸市)
 「四国みぎした旅行(17)夜須の手結内港」(香南市)

 「四国みぎした旅行(1)高知県境の町へ」 ※シリーズ最初の記事

 

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