« 四国みぎした旅行(12)室津のいろいろ(高知県室戸市) | トップページ | 四国みぎした旅行(14)奈半利の北側(高知県奈半利町) »

2023年3月15日 (水)

四国みぎした旅行(13)奈半利の南側(高知県奈半利町)

220506naharis1

2022年GWの四国旅行の続きです。

室戸を歩いた後、高知東部交通バスに乗り、今度は海岸沿いに西を目指しました。
昨日泊まった吉良川を通過してさらに西へ。
だんだん空が明るくなってきます。

220506naharis2

奈半利(なはり)が近づくと海岸沿いに貯木場が見えました。

かつて山中で刈られた魚梁瀬(やなせ)杉は、最初は川で、後には魚梁瀬森林鉄道で運ばれ、ここ六本松に昭和6年開設された貯木場から阪神方面に出荷されたといいます。鉄道はとうにありませんが、物流の慣性はまだ働いているようです。

220506naharis3

次の目的地としていた奈半利(なはり)の街に到着しました。
奈半利駅まで行くと行き過ぎのような気がして、奈半利竪町のバス停で下車。ちょうどいい場所だったようです。

ここは街並みを資源とする観光地で、大きな観光地図が掲示されています。
奈半利は土佐東部の陸海交通の要衝として、中世より木材の積出港、明治以降は樟脳や捕鯨、製糸業、運送業など様々な産業が興りました(なはり浦の会「なはり 路地がおもしろい」)。

220506naharis4

バス停の近くに水切瓦の付いた蔵がありました。

220506naharis12

貼られていた解説板を読むとこの建物が「「土蔵のギャラリーのある家」竹崎家住宅(高田屋)」で、明治23年頃築の登録文化財であることが分かります。樟脳業で栄えた商家だそうです。
この種の看板が要所要所の建物に掲示されていましたので、解説板を読みながら歩くだけでも情報は入ってきます。

お店をされているので入ってみたのですが、どこからか声は聴こえてくるものの、あまりズカズカ入っていくのもためらわれて引き返しました。

220506naharis5

細い道を挟んだ向かいには「集落活動センター なはりの郷」がありました。
大正初期頃の旧弘瀬家住宅を活用しています。
ここでガイドマップなどをもらって少しお話を伺いました。
職員の方のお話では向かいの竹崎家住宅のご主人はこの街にとても詳しい方だそうです。

220506naharis6

マップを見ていると、奈半利は南北の紡錘形の道沿いに、古い町並みが固まっていることが分かります。
そこを今来た国道55号線と旧街道が東西に貫いています。
ですので、この紡錘形の道を一周することにしました。

吉良川の「いしぐろ」同様、このような石積みの塀をよく見かけます。
種類も半割だったり、丸石だったり様々です。

220506naharis7

南に進むと薬局をされている東山家住宅(登録有形文化財)がありました。
元は明治38年頃に建てられた土蔵で、初代当主は製材業を営んでいたそうです(解説板より)。
「便所・風呂棟は改築されているが、当家の建築当時の青色の模様のある装飾タイルが使われている」と説明されています。

 →なはり浦の会「藍色のタイルが貼られた風呂・厠棟」

220506naharis8

この建物を見上げると何やら墨の模様が。
この描き方からいって戦時迷彩(第2次大戦中、白壁が空襲の標的になることを恐れ、墨を塗って目立たなくしたもの)ではないでしょうか。軒下部分が風雨にさらされずに残ったように見えます。
もしそうだとすれば、貴重な歴史の痕跡であるとともに、70年以上も傷まない土佐漆喰の強さを示していることにもなります。

220506naharis9

この建物の横の塀が可愛らしい形でした。
隅石は四角く、白壁に丸石が埋め込まれています。

このあたりが旧市街の南の端ですが、見たいものがあって、ここから東に大きく寄り道しました。

220506naharis10

途中にあった和洋折衷の下見板張りの建物。
医院っぽいつくりにも見えますが不明です。
空き家のようです。

220506naharis11

その近くの濱田典弥住宅(登録有形文化財)は、大地主の家で、右奥の土蔵は明治後期、主屋や石塀などは昭和9年築だそうです。

 →なはり浦の会「濱田典弥家住宅の特徴」

220506naharis13

水切瓦は古い住宅だけでなくて、このように新しい住宅でも使われていて、生きたデザインという感じです。

220506naharis14

神社の前を緩やかにカーブする道。
この道は実は、魚梁瀬杉を貯木場まで運搬するための魚梁瀬森林鉄道の軌道跡です。
この区間の奈半利川線は昭和8年に開通して、昭和35年頃まで使われていたようです。
そして奥に見えるのは・・・

 

220506naharis15

法恩寺跨線橋(昭和6年頃)です。
旧道から左の丘の上の三光院に参るための参道です。
マップのイラストを見て訪ねてみたくなり、寄り道してここを訪ねました。

220506naharis18

石造のアーチ。
馬蹄形の美しいアーチです。

220506naharis20

石の階段は斜めになっていました。

220506naharis17

跨線橋の欄干の繊細な縁取り。

魚梁瀬森林鉄道については、詳しい方が何人も書かれていますのでそちらに譲ります。

<例えば>
 なはり浦の会「魚梁瀬森林鉄道」
 歩鉄の達人「廃線探索 魚梁瀬森林鉄道」

220506naharis16

旧市街に戻るついでに、奈半利港も覗いてみました。

220506naharis19

正覚寺の石塀はあまり加工していない石を積み上げているようです。

このあたりまでが奈半利の旧市街の南側です。
続いて北側を回ります。

<関連記事>

 シリーズの最初の記事
 (1)高知県境の町へ

|

« 四国みぎした旅行(12)室津のいろいろ(高知県室戸市) | トップページ | 四国みぎした旅行(14)奈半利の北側(高知県奈半利町) »

国内旅行(高知)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 四国みぎした旅行(12)室津のいろいろ(高知県室戸市) | トップページ | 四国みぎした旅行(14)奈半利の北側(高知県奈半利町) »