四国みぎした旅行(9)吉良川の2つの橋(高知県室戸市)
2022年GWの四国旅行の続きです。
話は前後するのですが、吉良川の町を歩くのに、端から端まで歩いてみようと、まずは東の端に行ってみました。
集落の東の端は東ノ川になっていて、国道のあたりから見ると上流にもう一本の橋が見えます。
行ってみると傾いた古い親柱がありました。これは期待できます。
傾いた親柱。「東ノ川橋」と書かれています。
結構大型ですし、装飾的です。
橋を渡って、吉良川の町の方を見てみます。
こちらの方は草が刈られていて親柱全体がよく見えます。
こちらには「昭和十一年五月架設」と書かれています。
左側に伸びる柵もあります。
時代的にはアールデコなんですが、なんとなく日本では大正時代のセセッションを感じるんですよね。
ここに限らず、四隅が突き出して半球が乗ったデザインは、ウィーンの分離派会館を思わせるなあと思っているのですが(思っているだけ)。
凹みにラジエーター風の装飾が入るのはアールデコか。
架設年のプレート。
ただ、この橋に感心して眺めながらも、こういう看板が立っていました。
「東ノ川橋仮橋設置工事」「令和4年3月5日から令和5年1月1日まで」
今頃はもう終わってますね。
こういう記事も出ていました。
建通新聞電子版「室戸市 東ノ川橋架け替え」(2019/10/31)
迂回路の大平バイパス線新設が完了した後の2021年度に架替えを発注予定と書かれています。
現在の東ノ川橋は橋長約60m、全幅約5mの5径間鉄筋コンクリート橋とのこと。
橋の欄干は、下流側では既に撤去され、上流側もかなりカットされて、ガードレールが設置済でした。
少し遅かったみたいです。
欄干の鉄筋コンクリートの断面。4本通った鉄筋は芯まで錆びてますね。
コンクリートには白い石がゴロゴロ入っているみたい。
ここで改めて町並みの地図を見ると、西側にも橋が二重に架かっているのが分かります。
気になります。西側は集落が途切れたまだ先なのですが、足を伸ばしてみました。
行ってみると果たして古い橋がありました。
それもさっきのよりかなり長い。
「昭和十一年七月架設」と書かれています。
ということは東ノ川橋とわずか2ヶ月違いです。
何かきっかけがあったのか調べてみると、室戸台風が昭和9年9月21日に襲来しています。
四国災害アーカイブスより 「室戸市史上巻」p619に吉良川の被害状況が記されています。
高潮により180棟の住家と190棟の非住家が倒壊、道路・橋梁が破壊され、船が流出したということです。
おそらくその被害を踏まえて、翌々年の台風シーズン前に頑丈な鉄筋コンクリート橋を完成させたのでしょう。
長さは約200mもあります。道幅が狭くて欄干も低いので、余計に長く見えます。
欄干越しに上流側の風景。
西ノ川が流れています。
上流側にはパイプも通っています。
水道管なんでしょうか。
下流・海側はこのようにすっきりしています。
橋の西側の親柱。「吉良川橋」と書かれています。
ここに通学路見守りボランティアの方が立っておられて少しお話しました。
橋の西側から吉良川の町の方を見たところ。
橋の西側に吉良川中学校があるので、こうやって生徒さんたちが自転車で登校してきていました。
車は海寄りの国道55号を走りますので、吉良川橋は安全な通学路また徒歩や自転車の高齢者の通り道になっていました。
この長さの橋を架けかえるのはたぶん東ノ川橋のようにはいかなくて、不本意なのかもしれないけれど、もうしばらくはこのままかもしれません。ただこの趣きある橋が残ってくれたらいいなとよそ者としては思うのでした。
この2つの橋については、「まちかど逍遥」でも紹介されていました。
まちかど逍遥「吉良川の2つの橋」
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シリーズの最初の記事
(1)高知県境の町へ
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