宮崎の旅2019(6)皇宮屋(宮崎市)
また間が開きましたが2019年GWの宮崎旅行の記事です。
平和台公園の平和の塔(八紘之基柱)を見た後、皇宮屋(こぐや)跡に向かいました。
のちに神武天皇となる神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)が大和への東征に出発する前に過ごした宮跡として聖蹟観光地の一つでしたが、今も賑わう宮崎神宮や平和台公園と違って、こちらはひっそりとしています。
実際には逆コースで回ったのですが、わかりにくいので巻き戻すように紹介します。
皇宮屋の入り口はこのように住宅地の端で、大きく育った参道の木々の向こうに丘が迫っています。
木々を抜けると見通しが良くなり、階段の登り口に灯籠が並んでいます。
この凝った灯籠は明治40年(1907年)です。
階段を上がっていくと、脇に変わった形の石碑がありました。
昭和9年(1934年)、宮崎神宮などで行われた「神武天皇御東遷二千六百年記念祭」の際に設置された「聖蹟皇宮屋」という記念碑です。
出発から6年後に即位することになるので、記念行事も6年の時間差があります。
聖蹟皇宮屋 恭しく惟うに 昭和九年十月五日 宮崎県知事 君島清吉 |
※旧字体は可能な限り新字体に変更しました。
送りがなはカタカナをひらがなに改めました。
適宜、改行や句読点を追加しています。
不正確かもしれませんので参考程度にご利用下さい。
「祓浄」とありますので草木が茂っていたのでしょう。昭和9年の大祭を機に境域が整備されたことが分かります。
階段の途中から振り返ったところ。
脇を見ると立派な石垣が築かれています。
進んでいくとまた石碑があります。
草書なので私には読めませんが、隣にちゃんと解説板があり、設立経緯や背面の碑文の書き起こしまで示されていました。
表面に書かれているのは和歌です。
宗教法人国柱会の設立者・田中智学氏が昭和4年に久しく荒廃した皇宮屋跡を訪ねて詠んだ歌だそうです。
この訪問を機にこの聖蹟を顕彰することを勧め、神武天皇東遷二千六百年祭の際に皇宮屋も整備されることにつながったという経緯が記されています。記念碑自体は昭和10年に完成しています。
その先には高さ12mの大きな記念碑があります。
写真で分かりにくいかもしれませんが、積み上げた石が矛の形に凹ませてあり、そこに「皇軍発祥之地」という文字が刻まれています。
紀元二千六百年記念事業で建てられた「皇軍発祥之地碑」(昭和16年起工、昭和17年末頃完成)です。
(出典:宮崎神宮公式HP)
八紘之基柱と同じく、日名子実三氏による造形だそうです。
また「海軍発祥之地」碑も同じく日名子実三氏の造形で、船出の地である美々津の立磐神社に置かれています。
こちらは陸路での出発点ということでいわば陸軍の発祥地ということなのでしょう。
背面には木の扉があります。
中には何か納められているのでしょうか。
前面にはコンクリートの柱があって、何も書かれてはいませんが、国旗掲揚台かと思われます。
さらに進んでいくと、現在の皇宮神社(明治10年に宮崎神宮の摂社という位置づけになった)の社殿が見えてきます。
ちなみに現在の社殿は、伊勢神宮の昭和48年の式年遷宮の際に出た外宮外幣殿の材をいただいて昭和51年に改築したということですので、元は昭和28年の建物ということになるかと思います。
なお、もともとの社殿は少し離れた所にある、こちらの小さな場所でした。
昭和9年の神武天皇御東遷二千六百年記念祭の時に境域が拡張されたということです。
この旧社地には「経壟記」と書かれた石碑が立っています。
これは、江戸時代の弘化3年(1846年)、下北方代官所に赴任した代官・瀧口常裕がこの地の由来を刻んだものだとのことです。
神武天皇ゆかりの地が荒れ果てて、土地の人もその由来を忘れていることを嘆いています。
・・・ということが隣の看板で説明されていました。
翌弘化4年(1847年)藩費で社殿が再建されました。
荒廃と再建が繰り返されてきたということになります。
皇宮神社を抜けると住宅地ですが、所々に案内の道標が立っています。
聖蹟めぐりの便のために設置されたのでしょう。
こういう道標がまちなかにひっそりと残っています。
宮崎市での聖蹟観光の話はここまでです。
それ以外の宮崎市内のあれこれをもう一回で紹介します。
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