笠岡の海辺の建物(岡山県笠岡市)
時系列では笠岡住吉のりばから笠岡諸島に向けて出発する前になりますが、笠岡の街の山陽本線より南側をぐるっと回りました。
線路の北側は、前に来たときに回っていたためです。>「笠岡駅前の建物など」 など
線路の南側は、江戸時代以来の干拓地・埋立地で、近代の倉庫などが建ち並ぶ港の風景です。
笠岡駅から港へはいったん線路沿いに東に進んだ後、地下道をくぐっていきます。
地上に出た後、最初に気になったのは、国道2号線に面する住吉理容院でした。
レトロな散髪屋さんらしい扉と窓です。
住吉はこのあたりの地名ですが、ふと思い返すと住吉神社を見た覚えがありません。
あれ?と思って調べてみると、もともと江戸時代に干拓された時にその先端に勧請されたのですが、恐らく明治時代に移転させられて、現在は古城山の麓の神社に合祀されているとのこと。道理で記憶にないはずです。
>(参考)かさおか遊歩さんの記事
干拓地に住吉神社というのは大阪と似ていますね。
旅客船のりばのあたり、板張りの建物が多いです。
例えばこちらとか。アパートのようです。
看板建築っぽい商店。
たばこの自販機やペプシコーラの看板があるので、雑貨店でしょうか。
こちらも古い商店のよう。富士産業と書かれています。
灯油を扱われていたみたい。
港に古そうな塔がありました。
燈台というには小さいですが、照明用ではありそうです。
石積の雁木もあります。
港に板張りの事務所がありました。
笠岡渡船の待合所です。磯渡しや海上タクシーで今も営業中です。
さらに西に進むと2つ近代の建物が並んでいます。
左の和風の建物が駒口肥料店の店舗(昭和12年?)、右が関藤商店店舗(昭和4年)です。
駒口肥料店の方は岡山県の近代化遺産総合調査報告書では住所が違っているのですが、そちらの住所に別にあるのか、誤記なのか不明。
フォントの大きさがインパクトの大きい関藤謙治商店。
石炭・セメント・煉瓦・土管と書かれていて、明治29年創業の建築資材卸会社です。
現在も関藤商店(株)として、セメント販売を中心に営業されています。
その関藤商店のすぐ裏には赤煉瓦倉庫がつながっています。
こちらは昭和14年らしいです。意外に新しい。
そして関藤商店の向かい、跨線橋の下が笠岡市交通公園(現在は西ノ浜北児童遊園地)になっていて、保存車両が1台置かれています。
日本道路公団の立神弘洋夫妻が横浜で交通事故で亡くなられたのを悼み、ご遺族の寄附により昭和43年にできた公園です。
ということは笠岡にご縁のある方なのでしょうか。
保存車両は、車内の解説によると旧井笠鉄道のホジ9号です。
昭和7年に大阪の梅鉢鉄工所(のちの帝国車輌工業、東急車輌に合併)で製造されたそうです。堺ですね。
ガソリンエンジンで、前後に鮮魚台という荷台が付いているのが特徴だそうです。
旧井笠鉄道跡については、前に記事にしました。
>日常旅行日記「井笠鉄道跡」
中にも入れます。
車窓から関藤商店を眺めながら弁当を食べられるかな、などと妄想。
その先にある前川製材所事務所。古そうですが詳細不明。
笠岡はかつて桐下駄や家具などが特産だったそうで、それと関係があるのでしょうか。
前川製材所はかなり広い敷地でたくさんの倉庫が並んでいます。
こちらもその一つで現在は貸倉庫になっています。
岡山県近代化遺産総合調査報告書で、明治45年の木造倉庫があるという記載ですが、どれがそれにあたるのか分かりません。
ちょっと笠岡市郷土資料館にも立ち寄りました。入館料50円。
1室だけですが、販売の地図や資料などが充実しています。
屋外には江戸時代、笠岡港の船積み・荷揚に従事する浜仲仕が鍛錬し、力を競ったという力石を展示しています。
それで給金が決まったといいますから真剣勝負。
再び西の浜に戻って、高野山真言宗の光明山遍照寺。
以前、街中で多宝塔とイチョウの木だけが残されているのを見たお寺です。
>日常旅行日記「笠岡駅前の建物など」
昭和52年に土地区画整理事業によりこちらに移転。
多宝塔を移築する予定なので、余裕のある境内です。
山門には仁王像もあって立派なお寺です。
西の浜は江戸時代から昭和50年までという長い期間をかけて埋め立てられました。
おそらくこの堤防はその途中の名残でしょう。
残されていた煉瓦塀。
竹原の吉名煉瓦らしき刻印がありました。
この向こうに旧井笠鉄道の関藤社長のお宅があったということで、隣の洋風住宅とともにグーグルストリートビューでは今も見られますが、残念ながら解体されていました。
>(参考)ぼっけえ笠岡「西の浜・倉庫群」
このあたり土壁板張り、煉瓦、漆喰土蔵と様々な様式の倉庫がたくさん残っています。
こちらは煉瓦と土蔵の倉庫が並んでいます。ともに第一金属倉庫で、煉瓦が大正10年、土蔵が昭和6年だそうです。
最後に旧中備素麺同業組合事務所(昭和5年)。組合から笠岡市に寄贈され、現在はNPO法人ハーモニーネット未来(旧子ども劇場笠岡センター)が入居されています。
立ち寄りたかったのですが、船の出発が迫っていたので今回はあきらめました。
西の浜には、街の北側とはまた違った港らしい倉庫・建物の風景が広がっていました。
今回の笠岡の記事は以上です。
読んでいただきましてありがとうございました。
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