アールデコの紫野柳児童公園(京都市北区)
話の流れで、3年前に訪ねた京都の紫野柳児童公園も紹介しておきます。
昭和10年に区画整理事業でできた公園です。
地下鉄の北大路駅から近く、訪ねやすい場所です。
周辺の住宅地には近代の住宅もあり、周りをぶらぶらするのも楽しいと思います。
住宅地を歩いて行くと、紫野柳公園の低く長い塀が現れます。
既に遅い時間だったので写真が暗くてすみません。
訪問日:2016年2月6日
東西に長い長方形の紫野柳公園は、南側に2つの入口があり、どちらも同タイプです。
アーチ型の門柱に、塀がアールを描いてつながっています。これは下鴨森ガ前児童公園とも全く同じタイプです。
新しい公園表示がかかっているところまで同じ。
西側の入口だけが小振りで、内側に4分の1の円弧を描いているのが違います。
この公園での鑑賞ポイントは、やはりラジオ塔のあるテラスです。
恐らくオリジナルのデザインが残されています。
スリットやラジオ塔の尖塔アーチ、丸窓に格子といったデザインが盛り込まれています。
ラジオ塔の背後には国旗掲揚の柱が取り付けられていたようで、国旗掲揚台を兼ねたデザインになっています。
丸窓に鉄格子のデザイン。
これは地蔵本児童公園でも似たようなデザインを見ました。
(いずれ記事にします)
テラスはそんなに高くはないのですが、公園全体を見渡すことができます。
象を抽象化したようなジャングルジム兼滑り台。
紙屋児童公園で見たのと同タイプの遊具です。
滑る面が手のひらの幅ぐらいしかなくて、よくこれで滑ることができると思います。
そしてこの公園のもう一つのポイントは、洛北中部五地区土地区画整理碑(昭和10年)と、その右にある池田新兵衛・舩越嘉右衛門顕彰碑です。前者は(たぶん後者も)公園開設と同時に設置されています。
ありがたいことに京都市歴史資料館のデータベースに、碑文が紹介されています。
○洛北中部五地区土地区画整理碑 ○池田新兵衛・舩越嘉右衛門顕彰碑
洛北中部の紫野門前(T10〜S10)・賀茂(T15〜S11)・紫竹芝本(S4〜11)・東紫野(S4〜11)・上堀川(S7〜12)の5つの土地区画整理組合が共同で建てていて、共同で碑を建てるのは珍しい気がします。
ちなみにこの公園があるのは、東紫野土地区画整理事業の施行区域です。
石碑を囲む石は石庭のようで、何かを表しているのでしょうか。
【参考】下村康史氏・飯塚隆藤氏「京都市の土地区画整理事業地における町割方法の歴史的変化について」(『ランドスケープ研究』7(5)、p559〜564、2014年)
それに続く部分は、楕円形のスペースで、幼児用の滑り台やベンチが置かれています。
中央には藤棚があり、テーブルとベンチが置かれています。
テーブルの方は下鴨森ガ前児童公園のテラスで見たものと同じ形で、これはオリジナルなのかもしれません。
土管を縦半分に割ったような遊具?
六条院公園で見たものと同じ形です。
もちろん地蔵堂もあります。
他の公園より立派な出世地蔵尊が祀られています。
他にも遊具はありますが、気付いたところはこれぐらいです。
公園の周辺には古そうな住宅があります。
南側の住宅は煉瓦の透かし塀付き。
西側の住宅は門扉、玄関のアーチや丸窓が古いデザインを示しています。
公園のデザインとともに、周囲の住宅も当時の区画整理事業の雰囲気を伝えています。
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