アールデコの下鴨森ガ前児童公園(京都市左京区)
京都の公園の話はしばらく後かなと思ったのですが、興味深い公園があったので先に紹介します。
左京区の下鴨森ガ前公園です。位置的には、下鴨神社の北に当たります。
写真は北側の入口です。こちらが正面のようで、唯一、公園名が表示されています。
正式な入口は南側にもう1ヶ所。あとは道路に面する三方を大人の腰の高さの低い塀で囲んでいます。
訪問日:2019年2月9日
(「今昔マップ on the web」より加工。25000分の1地図「京都東北部」、昭和6年部分修正、昭和7年発行)
ここで公園の位置を確認しておきます。
下鴨神社の西側には昔から下鴨村がありましたが、下鴨神社の北側は、大正時代頃にようやく都市化した所です。
下鴨森ガ前児童公園があるのは都市化の境界部分で、ここから北が昭和5年から下鴨地区土地区画整理事業の施行区域として、今の北大路通の整備と一体的に急速に都市化していきます。言い換えると自然発生的に都市化した地域と計画的に都市化が進められた地域の境界です。その土地区画整理事業の公園として、昭和10年にできました。
公園に戻ると、公園の門柱や塀にアールデコの雰囲気が感じられます。
門柱に穴が開いていて、何が取り付けられていたのか(内側は門扉かと思いますが)、気になります。
ちなみに同じくアールデコの意匠のある公園として紫野柳公園もそうだったなと思い、写真を確認したところ、門柱と塀のデザインが全く同じでした。同じ昭和10年開設で、こちらもお勧めです。ラジオ塔があります。
ここからまた下鴨森ガ前公園の写真です。
南側の入口についても全く同じデザインです。
デザイン的に面白いのは、塀に所々入っている帯状の装飾が、外側では途中で止まっているのに対して、内側では地面まで降ろされて柱のようになっています。
あとこの公園のユニークなのは公園の真ん中にこういう植え込みに囲まれた区画があることです。
真ん中に十字型の砂場と、それを囲むL字型×4の植え込みがあります。
開設当初のものかどうかは分からないのですが、この十字型の部分は噴水池などではなかったのでしょうか。
また公園の北西側には半円形の藤棚のテラスがあります。奥にベンチとテーブル、両端に花壇が配置されています。
ベンチの脚が逆アールを描いているのもポイントです。テーブルは角餅を載せたようなシンプルな形。
テラスの背後から。公園全体が見渡せます。
保護者がここから子どもを見守ることを想定して設計しているのでしょう。
ただ、今の季節は寒いので、お母さん方は陽の当たる向こうの砂場に腰掛けておられました。
もう一つ見どころはこの国旗掲揚台。
シンプルながら、しっかりアールデコのデザインが入っています。
あと気になる痕跡としては、公園北東部にこういう囲みがありました。
ありえるものとしては水飲み場でしょうか。
あと公園西側に踏み台のようなもの。
子どもの避難用の踏み台というのは考えすぎでしょうか。
ふんだんに施されたアールデコのデザインが残っていて、興味深い公園でした。
このままデザインを踏襲して使われていくと良いなあと思います。
なお、こんな風に障害物が多いので、かくれんぼや鬼ごっこで遊んでいる親子が多くて、楽しそうでした。
<関連記事>
日常旅行日記「近代の公園目次」
| 固定リンク
「日常旅行(京都)」カテゴリの記事
- 元代用公園の耳塚児童公園(京都市東山区)(2024.06.14)
- 元代用公園の松原橋児童公園(京都市東山区)(2024.06.12)
- 北白川の住宅地を歩く(京都市左京区)(2024.06.06)
- 高原児童公園の改修前と後(京都市左京区)(2024.05.30)
- 飛鳥井児童公園(京都市左京区)(2024.05.28)
「公園」カテゴリの記事
- 元代用公園の耳塚児童公園(京都市東山区)(2024.06.14)
- 元代用公園の松原橋児童公園(京都市東山区)(2024.06.12)
- 高原児童公園の改修前と後(京都市左京区)(2024.05.30)
- 飛鳥井児童公園(京都市左京区)(2024.05.28)
- 明田児童公園と殿田公園(京都市南区)(2024.04.30)
コメント