千種区の近代公園(名古屋市)
次は名古屋市の近代の公園を紹介します。
昨年の秋、名古屋市千種区の昭和戦前期の公園を見て回りました。
先にばらしてしまうと、これといった近代の遺構らしきものは見つけられませんでした。
昭和13年の地図では、このあたりです。
(場所は厳密ではありません)
ところが、わずか2年前はこんな状況で、鍋屋上野町には、旧村集落が残り、未開発地が広がっていました。
周辺には名古屋兵器廠、(三菱重工)名古屋機器製作所、名古屋製陶所、鐘ヶ淵紡績工場(鐘紡)、三菱電機製作所といった大工場が並び、相当多くの労働者が働き、住んでいたことが伺えます。
公園に割り当てられた場所は、だいたい旧村の周囲だったことが分かります。
(追記)地図に記載した公園のうち、弁天公園、下方公園の開設年は、『日本公園百年史・附表』から拾いましたが、それ以外の資料で確認できないので保留します。名古屋都市センター『名古屋都市計画公園緑地等の歴史(戦後〜S44)』によれば、下方公園は昭和40年、弁天公園は茶屋ヶ坂公園(昭和26年)から昭和42年に分離となっています。(2019.3.16記)
「名古屋の公園」(昭和18年)によれば、鍋屋上野土地区画整理組合から寄附され、昭和12年に開園した公園です。
園内には松など165本、ブランコ、滑り台などがあると記されています。
現在の公園の表示は比較的新しいものです。
公園は丘陵地に接するような場所にあります。
この写真は北東側から撮っています。
現在、東側にこのグラウンド、西側に遊具が配置されています。
逆に南西側からの写真。
各種の遊具があります。大阪では使用禁止になっていることが多い回転するジャングルジムなども現役です。
国旗掲揚台などないかと思いましたが、確認できませんでした。
「名古屋の公園」(昭和18年)によれば、赤坂公園と同じく、鍋屋上野土地区画整理組合から寄附され、昭和12年に開園した公園です。園内には松など350本の木があり、滑り台、ブランコ2台、併用シーソー等の運動器具の他、パーゴラがあったと記されています。赤坂公園より設備が充実しています。
上野公園の表示はさらに新しい表示です。
公園の北東側から見たところ。周囲を木々で縁取って、中央に広場があります。
まんじゅう型の滑り台というのか、ヨーロッパの砦風の遊具がありました。
公園の中で変わった遊具として、これがありました。
タグボートのようなデザインの砂場、台です。
公園内に、近代のものらしきものは確認できませんでした。
周辺は戦災復興の都市計画で再整備されていますので、この公園も何か影響を受けているかもしれません。
ここで次の公園に移動しても良かったのですが、水の道が気になって、少し寄り道しました。
周辺には古そうな長屋などもありました。
南に歩いて行くと、有名な東山配水塔(昭和5年)の下に出ました。
この屋根って、昭和58年に取り付けられたものなんですね。
もう少し古いものかと思っていました。
斜面に意味ありげに幅を取ってあります。
この下に水道管があるのでしょう。
この背中側に後で出てくる振甫プールなどがありました。
逆に登っていきます。
東山配水場5号配水池(昭和9年)に出ました。
近代のデザインが残っています。
そしてその近くに水の歴史資料館があったので、覗いてみました。
展示物にあった、このあたりの水道施設の青焼き図面。
この水は遠く、犬山のあたりから引かれています。
振甫プールの展示もありました。
水道の関連事業として、昭和8年に名古屋市で最初の市営プールとして建設されたそうです。
ずいぶん立派な飛び込み台、そして観覧席ですね。
振甫プールの平面図。
本格的なプールであることがよく分かります。
もしかして、上に描かれているものが振甫公園なのでしょうか。
現在、鍋屋上野浄水場と東山配水場を結ぶ水道の上は緑道になっていて、ちょうど赤坂公園と上野公園の間を横断しています。
両公園の周辺は水道に関わりの深い場所でもある訳です。
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