木津川アート2016・メイン編
先月、木津川市で開催されていた木津川アート2016を見に行きましたので、遅ればせながら感想を書いておきます。
木津川市が開催する地域アートプロジェクトで、2010年から始まって今年で5回目。近年は2年に1回のペースで開かれています。毎回、エリアが変わるのが特徴で、今回のエリアは旧山城町のJR棚倉駅・上狛駅周辺でした。
テーマは「いのち」
縁あって初回から見に行っています。
エリアが広いため、今回は最後の2日間かけて回りました。
まずはメインのアートイベントから紹介します。
今回、JR棚倉駅からスタートしました。
(上狛エリアは2010年に歩いているので)
のどかな駅です。
やや出遅れたため、歩きはじめてすぐ食事。
地元食材の丼もの弁当が提供されていました。
直後に売り切れたので、際どいところです。
「孫に買って帰りたいんです」という地元のおばあちゃんもいて、地元の方も楽しんでいたみたい。
さて、最初は湧出宮の「鏡と水と霙(みぞれ)の彫刻」。新山浩さんと神戸市立科学技術高校による作品です。
この神社はいい森があります。名前も映像的。場を生かす形で鏡が置かれ、そこに物語が刻まれています。ガラス面が雨からみぞれに変わっていきます。
屋外にある良さで、歩きながら、物語と鏡に映る神社の森と空を追っていくことになります。
鏡の上に落葉があって、それも面白いかなと思いましたが、ボランティアの方が水で洗い流す作業をしておられました。
こちらは作品ではないですが、木津川アートでは推奨ルートも隠れた作品。
マップに書かれたルートは単に近道ではなくて、いい風景に出会わせてくれます。
たぶんこの蔵なども見せたくてルート設定しているんじゃないかと思います。
それも楽しみの一つです。
今回、推奨ルートはほぼ全て歩いた上で、寄り道をしました。(寄り道も大事)
通りすがりの風景は次回の記事で紹介します。
これをアップにすると嫌がる人もいると思いますが、昆虫を固めてあります。
中野邸での佐藤隼さんのインスタレーション作品「大量の虫」
ここに写っているのは何分の1かで、全体では相当な数でした。
ほとんどは地域で捕まえた虫らしいです。
一度に見ることはないので意識しないですが、地域には何とたくさんの虫がいることか。
AOTAKEに中村岳さんの作品を見に行くと、ちょうど音楽の演奏中でした。
作品が場の神秘さを増している上に、柔らかいドラムの音が反響しています。いい場に居合わせました。
谷間の林の中を、赤い枠が動きをもって続いています。
AOTAKEは谷の奥まったところにあるカフェで、小高い場所にあるのでここからの眺めはとても良いです。写真ではお伝えできませんが、屋根裏部屋では、橋本次郎さんが集落で録ったという音風景が流れ、小さな器に音の波紋が描かれていました(連動していれば面白かったのだけど)。
順番があるので長居はできませんが、できれば長居したい場所でした。
1日目の最後は旧筍工場へ。
タケノコは地域の特産品です。
土埃をかぶった多くの道具の合間に地域の写真のタペストリーが吊られています。
2日目は上狛駅からスタート。
上狛駅前のランドマークである壁のような木のたばこ屋さんは健在です。
ここが案内所になっていました。
以前にも来たJA倉庫では3つの展示が行われていました。
そのうちの一つ、高石優真さんのインスタレーションは、動物の骨格にメッキ(?)した美しい作品です。
JA倉庫の屋根に鳩が集まっていたので、ここに鳩の骨格があったら面白いのにと思いましたが、もしかしてあったのでしょうか。鷺のようなのはありました。
そして今回、一番良い空間だなと思ったのは、山本邸です。
2010年にも会場になっていたのですが、今回はその時に非公開だった(当時操業中だったため)製茶工場が公開されていて、その先にも樹木の密生する広い庭があり、こんなにも奥深かったのかと驚きました。
展示は成田直子さんの家族の写真です。
ここでは作品を見つけ出さないといけません。
美術館の展示なら、どれが背景でどれが作品かははっきりしていて、作品を見逃すことはないでしょう。ところが、こういう場だとまず頭の中で作品を背景から切り分けることになります。
さらに面白かったのは、庭の木にも一枚、鳥かごの写真が飾られていて、その周囲で小鳥がさえずっていたことです。作品を外にもつなげるため、屋外にも作品を置いたそうなのですが、作家さんが意図した以上の効果だったらしいです。
また、別の部屋では松井ゆめさんの作品で、たくさんの折り紙の船が、大きな船の形を構成していたり、かまどから湯気のように立ちのぼっていたり、台所を満たしていたりしました。
紅葉のようなグラデーションが座敷に広がる多鹿宏毅さんの作品も、開け放たれた縁側から光が射して美しいものでした。
山本邸がエリア南端なので、折り返して寄り道しつつ北上。
山城プールに着きました。大きな屋内プールです。
ここに今回の一番人気といっていいでしょう、
奥中章人さんの「相互・世界・山河蛟(みずち)」という作品がありました。
ご覧のように蛇の形をした巨大なエアチューブで、その体内に入り、カエル足のスリッパを履いて、水の上を歩いたり、寝そべったり、転がったりできます。当然、子どもに大人気でした。いや大人もか。
ほんとは木津川の上でできたら良いのかもしれないけど(無理言ってます)。
この古い建物は椿井公民館。
昭和20〜30年代の建物でしょうか。
ここでは山本茂さんが地域で撮られた写真のスライドショーなどがありました。
写真が古い壁に似合います。
今回、会場のバリエーションが多かったのですが、ここはホテル山城跡という元モーテルの部屋。室内はそのまま残っているところで2室、城戸みゆきさんのインスタレーション作品がありました。
意味が腑に落ちるにはもう少し滞在時間が必要だったかも。
室内の様子が興味深いです。
木津川の流域センターではマチオモイ帖の展示がありましたが、それだけでなく、屋上からの木津川の眺めも作品。この地域で(なので木津川アートにおいても)木津川の存在は大きいですからね。
河川敷に茶畑があるのに驚きました。
最後は藤原商会という巨大なスペース。
伊吹拓さんが絵解きの作品を提示されていました。
十分に読み解けずに残念。余裕がないのはいけませんね。
なんとか全ての作品を回り、全スタンプ&缶バッジを2個もらいました。
毎度、会場にちなんだスタンプで楽しませてくれます。
例えば、右上から4段目は椿井大塚山古墳で、後円部が鉄道でぶった切られているのが表現されています。現地に行けば「ああ」と納得できるデザインが心憎いです。
今回も木津川市内を歩き回りながら楽しませていただきました。ありがとうございました。
いつも不真面目な鑑賞者で申し訳ない気持ち。
最後におまけ。
棚倉駅前にあった深尾尚子さんの作品。
黒板に豚の解剖図もどきが描かれてあって、チョークで描き足せるようになっていました。
当然子どもの出番。画伯が構想中でした。
こういう子どもが参加できる仕掛けがところどころあるのも良いなと思いました。
(許可は取ってないのですが、後ろ姿なので良いかなと。まずければ消します)
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