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2015年2月22日 (日)

新田跡の山本住宅地(大阪府八尾市)

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昨年6月に訪ねた河内山本の記事の続きです。
こちらはいつもの私の調子で紹介します。

河内山本駅の北側には古い郊外住宅地である山本住宅地が残っています。
例えば、この建物が代表格。
山本龍造さんによれば、元医院らしいとのこと。

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門柱のデザインも良いですし、アーチがあったり、メダリオンっぽい装飾があったり、いかにもな洋館です。

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さて、この山本住宅地は玉串川沿いに細長く伸びています。
春には桜並木が色付きます。

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「山本新田について」という説明板がありました。
玉串川は旧大和川が二手に分かれた支流の一つで、かつては川幅200mほどもありました。それが江戸時代の大和川付け替えで水量が減り、河川敷は山本新田になりました。(山中さんと本山さんの二人で開発したので山本)もっとも「新田」とはいいつつ、河川敷なので水田ではなく棉作が行われていました。18世紀に新田は住友家の手にわたり、以来、200年にわたって住友家の土地になります。

大軌(今の近鉄)が開業して山本停車場ができると、昭和初期に駅の北側の新田が住友合資会社や大軌の手によって山本住宅地へと変わりました。河川敷の微高地なので、住宅地には良かったのだと思います。そういう意味では甲子園の枝川の開発に似ています。

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説明はそのぐらいにして、郊外住宅地の名残を見ていきます。

戦後建築っぽいですが、洋館付き住宅。
壁に目地が切ってあるのがデザイン的に面白いです。

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洋館付きというより、和洋併置に近い住宅。
洋館部が2棟あります。
なかなかのもので、裏側にアーチもありました。

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和風の平屋住宅。
下見板張りだったり、窓の格子が木製だったり、門柱が古いタイプだったりするところに名残を感じます。

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これも洋館付き住宅。
見どころのある住宅は玉串川沿いの西側に集中しています。

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住宅地では門柱・門扉も古いタイプのものが残っています。
チョコレート菓子っぽい門柱・門扉。
手斧ではつったようなもようの木製門扉は昭和10年代のものではと思うのですがどうでしょう。

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スクラッチタイルの門柱。

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これも渋い門柱と門扉。

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和風の立派な門もあります。

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川を下っていくと、面白い橋があります。
スリットの入った太い円柱が親柱として据えられています。

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ここから西に水路が分岐しているのですが、ここに架かっている小橋が趣きあるんです。

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こんなふうに水路が蛇行しながら、各種の小橋が密に架かっています。

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これも何となく古そうな建物という気がします。

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川の東側もゆったりした敷地の住宅地になっています。
堂々とした和風住宅。

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こちらの和風住宅も立派ですね。

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玄関灯も古いタイプのものが付いています。

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少し時間があったので、駅の南側も歩いてみました。
ここにも洋館付き住宅があります。
北側で見たのと同じようなデザインで、連続性を感じさせます。
南側は改めて歩かないといけません。

駅前は多少繁華ではありますが、山本住宅地は今も良好な環境を保っています。
桜の季節に訪ねるのが良さそうです。

<関連記事>
 「河内山本の小発見。とか」
 「目次 近代の郊外住宅地と別荘地、社宅」

<関連ブログ>
 ひろの東本西走「玉串川近くの建築、山本団地」
 まちかど逍遙「山本の洋館」

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日常旅行(大阪)」カテゴリの記事

コメント

これはどこに行くルートなんだろうと思っていたら、信貴山に行く近鉄につながってるのですね。
水路が多いなあと写真を見てましたが、大阪の川の付けかえがあったところですか、八尾市には行ったことがなさそうです。一度、信貴山にも行ってみたいので、そのときに通りそうですね。
前の記事にあったカイヅカイブキというのは関西に多い木なのですか? 

投稿: やむやむ | 2015年2月22日 (日) 23:50

やむやむさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
このあたり、大和川が付け替えられるまでは水浸しになるような土地だったんです。
信貴山行きはここで乗換になりますね。
カイヅカイブキは関西ではよく見かけるんですけど、全国のものではないんですね。正式名はイブキ、ビャクシンと紹介されていました。中国名は龍柏、ということは龍柏飯店ってこのことだったのかと今初めて知りました。

投稿: びんみん | 2015年2月23日 (月) 00:59

びんみんさん、こんばんは。
良い感じの建物がありますね。
ぜひ訪ねてみたいです。

投稿: MANAZOU | 2015年2月28日 (土) 20:19

MANAZOUさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
良い感じの建物がありますでしょう?
南の方は深入りしなかったので、もう少しあるのではと思います。

投稿: びんみん | 2015年3月 1日 (日) 01:45

びんみんさん、改めてよろしくお願い致します。通りすがりの私に御返答を頂き有り難うございました。

「日常旅行」良い言葉ですね。最近、毎日がツマラナイと思っていました。そうしていたのは自分自身でした。あの角を曲がったら、どんな風景が待っているのだろう~と、そんな気持ちが甦ってきました。

本日、病院に行ったついでに、その近くの北郷義民の碑を見に行ってきました。

久しぶりにココを覗かせてもらったら「義民」の事が書かれていたので驚きました。

八尾山本・・・位置が違いますが、以前は和菓子屋さんの「桃林堂・陌草園」に毎年、風蘭・富貴蘭展を見に行ってました。桃林堂板倉家住宅もいいですね。
あと、自転車を購入された池田のお店、何度か行った事があります。 過去の日記も読まして頂きます!楽しみが増えて嬉しいかぎりです。

投稿: 新東洋 | 2015年3月 3日 (火) 22:11

新東洋様、こんばんは。
まとめてコメントありがとうございます。
「日常旅行」というのは、旅に出るのもままならない時に、日常の中でも旅の気分を味わえたらと思って付けました。
桃林堂のご紹介もありがとうございます。
古い記事へのコメントでもすぐ見つけられますので、何か気になることがありましたら書いていただければ。
これからもよろしくお願いします。

投稿: びんみん | 2015年3月 5日 (木) 01:55

びんみんさん、こんばんは。
今日、河内山本周辺に行ってきました。
建物、町、とても良い感じでした。
ありがとうございました。

投稿: MANAZOU | 2015年4月26日 (日) 22:23

MANAZOUさま、こんばんは。
行ってこられたんですね。
ご紹介ありがとうございます。

投稿: びんみん | 2015年4月28日 (火) 02:04

はじめまして。40年前に住んでいましたこのお写真の界隈に懐かしいです。
知人の家もあります。
ありがとうございました。

投稿: るい | 2022年5月 8日 (日) 10:22

るいさま、はじめまして。
コメントありがとうございます。
こちらにお住まいだったのですね。
懐かしんでいただければ、投稿した甲斐があります。

投稿: びんみん | 2022年5月11日 (水) 22:16

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