宝山寺参道の旧旅館(生駒市)
今年も11月に現代アートのイベント「奈良町家の芸術祭・はならぁと」が開催されました。
毎年開催形態が変わりますが、今年は奈良きたまち、大和郡山、そして新たに生駒宝山寺参道エリアが「こあ」(メイン)会場でした。
その中でも一番興味を持った生駒宝山寺参道に出かけました。
生駒宝山寺には、昨年、宝山寺獅子閣を見に行ったところです。
生駒駅からケーブルカーに乗り換えて、宝山寺駅に向かいます。
前はじっくり見ていなかったのですが、宝山寺駅は大正建築っぽいですね。
大正7年の開業時のもののようです。
生駒の宝山寺参道は、日本二大聖天のひとつ、宝山寺の門前町です。宝山寺はインドの象頭の神様ガネーシャを起源とする歓喜天を祀っています。現世利益の神様ですので、非常に華やか。境内には様々な要素がぎっしり。門前の階段両脇には旅館が建ち並んでいます。ただ、今ではこの看板に見られるように廃業する旅館が多く、今回会場となっていた、旧たき万旅館も最近廃業した旅館です。まだ看板に名前が残っています。
これが旧たき万旅館。
表から見ると2階建ての小さな旅館ですが、いえいえ、裏が崖になっているので、全部で4階建てで、増築を繰り返したので内部は迷路のようになっています。
玄関で靴を脱いで上がります。
ここから既に楽しい。
館内のマップをもらい順路に沿って見て回ります。
ここの展示のテーマは「百鬼夜行」。
生駒聖天もそうですし、周囲には他の宗教施設もたくさんあり、旅館自体も複雑で、混沌とした雰囲気が漂うこの場所に合った展示になっています。
床にテープで順路が表示されているので、これをたどっていきます。
楽しい。
こんなふうに上がったり下がったり、階段での移動も入ります。
押し入れも展示スペースに。
押し入れの向こうに別世界というのは定番です。
ほとんどが和室の中で、洋風の部屋もありました。
部屋ごとに展示があり、それぞれが独立した空間を作っています。
ふとんを押し込めた部屋も敢えて見せています。
これもインスタレーションのようです。
浴衣の帯を使って通行止めに。
昭和の建物なので、こういう型板ガラスも使われています。
地下室にはたくさんの物の怪たちがいました。
もともとあるふすまの柄がメタリックな市松で斬新。
ドットで描かれた○は作品で、旅館とのコラボになっています。
床柱にはカラフルで面白い木が使われています。
佐伯慎亮さんの部屋は、障子をスクリーンとして写真を展示するというスタイルで、これは非常に面白いなと思いました。
浴室は高木薫さんの墨による作品になっていて、ここは完全に浴室と一体化。
排水孔に吸い込まれそうな、ちょっと怖い作品になっています。
タイルもみどころ。
最上階は見晴らしが良い部屋で、トーチカさんの映像作品が流れていました。
薄暗い地下室や押し入れからこんな明るい部屋まで、ロケーションを存分に活かした展示になっています。
裏には気になる鉄の階段もあります。
次は何が出てくるのかと非常に楽しめる展示でした。
はならぁとの大きな目的は、未利用の物件が開かれ、活用されること。
大きすぎて活用が難しそうですが、この物件が魅力的な形で再生されることを期待します。
旧たき万旅館で記事1本使ってしまいました。
周辺の展示なども次に紹介します。
<関連記事>
「宝山寺獅子閣」(2013年8月)
「生駒ケーブルの周辺」(2013年8月)
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コメント
生駒山、ケーブルで頂上まで行けるんですよね。こういう旅館もあったんですね、山全体が楽しめそう。障子に写真を投影するのはプロジェクションマッピングのプロトタイプな感じですね。
投稿: | 2014年12月31日 (水) 02:08
名前入れないで投稿してしまった(^^;
投稿: やむやむ | 2014年12月31日 (水) 02:08
やむやむさん、コメントありがとうございます。
そう、生駒山、ケーブルで登れるんですよ。
宝山寺までの区間は日本で最初のケーブルカーとのことです。
障子のは、プロジェクションマッピングといえばそうですね。裏側でどんな仕掛けなのかは分からないのですが。
投稿: びんみん | 2014年12月31日 (水) 08:44