秋の香川・島めぐり(8)高見島の斜面集落
昨秋の高見島の続きです。
廃村の板持集落を見た後、港の近くに戻ってきました。
高見島は、後で知って驚いたのですが人口40人弱。
人の住む浦、浜の2つの集落があります。
(ちなみに瀬戸芸の会期中には2万人の観光客が来たそうです)
高見島にも両墓制の墓地(埋葬する墓と拝む墓を分ける風習)があります。
平地の少ない高見島で、浦集落は海岸にほとんど家はありません。漁業・水産加工の施設や公共施設など。
浦集落は斜面にあり、海岸からいくつもの階段が上がっています。
この階段は見事なつづらおり。
階段は浦集落の見どころです。
いちいち紹介できませんが、それぞれに表情豊かです。
これも海岸から上がってくる階段です。
かつて集落のお店が使っていたという荷役用ロープウェイ。
2つ残っているそうです。
集落に上がると、穏やかな瀬戸内の眺めが待っています。
上がってしまえば横移動は楽です。
浦集落は江戸時代の火事で集団移転したらしく、その時に一体的に整備されたということもあるのかしれません。石垣と階段と路地の風景が魅力的です。
下の家の屋根が目の前に。
眺めをうまく活かした作品も展示されています。
崩れた家屋。
空き家も多いはずです。
まるでアートのような紅葉の家。
さらに上がったところに大聖寺があります。
この灯籠いいですね。灯台役の灯籠かも。
いかにも映画に出てきそうですが、「男はつらいよ 寅次郎の縁談」のロケ地のひとつだそうです。
山門を支える力士像が面白い。
大聖寺の本堂です。
この日は茶がいさん(茶がゆ)の接待が行われていました。
お孫さんが帰省してお手伝い。
茶がゆは近畿の風習で、むしろ私は馴染みがあるのですが、高見島では北前船の廻船で活躍した塩飽衆が茶がゆ文化を持ち帰り、どの家庭も1日1回は必ず食べていたそうです。
近畿の茶がゆと違うのは使われるお茶で、こちらでは高知の碁石茶(発酵茶)や自生のはぶ茶(毒消しの実)を使っているそうです。
この細長いのがはぶ茶の原料です。
実を焙じて煮出します。
別の休憩所ではお菓子を折り鶴につつんでいただきました。
お接待は四国のお遍路さんの影響でしょうか。
島にはいろんな文化が流れています。
瀬戸芸の会場、除虫菊の家。
かつてこの島は除虫菊栽培が盛んだったそうです。
その記憶をもとにした作品。奥の写真は島が除虫菊で覆われていた時代のものです。手前は乾燥した菊の花。
もし今もあるのなら見てみたいですが、既に栽培はされず、森に戻っているようです。
高見島のアートプロジェクトは、京都精華大学が担当しています。
別室では大正15年、青森沖で遭難してアメリカの貨物船に救われ、サンフランシスコに渡ったという塩飽大工の山野岩松氏の遺品が展示されていました。遠くアメリカともつながっているわけです。
こちらは空き家に無数の穴を開けて光を採り入れている作品「うつりかわりの家」。
ユニークな蛸の家。
蛸にジャックされているみたいです。
階段を上り下りして、海を眺め、家に出入りして、さまようだけでも変化を楽しめる集落でした。
より大きな地図で 瀬戸内国際芸術祭2013 を表示
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秋の香川・島めぐり
(1)須田港に寄り道 (2)旧国立粟島海員学校 (3)粟島散策 (4)志々島の路地 (5)善通寺の白い宿 (6)多度津から高見島へ (7)高見島の廃村 (8)高見島の斜面集落
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