旧伊庭家住宅を見学(近江八幡市)
安土にあるヴォーリズ設計の旧伊庭家住宅が公開されていると聞き、連休中に出かけてきました。
例年、春と秋には一般公開されているそうです。
今年はまだ6/2(日)まで毎週日曜日の10〜15時に公開されていますので、ご興味を持たれた方はぜひ。
詳しくは > 安土町観光協会「旧伊庭家住宅」
旧伊庭家住宅は安土駅を東側に出て徒歩10分、集落が途切れそうな所にあります。
山をバックにのどかなところです。
入口は西角にあって、これは昭和初期の増築部分だそうです。
屋根は天然スレート葺きなのですが、きっちり四角に整形してあって、結構手間なのではないでしょうか。
(東京駅屋根と同じ雄勝石とのこと)
今年は伊庭家住宅が築100年で特別なのだそうです。
一時は解体の危機にあったのですが、篤志家の寄付で修繕され、こうして時々公開されています。(そういう特別な個人がおられないと残らないのでしょうか)
最近ではアニメの「中二病でも恋がしたい」のロケ地の一つとして聖地になっていると、行ってみて初めて知りました。
入口を入ると瓦敷きの玄関。
そのまま廊下につながっています。
廊下の天井は網代で、竹籠のような編み方です。
和室に入るとこの家にお住まいだった伊庭慎吉夫妻の肖像画が飾られていました。柔らかなタッチです。
その父親は住友の総理事だった伊庭貞剛氏で、この家の建築主です。(彼の屋敷は大津の住友活機園)
伊庭慎吉氏は、学生時代、絵画の勉強でフランスに留学、帰国後、八幡商業の絵の教師になります。結婚後、近くにある沙沙貴神社の神主となり、この伊庭邸に移り住みました。その後、安土村長も務めたそうです。経歴から分かるように風流人で、この屋敷にも芸術家が出入りしていたようです。
旧伊庭邸の前から、沙沙貴神社の森が見えます。
風流人らしさはあちこちに伺えて、例えば、このふすま絵は菜の花咲く春の情景。
裏側はススキに月の秋の情景となっています。
障子の桟なども繊細なものです。
2階に上がる階段は、丸みをおびたやさしいデザイン。
当初はこの右側に玄関があり、他の部屋を通ることなく、2階のアトリエに上がって行けたようです。
洋風の食堂。
奥に暖炉があり、その両脇にベンチが作り付けられています。
逆に暖炉側から庭の方を見たところ。
左の窓の向こうがキッチンです。
外にはサンルームがあります。
2階に上がると広いアトリエがあります。
端に小部屋がありますが、元はそこも含めてアトリエだったようです。
庭から眺めた屋敷。
緑の壁の部分がもともと玄関だったようです。
改築後は閉じられました。
サンルームは石積のような壁面です。一般的なサンルームはもっと軽快な、ガラス温室みたいなイメージがあるのですが。
端に洋風の丸い池があって、サンルームから連続的な見どころになっています。
その間に平台がありますが、端に取っ払われたような煉瓦の列があるのは何だったのでしょうか。
丸池にはライオンの吐水口が付いています。
恐い表情のライオンです。
このように旧伊庭邸は和洋の入り交じった魅力的な建物です。
次回はディテールを紹介します。
<関連記事>
「旧伊庭家住宅の引手コレクション」
「旧伊庭家住宅のディテール」
<関連サイト>
安土町観光協会「旧伊庭家住宅」 ・・・公式
まちかど逍遙「旧伊庭家住宅」
・・・すごくポイントを押さえて紹介されています
光の射すほうへ「旧伊庭家住宅」
・・・同じく今年訪問されています
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コメント
こんにちは。
旧伊庭家住宅はいずれ行きたいとは思っていたものの、具体的な公開日を意識していませんでした。
GWはたっぷり休んだので行く機会は十分にあったのになあ。
これ以降のスケジュールはランニングの行事とバッティングしており、そちらを休むかどうか迷っています。
ディーテールも素晴らしいみたいですね。
投稿: ひろ009 | 2013年5月12日 (日) 08:34
ひろさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
ひろさんは未訪問でしたか。秋にはまた公開されるのかなと思いますし、今回は(アニメの影響もあって)かなり訪問者が増えたようですので、公開日も増えるのではと密かに思っています。
ディテール素晴らしいですよ〜。
投稿: びんみん | 2013年5月12日 (日) 09:49