春の香川・島めぐり(6)絶景の女木島
瀬戸内国際芸術祭2013で香川を旅した話ですが、ようやく島に渡ります。
高松港からは、岡山、小豆島、その他瀬戸内の小島へのフェリー・高速船がひっきりなしに出入りしています。こんなに客船が活躍している港は日本でも少ないのではと思えます。
私の乗ったのは女木島・男木島に向かうフェリー「めおん2」です。
朝の便で、瀬戸内国際芸術祭のスタッフも多くがこの船で出勤されるようでした。
観光客も含めて船はデッキまで人でいっぱいです。
前回の瀬戸内国際芸術祭では、航路によって積み残しが出るほどだったそうですが、こういう形でフェリーの利用が増えるのは、島の足の確保という意味ではいいのかもと思いました。
高松の街を見送りながらフェリーは進みます。
港とともにある街は海から見るのが良くて、うれしい機会です。
高松から女木島はわずか20分の船旅で、料金は360円。
女木ではなく、行き先表示は観光地としての「鬼ヶ島」になっています。
島に着くと、いい感じに錆びた浮き桟橋があります。
ほんとはアート作品なども目立つのですが、まだ会期中なので、ネタバレはやめておきます。
女木の集落は冬の季節風を避けるため、オオテと呼ばれる高い石垣を立てていて、これが女木島の名物です。石垣ごとに石や積み方が違うようで、色が様々です。
家がほとんど見えないので、来訪を拒まれているようにも見えてしまうのですが。
女木島は鬼ヶ島伝説の島として知られ、鬼の洞窟が山頂(島に2つあるピークの1つ)付近にあります。これが島で一番の観光資源です。
芸術祭作品はほとんど女木港周辺に固まっているので、洞窟に行かないという手もあるのですが、ほとんどの観光客はフェリーを降りるとすぐ洞窟行きのバスか、レンタサイクルの行列に並びます。電動自転車はあっという間に出払って、私はバスに乗ることになりました。往復で600円です。
山頂までは10分ほど。
茶屋があって、瀬戸内の絶景を眺めながら1皿100円のきびだんごも食べられます。
大洞窟の入口。入洞料はパスポート割引なら300円。
大正3年に発見され、昭和6年に公開されました。洞窟は手堀で、紀元前100年頃に造られたようです。洞窟は延長400mで結構広いです。由緒地を求めていた桃太郎伝説と結びついて、鬼の洞窟として観光地となりました。
洞窟の中には鬼の人形なども飾られていますが、客観的に史跡としての考証をした解説板もあり、伝説か歴かどちらかに立場を決めかねている風でもありました。
内部では芸術祭の映像作品も展示されています。
洞窟は別に出口もあり、出口の上に柱状節理があります。
溶岩が冷えたときに、きれいな形に固まったもの。地質的にも面白い島です。
山頂から眺めは非常に素晴らしくて、瀬戸内海が見渡せます。
北には男木島、その向こうに豊島が見えます。
南側は女木島のもう一つのピークと、海峡を挟んで高松の街が見えます。
ちょうど高松行きのフェリーが出航していくところです。
こうして見ると近いでしょう?
バスはまた港に下っていくのですが、途中の住吉大神宮の前で降ろしてもらえます。
やはり住吉さんなのですね。
瀬戸内海でちょくちょく見かける備前焼の狛犬が座っています。
「明治十六年 未五月吉日 木村六郎平造之」と刻まれています。木村六郎平作の狛犬は、岡山県の岡山市、赤磐市、瀬戸内市などで確認されているようです。
100年以上風雨にさらされているのに非常にきれいです。
芸術祭の会場の一つは、平成17年に休校になった女木小学校です。島の人口は200人で、通う小学生がいないからとのこと。残念ながら内部は撮影禁止です。瀬戸内国際芸術祭は撮影禁止の会場が多いように感じます。じっくり作品に集中できるという意味では良いのですが。
他に民家の中庭を利用した面白い作品などもありました。
積み上げられたたこつぼ。
次に訪れる男木島もたこ漁が盛んなようでした。
島といえば井戸(水)が大事。
共同の井戸だったようです。
漁具を洗ったりしていたのかもしれません。
集落の民家。これは分かりませんが、やはり空き家は多いようです。
こういう壁を見ると芸術作品かと思います。
島には香川大学の女木島しまなか研究室があります。
芸術祭で、愛知県立芸術大学もプロジェクトを行っていて、私が行ったときもお茶会をしていました。もう少し時間があれば参加してみたかったのですが。
この女木島しまなか研究室の建物、塀の装飾が面白いです。
観光施設を除いてあまり島の方をお見かけしなかったのが残念ですが、この島特有の風景があって興味深い訪問でした。
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