春の香川・島めぐり(2)坂出の近代建築など
坂出の探訪でまず見ておきたいのは近代建築。
手始めに、車窓から確認しておいた2つの建物を見に行くことにしました。
最初は、鎌田共済会郷土博物館です。私設の博物館なのですね。元は鎌田共済会図書館(大正11年)です。既に閉館して門が閉じられていましたので、外からです。あまりはっきり見えません。
図書館を建てた鎌田勝太郎氏は、鎌田醤油の家に生まれ、北海道との海運、塩田経営、朝鮮実業銀行など、実業家として活躍するとともに郷土への利益還元をされた方だそうです。貴族院議員でもありました。
この時代は立派な方がおられますね。
裏側からだと比較的よく見えます。
続いて、坂出市郷土資料館へ。
大正9年に建てられた旧香川県立坂出商業学校です。
商業学校時代の正門も残っています。
設立に至る経緯を見てみると
・明治34年 坂出に香川県立商業学校設置
・明治45年 高松市立商業学校を吸収合併して高松市に移転
坂出は分教場に
・大正2年 坂出分教場は廃止
・大正3年 坂出に郡立綾歌商業学校設立認可
・大正8年 県立坂出商業学校に昇格するとともに、
新校舎建設に着手
・大正9年 途中、火事にあいながらも校舎完成
坂出と高松の力関係の変化と、坂出の商都としての気概を感じさせます。
本館の全景。
大正時代ですが、明治時代っぽい雰囲気も感じます。
1階と2階の間に何か入っているのが大正らしいデザインでしょうか。
玄関部分。
柱や柱の基礎部分など幾何学的なデザインです。
背面から見ても美しい。
床下換気口の面格子はこんな変わったデザインです。
また、開館時間中に中を見てみたいものです。
学校の真ん前にモダンな住宅がありました。
同じ並びにある医院。
戦後の早い時期かと思いますが、共通する雰囲気があります。
同じ並びの住宅。フランス瓦です。
昭和30年代ぐらいか。
看板建築のような事務所もありました。
商店街にもいくつか近代建築がありますが、それは次回に回して、それ以外を紹介します。
本町2丁目にある旧後藤産婦人科医院(大正9年)は、パリのような雰囲気。
1・2階の間など大正風の装飾が入っています。
(追記)
道路拡幅工事により、解体が始まっているとの情報があります。(2017.2.15記)
これだけ同時代の建築があるのは、大正10年前後に坂出にとってのピークがあったのでしょうか。
(他に1960年代の建物もよく見かけた気がします)
元町3丁目には四角い煉瓦の煙突がありました。
津島酒店の裏にありますので、元は造り酒屋をされていたようです。
元町4丁目にあった駐車場。
のぞき込むと木造の2階まで吹き抜けの構造で、元は工場だったのではないでしょうか。
港の方にはまだ興味深い近代建築もあるようですが、今回は本町・元町あたりを回るので精一杯でした。
それでも洋風建築が多く、いろいろと面白いものを見ることができました。次はもっとじっくり回ってみたいところです。
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コメント
鎌田共済会郷土資料館は、その前年に同じ竹中工務店の設計施工になる神戸市立大倉山図書館の弟分的建物ですね。よく似ています。
投稿: 中尾嘉孝 | 2013年5月 7日 (火) 07:38
中尾さん、こんばんは。
情報をありがとうございます。
大倉山に兄貴分の図書館があったのですね。
投稿: びんみん | 2013年5月 7日 (火) 23:22