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2013年4月 3日 (水)

鳳明館・台町別館に泊まる(東京都文京区)

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さて、チェックインのために鳳明館に向かいます。
今回、鳳明館に泊まったのは、前に「まちかど逍遙」「ひろの東本西走」で紹介されているのを見て、ぜひ一度泊まってみたいと思っていたからです。
場所は初めて訪れるにはやや分かりにくいところにあります。
本郷の急な坂道を登っていくと鳳明館の本館が見えてきました。

 

ネットで予約を入れたのですが、鳳明館は本館・台町別館・森川別館の3つの建物があり、その時点ではどれになるのか分かりませんでした。取りあえず(本館に入りたかったので)本館で声を掛けると、「お客様は台町別館です」とのことで、向かいの台町別館に案内してもらいました。

 

 

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台町別館は昭和22年に住宅として建てられた建物です。

 

学芸出版社のシンポジウムで鳳明館のご主人が語った内容の記事があって、非常に興味深いので、ぜひ読んでみて下さい。
 →「こだわりを持った和風旅館」

 

ご主人の語るところによると本館は明治30年代に下宿屋としてスタートしたもので、戦後旅館に改装されたそうです。非常にもうかったので向かいに自宅を普請したところ、常連さんから宿泊客よりぜいたくな家に住むとはけしからんと言われて旅館にしたのが台町別館というエピソードが面白いです。

 

昭和22年というと前に泊まった西郊旅館もその頃の改装で、廊下の作り方などに通じるものを感じました。鳳明館の方がぜいたくですが。

 

森川別館は昭和28年だそうですね。

 

130319homeikan3 ※クリックすると拡大します

 

那智黒石(たぶん)が敷き詰められた玄関。
面白いのが、よく見ると花柄が入っているんですよ。
靴を履くためにしゃがんだときにふっと気付くようになっているのではと思います。
(この記事では当日と翌日の写真とが入り交じっています)

 

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玄関の様子。床は寄木細工ですし、受付の木の使い方などもユニークですね。

 

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寄木細工は、旅館西郊もそうでした。
かなり凝ったパターン。

 

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2階に上がる階段。
ご主人の談話によると桧の一枚板らしい。
松をかたどったような窓もあります。

 

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廊下には那智黒石を敷き詰めたところに桧が埋め込まれています。形の組み合わせが面白い。

 

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廊下がカーブしているのがまたいい感じです。

 

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別の廊下。内のような外のような、旅館西郊にも通じる廊下です。

 

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鶴亀の細工が入った丸窓。
このねじれている木なども銘木なのでしょうね。

 

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今回は残念ながら泊まった部屋はコンクリートの新館でした。
ただ、それでも和風の雰囲気を出すため、天井に細竹?を張っています。
冷蔵庫も木目調でした。

 

宿泊客は外国人が多く、日本風を心がけておられるようでした。旅館らしいきめ細やかできびきびした接客をしていただけます。
朝食には熱々の湯豆腐なども付いてきました。

 

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タイル張りの洗面所です。

 

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翌朝、少しだけ館内を見て回りました。
入舩という部屋。帆掛け船の透かしも入っています。
全ての部屋が違うというこの旅館、何度も泊まる楽しみがありそうです。

 

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廊下からは庭が見えます。

 

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玄関脇には洋間が附属しています。
この部屋はコンピュータールームとして宿泊客が利用できます。
ステンドグラス風の磨りガラスがきれい。

 

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ステンドグラス風の丸窓もあります。

 

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ドアに達筆な「押す」の文字。
陶器製のようです。裏側の「引く」を写真に撮るのを忘れました。

 

130319homeikan17 ※クリックすると拡大します

 

台町別館を裏から。
真ん中に見える建物はお風呂です。
この左に本館があります。

 

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台町別館の庭に通じる門。
使われることはあるのでしょうか。

 

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こちらは鳳明館本館。登録文化財です。
次はこちらをリクエストしてみましょうか。
ぷにょさんによれば、団体客用だけど指定すれば泊めてもらえるそうなので。

 

台町別館だけでもとても見どころのある旅館ですし、リーズナブルです。
チェックインが22時までなので、それだけ気を付ければ。

 

<関連サイト>
 学芸出版社HP『歴史ある建物の活かし方』記念シンポジウムより、
 鳳明館の小池邦夫さん「こだわりを持った和風旅館」  同じく、「建物紹介」 …各館のデータあり
 まちかど逍遙「鳳明館台町別館」        「森川別館」  ひろの東本西走「鳳明館・台町別館-1」         「鳳明館・台町別館-2」         「鳳明館・台町別館-3」

 

<関連記事>
 「荻窪の旅館西郊」(2012年6月)
 「学士会館に泊まる」(2007年8月)
 「再び学士会館に泊まる」(2009年10月)

 

 

※900本目の記事

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コメント

拙ブログをご紹介ありがとうございます。
本館に泊まった記事は書いていなかったか・・・
ちょいちょい書かずじまいになってるもので(汗)

あの付近にもいろいろ興味深い物件があったのですね。
いつも春日の方から行かず本郷三丁目から行くからでしょうか、
知りませんでした。


投稿: ぷにょ | 2013年4月 3日 (水) 12:51

こんばんは。

おっ、ぷにょさんも来られてましたか。
鳳明館で私が泊まったのは台町別館だけですが、深夜に
館内ひそやか探訪をしたことなどを思い出しました。
不思議な魅力にあふれた素敵な旅館でしたね。

最近はなかなか宿泊を伴う出張のないのが残念です。
真砂町住宅のあたりも歩いてみたいなあ。

※ブログの紹介もありがとうございました。

投稿: ひろ009 | 2013年4月 3日 (水) 21:35

ぷにょさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
ぷにょさんの記事を読んで前々から泊まりたいと思っていて、ようやく実現しました。
本館に泊まられたお話もぜひ。

本郷三丁目からの方が道が素直かもしれませんね。

投稿: びんみん | 2013年4月 3日 (水) 23:37

ひろさんも、コメントありがとうございます。
夜中の探訪は宿泊客の楽しみですね(笑)
部屋の中に入るわけにはいかないので、他の部屋も見てみたいです。

真砂町住宅のあたりも面白いですよ。地形からして。

投稿: びんみん | 2013年4月 3日 (水) 23:39

鳳明館別館って、もしかすると小学校の修学旅行で泊まったかもしれないんです。
何となく名前に覚えがあって、文京区に住んでたときに、見に行きました。
壁に見覚えがあるような気もするし、どこにでもあるような気もするし。

泊まった夜は後楽園に巨人戦を見にいくはずでした。だから位置的にも鳳明館がぴったりなんですよね。

鳳明館の中を見たのは、この写真が始めてなので、じっくりと見させてもらいました。
廊下の写真を見て、何となく覚えがあるような、ないような……。
旅館での写真は、部屋の中で集合したものだけだったし。

小学校に問い合わせても、30年以上前のことは、確認しようがないんでしょうね。
でも知りたいなあって改めて思いました。

蛇足ですが、夜に雨が降って野球がなくなったので(ドームになる前です、もちろん)、
みんなで宿の部屋で遊んでいました。それがすごく楽しかったのを覚えています。
人生で唯一の後楽園球場に行く機会を逃したわけですが
30数年後に、毎年、ドームに通うことになるとは。おもしろいですね(^^;

感慨深いブログをありがとうございました。

投稿: やむやむ | 2013年4月 6日 (土) 03:25

やむやむさん、コメントありがとうございます。
遅くなってすみません。

隣の本館の方が修学旅行用らしいのですが、別館の方でしたか?
いずれにしても懐かしい想い出ですね。
そういう想い出があるから、建物は残ってほしいと思います。
エピソードのご紹介ありがとうございます。
私も昔修学旅行で泊まった旅館は、今見たらもっと興味を持つかも。

投稿: びんみん | 2013年4月 8日 (月) 08:12

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