« 旧鳴尾競馬場スタンド(兵庫県西宮市) | トップページ | 旧東京市営真砂町住宅(東京都文京区) »

2013年3月31日 (日)

上野下アパートを見納め(東京都台東区)

130320uenoshita1
※クリックすると拡大します

最近、最後の同潤会アパートである上野下アパートが5月から解体されるとニュースになっています。ちょうど東京に行く機会がありましたので見納めしてきました(初めて見るのですが)。

同潤会は関東大震災からの復興住宅を供給するため、内務省が大正13年(震災翌年)に設立した財団法人で、東京・横浜に16ヶ所の集合住宅を建設しました。昭和4年に建設された上野下アパートもその一つです。

同潤会や上野下アパートについては他に詳しい解説などがありますので省略します。

場所は東京メトロ銀座線・稲荷町駅のすぐ近く、JRの上野駅からも徒歩圏内の便利なところですが、アパートのある場所は表通りから一本入って静かです。

130320uenoshita2
※クリックすると拡大します

ほぼ全景。アパートは道に平行して建てられています。
細長い1棟と小さな1棟の2棟です。

130320uenoshita3
※クリックすると拡大します

住民の方の引っ越しはまだ完了していないので、立ち入らないようにという注意書きがあり、表から見せていただくだけにします。

130320uenoshita5
※クリックすると拡大します

建物は4階建て。
水平・垂直に延びるかっこいい形です。
4階が張り出しているのですね。

130320uenoshita7
※クリックすると拡大します

建物との間にはちょっとした庭があります。

130320uenoshita4
「上野下アパート」の表札。
門柱はスクラッチタイル張りです。
全体にこの色合い。

130320uenoshita6
※クリックすると拡大します

共用の玄関には木の扉が残っています。
プライバシーの関係で消しましたが、玄関上にお住まいの方の名前が並んでいます。

130320uenoshita8
※クリックすると拡大します

「建築計画のお知らせ」を読むと、地上14階、地下1階の店舗付き共同住宅に建て替えられるのですね。
解体後、8月から建設工事が始まるようです。

歴史的な意味のある建物が、1つも残らないというのは惜しいことですね。

130320uenoshita9
今回は近代建築探訪MLの皆さんに連れて行っていただいたので、ついでに近くの近代建築なども案内していただきました。
これは東京メトロ銀座線の稲荷町駅。昭和2年にできた初期のものです。

130320uenoshita10
プラチナ万年筆の建物。

130320uenoshita15
裏側の方が面白いと教えてもらいました。
上野下アパートから見るとこちら側がみえます。

130320uenoshita14
近くの蓮城寺。
洋風部分が真ん中にはまり込んだような面白い構造です。

130320uenoshita11
これはかなりびっくりの比留間歯科医院。
歯科医院という感じではない素敵な建物です。
これも昭和4年だそうです。

130320uenoshita12
裏手に回ると旧下谷小学校。
シンプルなデザインながら、昭和3年建築の復興小学校のひとつだそうです。
現在は使われていません。

130320uenoshita13
この季節だから校舎が見えますが、夏にはツタにびっしり覆われるようです。
何か利用されると良いのですけどね。

こうしてみると関東大震災からの復興期の建築がまとまって残っていることが分かります。
今まで上野に来ることはあっても西側ばかりで、今回案内してもらった東側も震災復興の建築という意味で面白いと思いました。

<関連記事>
 「阿佐ヶ谷住宅の残照」(2012.6.23)
  …阿佐ヶ谷住宅も解体間近で、最近立入禁止のロープが張られたと聞いています。
 

より大きな地図で 台東区 を表示

|

« 旧鳴尾競馬場スタンド(兵庫県西宮市) | トップページ | 旧東京市営真砂町住宅(東京都文京区) »

建築」カテゴリの記事

国内旅行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 上野下アパートを見納め(東京都台東区):

« 旧鳴尾競馬場スタンド(兵庫県西宮市) | トップページ | 旧東京市営真砂町住宅(東京都文京区) »