新潟さと歩き(2)津南の木造工場など
越後妻有の「大地の芸術祭2012」で、最初に向かった会場は津南エリアでした。
十日町からさらに列車で長野方面に向かい、津南駅で降ります。
駅はまちの外れにあるので、ぐっとのどか。
(ちなみにこの列車はイベント仕様のアート列車です)
この駅、温泉があれば野菜の種も売っているという複合施設です。もちろん土産物も。
信濃川を越えて、町の中心に向かいます。
この地域は家の脇に池が掘ってあります。
旅の後半に聞いたのですが、これは除雪した雪を溶かすためのものなんですね。
そこに錦鯉を飼ってしまう。雪深いこの地方ならではの面白い仕組みです。
神社が見えたので寄ってみました。
熊野三社宮と書かれていました。ここにも熊野信仰があるのですね。
格天井には花鳥の板絵が描かれています。
境内には石が並ぶ一角があって、これはお墓ではなく、庚申塔です。
道教由来の風習で、庚申の日(2ヶ月に1回回ってくる)に人間の中に住む虫が天帝にその人間の悪事を報告に行くので、それをさせないために皆で徹夜して勤行したり、宴会したりするという庚申待ちという行事に関連しています。
他にも道祖神があったり、いろんなものが混ざり合っています。
寄り道しつつ、会場の関芳機織工場跡に着きました。
昭和48年に建設された工場なのですが、その時点で解体された小学校の部材を使って建てたそうなので、もっと古いものです。学校っぽいですよね。>彦根の元中学校も似た形
布を広げて染織したりするために、細長い建物を使うそうです。
1階は窓を閉め切って、Tシャツを照明器具のようにした幻想的な展示がありました。
背後には針金のハンガーが大量に壁を覆っていました。
2階に上る階段などを見ると、小学校の名残を感じます。
懐かしいガラス戸をくぐって2階の部屋へ。
窓を開け放した開放的な空間。
天井に化学繊維のワイヤーそしてハンガーが吊されています。
借景の津南の農村風景が美しい。
窓で切り取られてパノラマ写真のようです。
木製の腰掛けはもともとあったものでしょうか。
床下にも、住民の持ち物を使ったインスタレーションがありました。
もう一室、面白かったのが地域の人が質問を書いた短冊。
小瓶とともに吊されています。
来た人がピンクの紙に答えを書いて瓶に入れるとだんだんピンクに染まっていく、というコンセプトらしいです。
これは「お姫様になるにはどうしたらいいですか?」という中学生の質問ですが、「私が遊ぼ!と言ってもむしするんです!どうすればいいですか」(小学生)という切実なものから、「思いやりって何ですか」という哲学的な質問、「パパとママに喜んでもらうにはどうすればいいですか」といったかわいい質問まで、見ているだけで地域に暮らす人の思いが浮かび上がります。
神社の絵馬なども見ていると面白いですが、それを推し進めた感じ。
「この場でする必然性」があって「地域との相互作用」があって「美しい」。
こういうのは現代アートならではだなと思います。
回答はこういう記入用紙に書きます。
私も1枚書きました。
人気のため、ピンクの紙がなくなったのかな。
近くにあるもう一つの会場へ。
「建具ノモリ」という、扉など建具を組み合わせて、山並みのような、ピラミッドのような構造をつくっています。それだけでなく、中に地域特産品の売店まで入れています。
写真は地酒を売る酒屋さん。
この地域、冬は雪に埋もれるので、大事なものはみな雪囲いがされています。
そういったことも連想させます。
近くを旧街道が通っていて、古い旅館が残っています。
おまけ。特産品の雪の下にんじんを使ったジュース。
甘いです。
松屋さんというケーキとパンの店をお勧めいただいたので、昼ごはんにパンを買いました。
昔なつかしいパッケージです。
列車の本数が少ないので、最後は走るのに近い勢いで駅に戻りました。教えてもらった喫茶店にも行けず、もう少しゆっくり巡りたかったなという気もします。
<関連記事>
○新潟さと歩きシリーズ
(1)大地の芸術祭2012
(2)津南の木造工場など
(3)十日町の木造工場
(4)囲うと溶かす
(5)大地の芸術祭・十日町会場
(6)除雪車のダンス
(7)文字通り小千谷
(8)土の学校
(9)眺める部屋
(10)絵本の学校
(11)泊まれる学校
(12)松代の街道(完)
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コメント
「現代アート」ってさっぱりわかりませんが、『相談にお返事』はわかりやすくていいなぁと思ってしまいました~。
どんな質問に答えたのかな?(^^)
投稿: KYO | 2012年10月 9日 (火) 10:50
KYOさん、コメントありがとうございます。
こういうのも楽しそうでしょう?
「パパとママに喜んでもらうにはどうすればいいですか」に真面目に答えました。内容は秘密です(笑)
投稿: びんみん | 2012年10月10日 (水) 08:13