北の玄関・伏木港(5)メインストリート
伏木の現在のメインストリートは、駅前の南北の通りのようですが、かつて港が賑わっていた頃は、港から伸びる道がメインストリートだったようです。
上の写真でいうと、手前が港で、大正時代の地図によると、このあたりに税関がありました。
<「日本交通分県地図 富山県」(大正13年)より>
※クリックすると拡大します。青い線が今回取り上げた道
この通りには今もレトロな建物が残っています。
港側から順に紹介していきます。
こちらは廣田石油(株)。看板建築っぽいですね。
凝灰岩を組み合わせた門柱が面白いです。持ち送りも立派。
屋根が銅板張りなのは銅細工の盛んな高岡が近いからでしょうか。
後日紹介しますが銅板張りの建物は伏木にもたくさんあります。
現在は丸進商事(株)となっている建物。
道路拡幅でセットバックした建物によく見られる形です。
実際のところどうなのでしょう。
伏木のシンボルといえるのが、この高岡商工会議所伏木支所、かつての伏木銀行です。
明治43年に建てられました。当時は黒漆喰塗りの土蔵造りでしたが、後にスクラッチタイルが貼られたそうです。
玄関部分。ギリシャっぽい柱です。
屋根は和風で和洋折衷ですね。
背面から見たところ。
分銅を3つ組み合わせた床下換気口の面格子。
分銅というと銀行ですから、伏木銀行のマークでしょうか。
その向かいには松岡旅館があります。
戸袋に扇子の絵と松岡旅館の文字が残っています。
銅板張りの看板建築。
もう一つ、交差するメインストリートとの角にこれも看板建築っぽい建物があります。
尾山フォートという写真館で、納得。
この場所にぴったりですね。
ここで右に曲がるとやや上り坂で、正面に伏木福祉会館/高岡市役所伏木支所があります。
大正5年の地図を見るとここに伏木公会堂が建っていました。
洋風のかっこいい建物だったようです。
福祉会館前の植え込みにひっそりと「皇太子殿下御野立所」の碑が建っています。
ここでいう皇太子は後の大正天皇で、明治42年に伏木に行啓されたそうです。
実際には今の岸壁のあたりに御野立所があったらしく、昭和9年の伏木港第2期拡張工事の際、移されたそうです。この場所も、行啓の際に休息所となった場所らしいので、ゆかりの地です。
今は静かな通りなのですが、丁寧に見ていくと、伏木の賑わいをしのぶことのできる通りだと思います。
より大きな地図で 富山 を表示
<関連ブログ>
まちかど逍遙「伏木の近代建築」
<関連記事>
○2012富山旅行の記事の目次 北の玄関・伏木港
(1)伏木駅 (2)北前船資料館 (3)伏木気象資料館 (4)港の風景 (5)メインストリート
(6)看板建築など (7)工場建築 (8)気になるもの (9)六渡寺へ(完)
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