富山の岩瀬湊(4)廻船問屋の森家
富山・岩瀬地区の大町通りに並ぶ廻船問屋の一つ、森家は一般公開されています。入場料は100円。ガイドの方が解説もしてくださいます。
明治11年に建てられたといいますから、北前船の全盛期です。
北前船の町を訪ねる楽しみの一つは、当時の贅沢を尽くした建物を見ることができることで、ここ森家は期待に応えてくれます。
囲炉裏のあるオイという部屋は、見事な木組みが上に乗っています。
ここが商談スペースだそうです。
座敷の奥から表側を見たところ。40畳余りの広さ。
背後に庭があります。
左にあるのは棟方志功の絵のレプリカで、本物は倉敷の大原美術館に入っているとのこと。
なぜかというと、昭和24年に倉敷レイヨン(クラレ)が富山に工場を建設する際、手放されようとしていた森家を大原總一郎社長が気に入って買い取り、全く手を加えることなく社員寮としたそうです。棟方志功の版画は、その床の間に飾るため、依頼されたものです。
クラレ富山工場が閉鎖される際、この建物は富山市に無償で贈られました。
今も大原總一郎氏の写真が飾ってあり、ガイドの方も感謝を込めて経緯を語っておられました。
いいお話です。
表通りに面して、小さな前庭があります。
こちらにも戸がありますので、ここから特別なお客様をお通しすることもできます。
前庭に面してガラス戸がはまっているのですが、ここでポイントは角に柱がないこと。一つながりの窓として見せています。
前庭に面する部屋の天井にはエドヒガンザクラ。独特の光沢があります。
この板を取れるのはかなり太い木ですよね。
2階に上がる階段の一つは箱階段になっています。
これもかなりものがしっかりしてそう。
ちょっとびっくりするのが(いろいろびっくりしてますが)、土間廊下に敷かれた巨大な石。奥まで数メートルの一枚岩なんです。小豆島産の石だそうです。
庭に出てみます。
こういうところの日本家屋のしつらえはほんとにきれい。
飛び石になっていますが、これがまた諸国の石。
京都の鞍馬石、緑が紀州青石、右奥は佐渡の赤石、あとは忘れてしまいましたが、日本全国と取引している自負を感じさせます。
庭の奥に道具蔵が建っています。
見事な鏝絵(こてえ)が描かれていて、腰壁の松皮菱の模様といい、かなり凝っています。
昔はこの裏に米蔵、肥料蔵と続いていたそうです。
鏝絵を拡大してみました。
松の木に止まる鷹でしょうか。
彩色もされています。
左手にもう一匹います。
同じ蔵を内側から見ると、この扉の内側にも鏝絵が描かれています。
飛沫とともに飛び出す龍の姿で、これも見事なもの。
もう一つ別の蔵があって、こちらには一対の虎が描かれています。
龍虎ですね。勇ましい。
例によって鴨居の釘隠(くぎかくし)も確認しますが、やはり凝った細工です。
まず鶴の釘隠。
亀の釘隠。
ウサギの釘隠。
釘隠なのに上から釘を打っているのが惜しい。
このほか、桃の釘隠もありました。
いずれも縁起物ですね。
変わり種では、扇子型の屏風押さえも。
岩瀬にお出かけの際にはぜひ森家にお立ち寄り下さい。
ここで説明したよりもっと詳しい解説をしていただけます。
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