諏訪山公園の金星台(神戸市中央区)
昨年、「海外移住と文化の交流センター」(旧神戸移住センター)で、同センターの記録映像の上映会があり、その機に諏訪山公園を駆け足で回ってきました。
諏訪山公園は元町からまっすぐ坂を登っていって、山に入るあたりにあります。
諏訪山公園には、諏訪神社側からも登れますが、今回は東側の入口を使いました。
右手に擁壁が見えますが、これは個人のお屋敷の擁壁です。
登っていくと、古そうな門柱が現れました。
柵の欄干などアールデコっぽいデザインです。
続いての門には「子供の園」と書かれています。
こういうダイナミックな滑り台があったりして、児童遊園になっています。
さらに登ると展望広場である金星台に出ます。
広場の山手には池、そして後ろに築山があります。
諏訪山公園(諏訪山遊園)の古い絵葉書を見ると、もっとすっきりしていて、記念碑と後ろに東屋やベンチのある築山が写っています。
さらに近寄ってみると池の向こうにチョーク状の記念碑が立っています。
これは解説によると「金星観測記念碑」です。明治7年に金星の太陽面通過を観測するためにやってきた観測隊のうち、フランス隊がここで観測を行ったそうです。(他には長崎でフランスとアメリカ、横浜でメキシコ隊が観測)
それで金星台という名前なんですね。
<明治43年測量・大正2年発行 2万分の1「神戸」>
諏訪山公園は、明治6年に太政官布告によって諏訪神社境内が指定された、最初期の公園の一つで、整備は進まなかったものの絶好の眺望地として名所になっていたそうです。
その後、明治36年に神戸財産区の諏訪山遊園として開園、展望台が開かれ、次いで明治41年に金星台などの南部が開園しました。さらに昭和3年に動物園が設けられ、北野に近いことから内外人に親しまれたそうです(辰巳信哉著『神戸からの公園文化 兵庫の公園1868-2000』、2000年)
上の地図は諏訪山遊園として整備が終わった頃の状況で、広場と築山が描かれています。
(ちなみにトアホテル西側の墓地が、後に神戸移住センターになります)
より大きな地図で 近代の公園 を表示 現在の状況です。
築山に登ってみました。
階段に丸い柱のような石が使われているのは、何かの転用でしょうか。
築山の上には「海軍営之碑」が立っています。
江戸幕府の将軍家茂が勝海舟に命じて作らせた神戸海軍操練所(海軍の教育機関)の記念碑で、所内に設置するつもりが繰練所が早々に閉鎖されたため、神戸の豪商生島四郎太夫に預けられ、大正4年になってこの地に設置されたそうです。
→神戸市HPの解説
再び金星台へ。木が伸びているので、あまり眺望はよくありません。
しかし古い絵葉書を見るとかなり見晴らしが良いですし、柵の外の石柱は昔のものが残っているようです。
→東北芸工大アーカイブスの「神戸諏訪山」絵葉書
さて、この諏訪山公園に来たのはもう一つ目的があって、それはラジオ塔を確認するためでした。
ラジオ塔はラジオの登場初期にラジオ放送の普及を図るため、公園などに設置されたラジオ放送設備です。最近、関西を中心に「再発見」が続いています。諏訪山公園のラジオ塔が「確認」されたのはなんと、2011年の10月です。昭和15年に設置されたようです。
→神戸新聞「戦前〜戦中に街頭放送流す ラジオ塔、神戸で確認」
ラジオ塔は分かったのですが、隣にももう一つ、謎めいたモニュメントがあります。
何かを取り外したようにも見えます。丸みを帯びたデザインから見て、これも古そうです。
ついでに諏訪山公園のトイレ。
また、金星台の一角には、ごく簡単なコンクリート製の神戸地図がありました。これは昭和38年の設置と書かれています。
帰りに階段を下りていくと、途中にツタに覆われた「諏訪山会館」(昭和30年以前?、昭和34年改築)がありました。現在、閉鎖中です。
駆け足でしたが、非常に謎めいたものが多く、訪ねがいのある諏訪山公園でした。
<関連記事>
○ラジオ塔について
「円山公園のラジオ塔」ほか
「中崎遊園地(明石市)のラジオ塔」 「大浜公園(堺市)のラジオ塔」 「萩児童公園(京都市)のラジオ塔」
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