山形の旅(11)酒田の大正医院
酒田の日和山公園裏の松林に白い洋館が立っています。
大正8年(1919年)に建てられた旧白崎医院(外科医院)です。
元々はまちなかの本町通りに建っていたのですが、昭和51年の酒田大火後、復興土地区画整理のため、昭和55年に移築されました。
油問屋を営んでいた白崎敬之助氏が、遠くまで(横浜ではないかという話)洋館を視察に行き、自ら設計したそうです。棟梁は小松友治郎氏。
建物に入る前に。向かいにも小さな付属建物があります。
小さいながら、手前から便所、供待所、人力車庫と部屋が並んでいます。
持ち送りや軒の装飾なども丁寧です。
床下換気口面格子も忘れずにチェック。
シンプルなタイプです。
この建物は酒田市の所有で、入館は無料です。
中では管理の方が丁寧に解説してくださいました。
玄関を入ると真っ直ぐ廊下があり、突き当たりが手術室です。
左は手前から薬局、診察室。右は手前から控室、看護婦控室。手術室の右に消毒室があります。
それにしてもきれいに移築してあるものです。
玄関には往診用のそり(!)が展示されていました。
さすがは雪国ですね。
廊下を反対側から。
廊下の窓越しに控室をのぞきこむ。畳敷きです。
手術室。実際にこの手術台で外科手術をしていたそうです。
想像はやめておきましょう。
2階への階段。とても急です。
手すりも当初から付いていたもので、輸入品では?とのこと。
壁の角が鉄板で保護されています。石積み風?でしょうか。
階段の途中から振り返って見上げたところ。
天井にもドイツ製らしいという装飾入り鉄板が使われていて、ここからだと間近に見ることができます。
2階の階段の手すり。ここは洋風です。
2階は家族の住居だったそうです。
奥は一段高い物置。左右は居間です。
2階は和風で畳敷きです。住むのは和室なんですね。廊下をはさんで居間が並びます。
物置の窓は足元から立ち上がっています。
居間の窓からは松林越しに海が眺められます。
いい場所に移築したものです。
素人の設計で建てたとは思えない、しっかりした建物です。他にお客さんもいないので、私はゆっくり写真を撮りながら楽しみました。
次回はディテールを紹介したいと思います。
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