山形の旅(3)鶴岡の2つの擬洋風建築
加茂から鶴岡市街地に戻って、致道博物館前で降りました。
ここは鶴ヶ岡城・三の丸跡の、藩主酒井氏の御用屋敷があった場所で、2つの擬洋風建築など江戸・明治の建物が移築され、民俗資料や歴史資料が展示されている建物園のような博物館です。
名前は藩校の致道館(近くに現存)からとられています。
近代建築の好きな者には見逃せません。入館料は700円。
まずは旧西田川郡役所。重要文化財。
初代県令・三島通庸の命で、地元の大工棟梁、高橋兼吉、石井竹次郎が建て、明治14年に竣工した擬洋風(洋風を真似た)の建物です。同年には明治天皇の行在所(御宿舎)にもあてられたそうで、少しばかり華やかな階段があったりします。
内部は戊辰戦争や明治時代などの資料館になっていますが、内部撮影は禁止なので外観のみ。
玄関には立派な車寄せがあります。
窓は上げ下げ窓、外壁は下見板張りです。
よく見れば、基礎以外は木造であることが分かると思います。
柱も石のように見せて木でできています。
床下換気口の面格子は櫛形のシンプルなもの。
敷地内にはもう一つの擬洋風建築、旧鶴岡警察署庁舎があります。こちらも重要文化財。
同じく大工棟梁の高橋兼吉が設計して明治17年に竣工したものです。
西田川郡役所と似ていますが、こちらは2階にベランダがあり、より和風要素が入っています。
側面から見ると、大きな三角破風があり、日本的です。
こちらの柱の基礎は石になっています。
破風の飾りには鶴が。鶴岡だから鶴?
非常に凝った細工です。
さて、私の関心からいうと擬洋風建築なのですが、江戸時代の建物もあります。
幕末の文久3年(1863年)、江戸屋敷から移築して、藩主の隠居所として建てられたという御隠殿です。
中には江戸時代の庄内藩の展示があります。
面白かったのは、庄内竿(釣り竿)の展示でした。庄内藩は武士の鍛錬のために磯釣りを奨励していたらしいのですね。自分で竿を作り、夜に山越えをして海まで釣りに行き、釣った魚の大きさを競っていたようです。足腰も鍛えられて一石二鳥。
でも怪我をするとおとがめがあったとか。
足元には凝灰岩が敷かれています。
鶴岡や酒田では福井の笏谷石が多用されているそうです。私はまだ石の違いを見分けることはできないのですが。
玄関に置かれていた衝立。
水辺の亀が透かし彫りされています。
こちらは文政5年(1822年)に建てられた旧渋谷家住宅。
湯殿山麓の民家です。養蚕に対応して採光を良くするため改築された、「かぶと造り」という建て方だそうです。
このほか、民俗資料や漁具の展示館もあり、北前船の展示も見ることができました。
もともとあったものとして庭園もあります。
博物館を出て、周辺も少し歩いてみました。
鶴岡はまちなみ景観に気をつかっているところのようで、これは新しい建物ですが、この薬局なども擬洋風の建物を意識しているのかなと思ったりします。
こちらは羽前絹練(株)。工場は明治39年に創業、事務所は昭和15年の建物だそうです。
いまだに絹織物をつくっておられます。
とてもいい雰囲気の工場です。
鶴岡の街を歩くと、江戸と明治の雰囲気を感じることができます。
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コメント
行ったことのない山形へ連れて行ってくださり、ありがとうございます。素敵な建物が沢山ですね。新潟へは一昨年の五月のGWに初めて行きました。これも虫の知らせと言うのでしょうか、ずっと仲良くしてもらっていた五泉市(元中蒲原郡)に嫁いだ母の妹、叔母が是非ともと誘ってくれました。出不精でおまけに冷房恐怖症の私がお出かけしました。寺町でなんだか懐かしい世界でした。お水も美味しいし、田んぼが続く景色や山々は今でも目に浮かびます。三泊もさせてもらい楽しい笑える思い出ばかり。でも残念ながら昨年10月急死してしまいました。前々日の夕方電話でお喋りしていたのですが・・・あの時どうして訪問しようと思えたのかを振り返ると、やっぱり出逢えるのは最期だからということかな?大阪のお風呂屋さんも閉店は残念ですが歴史を感じて素敵でした。次はどこへ案内していただけるか楽しみです!
投稿: まあちゃん | 2011年6月12日 (日) 09:49
まあちゃんさま、こんにちは。
いつもお読みいただいてありがとうございます。
やはり虫の知らせというのはあるのでしょうか。
五泉市は行ったことがないのですが、城下町なのですね。名前からして水が豊かそう。
山形の記事はしばらく続きますので、お楽しみいただけたらと思います。
投稿: びんみん | 2011年6月12日 (日) 11:18