鉱石の道ツアー(3)明延の坑道に入る
兵庫県の生野鉱山・鉱石の道モニターツアーの続きです。
神子畑に続いては、山を越えて明延(あけのべ)鉱山の跡に向かいました。
養父市大屋町にあります。
奈良時代の開山ともいわれる鉱山で、明治29年に生野鉱山が三菱に払い下げられた後の明治33年から本格的に開発されました。かつて日本一のスズ鉱山であり、スズ、銅、亜鉛、タングステンなど、約40種の非鉄金属鉱脈をもつ鉱山です。選鉱場のある神子畑(みこばた)とはトロッコ電車で結ばれていました。戦後も長く採掘が続けられましたが、円高と資源価格の下落で採算が合わなくなり、鉱脈を残しながら昭和62年に閉山してしまいました。
坑道総延長550kmのうち、650mが青少年教育用の探検坑道として整備されています。今回のツアーではここを見学させていただきました。案内は鉱山で働いておられた方です。
坑道の入り口は道の脇にあって、トロッコの線路が残っています。
内部には照明が設置されていて、歩きやすくはなっていますが、それほど手を入れているわけではありません。トロッコの線路も残されています。
線路の分岐。
鉱脈を掘り進んだ跡。
明延は地盤がしっかりしているので、埋め戻したりしなくても大丈夫だそうです。
人の通路。
階段で下の層に降ります。
ボーリング機。
このように坑道のところどころに、鉱山機械が自然な形で展示されています。
オフセットストーパといって、手持ちで上に向かって掘削する機械。
蓄電池式の機関車も展示されています。
再利用としてお酒の長期熟成用の蔵が設置されています。
きちんと国税局に届けた蔵であることを強調されていました。
大寿立坑という坑内のエレベータ。
探検坑道の終わり近くになると坑道が広くなり、大型の作業機械が展示されています。
ゆっくり説明していただいて出口に出ました。
坑内に坑道の地図が示されていました。
こういう坑道って方向感覚がまひしてしまって、こんなルートになっているとは思いもよりません。
この探検坑道は青少年教育用です。観光施設ではありません。単に博物館・資料館というわけでもありません。説明してくださった方は、明延鉱山は休山しているだけで、将来、資源が高騰したら再び採掘されることがあるのではないかという思いをお持ちのようでした。
そのときに掘る人を育てるための教育。
そんなふうにも感じました。
真摯な思いの伝わるいい施設だと思います。
最後にツアーでは一円電車を見学させていただきました。
明延と神子畑の約6kmを結ぶ鉱石輸送用の線路があったのですが、その区間を一円で人を運んでいた電車です。非常にかわいらしい。
中はこんな感じでやはり狭いです。
「護送されているみたい」という声も。
ほんの短い区間ながら、実際に乗せていただきました。
なかなか楽しいものです。
今回のツアーはここまで。
朝早くから日が暮れるまでみっちりのツアーでした。
ここまで盛りだくさんではたいへんかもしれませんけど、定期的に開催されるコースになってもらいたいなと思います。
個人的には、今回のツアーでハイライト部分は見せていただいたので、鉱山施設や社宅など名残を訪ねる旅にまた来てみたいと思いました。
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