« 新潟なつ歩き(16)宿根木へのサイクリング | トップページ | 新潟なつ歩き(18)小木のガラスの町屋 »

2010年11月17日 (水)

新潟なつ歩き(17)千石船の宿根木

100720shukunegi1_2
「新潟なつ歩き(16)宿根木へのサイクリング」の続きです。
佐渡国小木民俗博物館を後に自転車を漕ぎ出すと、すぐにこの風景に出会います。目の前に屋根が広がっていて、谷をすっぽり家が埋めています。
これが中世以来の港町・宿根木(しゅくねぎ)です。

 

100720shukunegi3
<佐渡国小木民俗博物館のジオラマ・宿根木付近>

 

模型で見るとそのすっぽり具合がよく分かります。
右上にあるT字の建物が旧宿根木小学校つまり佐渡国小木民俗博物館で、要は街の中には小学校を建てるスペースがなかったので段丘の上に建てたわけです。

 

100720shukunegi2
集落を回り込むように自転車で坂を下ると、海岸に出ます。
浅い海岸に白い棒がぽつぽつと。

 

100720shukunegi4
近づいてみると白い花崗岩の石柱です。
近くに解説板があって、江戸時代(1777年頃)の船つなぎ石なんだそうです。
地元での呼び名は「シロボウズ」。
材質は瀬戸内海の御影石です。

 

それにしても港にしては浅瀬でしょう?
享和2年(1802年)の地震で海岸が1m余り隆起して千石船が入らなくなったのだそうです。

 

100720shukunegi19
ところで港を囲む岬に洞窟のような穴が開いているのが気になり、後で覗いてみました。

 

100720shukunegi20
なんと向こうまで貫通しています。
これも解説板があって、相馬崎隧道というそうです。
アラメの加工・貯蔵庫として、昭和10年から5年がかりで全て人力で掘られました。大変な労力ですね。鉱山を掘る技術が生かされたのでしょうか。
トンネルの先では昭和20〜23年まで製塩が行われていました。
今は遊歩道になっています。

 

100720shukunegi17
さて集落の全面は、前に島根の鷺浦で見たような日除け(風除け?)が立てられています。
かつての浜は観光客用の駐車スペースになっています。

 

100720shukunegi0 ※クリックすると拡大します。

 

宿根木地区の地図がありました。
一つ一つの建物が描かれている詳しい地図です。

 

100720shukunegi5_2
集落内の道は非常に狭いです。
漁村はたいがい狭いですが、それにしても狭い。
そのうちの1本は世捨小路と呼ばれています。
石畳がすり減って凹み、年を経た味があります。

 

100720shukunegi6
宿根木は重伝建地区で、2つの建物が公開されています。
1軒がこの清九郎家で元廻船主の家、もう1軒が金子家で船大工職人の家です。
清九郎家を見学しました。400円。

 

100720shukunegi7
この建物はもともと江戸末期に建てられたそうです(幕末〜明治期の様子に復元)。
外観は質素で、内部も華美ではありませんが、贅沢に木材が使われ、柿渋で磨かれた床が落ち着いた美しさです。床も梁もぴかぴか。

 

宿根木が廻船業により、佐渡の富の1/3を集めたと言われるのは中世の話ですが、江戸時代に賑わいの中心が小木に移った後も、廻船業+千石船の造船で栄えました。その名残がうかがえます。

 

100720shukunegi8
2階の様子。天井もぴかぴか。
裏庭があって、その向こうは崖です。
崖には穴が掘られ、天然の冷蔵庫として使われていたそうです。
決して広くはありませんが、有効活用されています。

 

この家を管理しているのは市ではなくて、元の所有者の方がガイドさんを雇ってされているそうです。そういう方が担っているんですね。

 

100720shukunegi9
2階から顔を出すと石で押さえたこけら葺きの屋根が見えます。
その向こうに洋風の建物があります。
そちらも見に行ってみます。

 

100720shukunegi10
明治42年に開局した宿根木郵便局でした。
黒っぽい板壁の建物が並ぶ中で、白いペンキ塗りの下見板張りは目立ちます。

 

100720shukunegi11
さらに進むと小川がありました。
洗濯場ともなっていたのでしょう。
この石橋も瀬戸内の御影石か。

 

100720shukunegi12
宿根木のシンボルとなっている三角家。
敷地に合わせた建て方がユニークです。

 

100720shukunegi13
さらに奥には宿根木公会堂。
見た感じは昭和初期の建物です。

 

100720shukunegi14
その脇にはかわいらしい交番(?)もありました。

 

100720shukunegi15
さらに隣には産土神の白山神社。1304年の創建。
白山神社は船乗りの信仰が篤い神社です。
日本海側には多いようですね。
石の鳥居は尾道産の花崗岩で1773年の寄進。
北前船の航路でつながっています。

 

100720shukunegi16
一番奥には時宗の称光寺があります。
密集した町並みからうってかわって静謐な雰囲気。
崖を削って墓石が並んでいました。

 

100720shukunegi18
小さな集落ですが、食事のできる店が2〜3軒あります。
私はこちらの茶房やましたさんで、和定食をいただきました。
味噌を多く使った料理でした。
メインはイタリアンみたいだったのですが。

 

宿根木は小さな集落なので2時間もあれば十分見て回れると思います。
私には1時間ほどしかなかったので、実際には結構慌てながら回り、またレンタサイクル(電動アシスト自転車)で小木に戻りました。

 


より大きな地図で 佐渡 を表示

 

 >「新潟なつ歩き」シリーズの目次はこちら

|

« 新潟なつ歩き(16)宿根木へのサイクリング | トップページ | 新潟なつ歩き(18)小木のガラスの町屋 »

国内旅行(新潟)」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです^^
毎年の事ながらこちらのブログは秋祭り行脚の記事が続きます。

素晴らしい町並みの数々、一度は行ってみたいです(しかし新潟は遠いかな)

丘に囲まれた小さな港町はまるで室津のようですね。

投稿: 英ちゃん | 2010年11月18日 (木) 00:52

英ちゃんさま

ごぶさたしています。
祭りのレポートが非常に充実していますよね。
とてもいい記録になると思います。

復元された白山丸を年に1度引っ張り出す、白山丸まつりの時などいかがでしょう?
そう、室津にも行かないと。
中世の港ということで、共通点があるのかもしれませんね。

投稿: びんみん | 2010年11月18日 (木) 01:04

小川と石橋が素敵!
雨の日とか真冬の風景とかも見てみたいですね。

投稿: Bassman | 2010年11月18日 (木) 11:56

Bassmanさん、こんばんは。
小川と石橋が気に入られましたか。
とてもコンパクトな集落なので、細部まで行き届いているのかもしれません。
真冬はかなり厳しそうですが、こういう包み込まれるような空間は、外から帰ってくるとほっとしそうです。

投稿: びんみん | 2010年11月19日 (金) 02:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新潟なつ歩き(17)千石船の宿根木:

« 新潟なつ歩き(16)宿根木へのサイクリング | トップページ | 新潟なつ歩き(18)小木のガラスの町屋 »