春の彦根(5)桑畑の測候所
滋賀県立大学経済学部の近くにこのような近代建築があります。何か分かりますか?
彦根地方気象台です。
もっとも建てられた当時は、滋賀県立彦根測候所でした。
昭和7年のことです。その後、昭和14年に国に移管され、昭和32年に地方気象台に昇格しました。
放物線に近いアーチの窓が使われているのが特徴的でこれは表現主義のスタイル。内部の階段にもセセッションの装飾が使われているそうです(この日は中に入るのは遠慮しました)。(参考:『湖国のモダン建築』)
玄関周りも装飾が入ってますね。
ぷにょさんが内部を紹介されています。
まちかど逍遙「彦根を歩く」(後編)
裏側に回るとこうなっています。
階段室に縦に窓が並んでいるようです。
こんな小屋もまた古いもののよう。
ところで、今は市街化している気象台ですが、昔はどうだったのでしょう。
<昭和28年修正 2.5万分の1「彦根西部」>
※オーミケンシ彦根工場の位置は少し違うかもしれません
昭和28年なのでまだ戦前の街の様子を引き継いでいるはず。
桑畑に着色してみるとこんなになりました(緑の部分)。
彦根では明治以降、養蚕が盛んだったので、その原料としてでしょうか。遮るもののない桑畑の中というのは測候所にはいい場所かもしれません。
(当初から桑畑だったかどうかは不明)
近くには近江絹絲紡績(株)の工場もありました。
のちのオーミケンシです。大正6年に絹の屑糸を利用した製糸を目的に設立されました(近江絹綿(株))。
大きな工場でしたが、1998年に閉鎖されて、今はカインズモール彦根というショッピングセンターになっています。
しかし、今もオーミケンシの彦根工場は一部残っています。
見たところ古そうな建物が並んでいます。
この建物なども下見板張りが似合いそうですね。
今もかつて盛んだった製糸工業の名残を伝えています。
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コメント
こんばんは。
気象台の建物の前の仮設事務所は何でしょう。。。
まさか気象台をどうにかする・・・のではないでしょうね。。。
投稿: ぷにょ | 2010年6月23日 (水) 01:40
ぷにょさん、こんばんは。
来年3月までの増築工事に入っているようです。
どう変えるつもりなのか気になりますね。
投稿: びんみん | 2010年6月23日 (水) 02:06