洋風・和風の長屋がいっぱい（堺市）

堺市の南三国ヶ丘町４〜６丁について、前回の記事では２軒の紹介だけに終わってしまいましたので、もう少し紹介しておきます（一部中・北三国ヶ丘町などにも入っています）。

このあたりは洋館付き長屋が多いという印象を持ちました。洋館付き長屋というのは私が勝手に言っているだけですが、長屋で１階の突き出した部屋だけが洋風のもの、洋館付き住宅の長屋版です。堺周辺にはとても多いようです。

＜昭和13年　大堺市街地図＞

その前にもう一度、昭和13年の地図を確認しておきます。
昔はこのあたりに三国丘病院があり（現在はもっと駅より）、堺東駅から道がついていました。このあたりは泉北丘陵から上町台地に伸びる台地の上です。昭和10年代に宅地開発が進んだようです。

エリアの南側、向陵西町のあたりにはまだ畑が残っています。
畑の真ん中には井戸。台地で水の確保が難しかったのでしょう。一方、地区の西には旧天王貯水池（浄水池）があり、上水道は引きやすそう。宅地向きの条件です。

三国丘病院の跡地は、今は広大な空き地になっています。新日鉄の看板があるのは、新日鉄の社宅だったのでしょうか。この後はマンションか商業施設か。

大きな変化の兆しはありますが、まだ周辺には古い住宅がかなり残っています。
順々に紹介していきます。

赤い屋根の洋館付き長屋です。
古い住宅に特徴的な「目」の字の小屋裏換気口が付いています。

同じく洋館付き長屋。これは規模が大きくて、大屋根の上に三角の破風が乗ります。破風に住友の井戸印が入っているのは偶然？

洋風だけど屋根が和風の長屋。

これは洋館付き住宅で屋根が和風。

完全に洋館付き住宅（新しめの）。

こうして見ていくと、洋館付き長屋から洋館付き住宅まで、洋風が強いものから和風が強いものまで、かなりバリエーションがあります。

完全な和風長屋。

和風のええ感じの長屋。窓の手すりや玄関灯に情緒があってよいです。

最後にコンパクトながら感じの良い戸建て住宅。

南三国ヶ丘町４〜６丁ではリフォームされている住宅は多いのですが、特徴的な「目」の字の小屋裏換気口が残っているのを見ると、意外と建て替えられている住宅は多くないようでした。