
イオンモール新居浜から別子住友倶楽部を見た後、少し迷ってから丘の裏側を覗いてみることにしました。星越駅舎が残っているはず。
地図で見ると、丘の東側に、惣開小学校と新居浜電子工場の間を抜ける通路のような道(2車線の道路ですが)があります。
通路を抜けると視界が開け、不思議な光景が広がっていました。
小盆地の中には草の生えた区画が延々と。分譲地のように見えますが、立ち入り禁止のロープが張ってあって、「何かある!」と強く訴えるものがあります。

視界を右に転じると向こうに同じような、それも古そうな戸建てが並んでいます。
時々、住宅地を車が走っているので、ためらいつつ見に行ってみることにしました。

さらに右手にはもっとたくさんの住宅が並んでいます。
それもどことなく統一感のある住宅が。
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で、後ろを振り返るとなんだこれはという工場建築です。
なんという建築! オブジェのようです。
工場の名前は、住友金属鉱山東予工場です。

工場も気になりますが、住宅を先に。
近寄ると、まだ人は住んでいるようです。
(空き家もありますが)

戸建てでみな生垣に囲まれています。

玄関の上には「鉱○○」とナンバーが振ってあって、ということは鉱山住宅なのですね。

鉱山住宅としても、戸建てですから管理職の人が住んだのでしょう。

鬼瓦にも住友マークが入っています。

こちらは空き家のようです。

住宅の向こうに丘の工場が見えて、非常に不思議な景色です。
帰った後、『社宅街 企業が育んだ住宅地』を読んで、ここが「住友山田社宅」であることを知りました。「山田社宅のようにほぼ当時の建築状況を保ち、しかもいまだに人が住んでいる例は皆無である。本書で社宅街に関心を持った方は、まずは山田社宅にいそいで行ってほしい。」(p168)とまで書かれています。
山田社宅は、別子鉱業所支配人の鷲尾勘解治という方が主導して、星越選鉱場前の谷を残滓で埋め立て、昭和4年から建設されたそうです。庭付き一戸建て・二戸建てが250戸。外国人技術者向け社宅や所長社宅もあるようです。
残念ながら東半分は取り壊され、それが最初に見た草地だったわけです。
全て揃っているときに見たらどんなにすごい光景だったのだろうと思いますが、半分でも100戸ほどということですから壮観と言えます。ちなみに『社宅街 企業が育んだ住宅地』によれば、山田社宅は映画『船を降りたら彼女の島』でロケ地になっているそうなので、機会あれば見てみようと思います。
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さて、工場の方に近づいてみます。
近寄ってみるとますます不思議な建築です。
ケーブル路線のようなものもあるのですよ。

工場にまぎれて、下見板の事務所らしき建物もありました。
古そうです。

その丘のふもとに旧星越駅がありました。
昭和52年に路線は廃されましたが、建物は丸ごと残っています。

正面から。よく残っています。
今も住友さんの所有のようです。
観光資源になりそうなのですが。

駅の正面には格子で住友のマークが入っています。

車寄せ部分。ここに止まれのマークがあるのがいい感じ。

足元に消火砂。これで消せる火は知れてますよね。

駅前には交番だった建物も残っていました。
赤いランプがついています。

後で新居浜市立郷土美術館に立ち寄った際、貼られていた空中写真に目が止まりました。
イオンモール新居浜も社宅の跡だったのです。
下の現在の様子(ただし、山田社宅の東半分が残っていた時期)と見比べてみてください。
より大きな地図で 郊外住宅地 を表示
新居浜出身の方に聞くと、山田社宅はいいお家があるところとして知られていたそうです。他にも一般社員向けの長屋の社宅などあったそうですが、もう取り壊されています。
この山田社宅、機会がありましたら、別子銅山の産業遺産と合わせて見に行かれることをお勧めします。山田社宅へはイオンモール行きのバスが便利です。
(追記)
2010年6月16日、残念なニュースが入ってきました。
上の記事でも紹介した新居浜選鉱場が8月から取り壊されるそうです。
愛媛新聞「惜別、銅山のシンボル 新居浜選鉱場取り壊しへ」
私が訪ねた時には既に稼働を停止していたのですね。
記事によれば、選鉱場は大正14年(1925年)に建設され、建屋は木造・鉄骨造で1万3000平米もあるそうです。しかしながら、2004年の台風で被害を受け、管理する住友金属鉱山が安全管理上の理由で撤去解体を決断するに至ったとのこと。
これだけの規模なので、安全性を言われればやむなしか。
「インクライン(傾斜道)や鉱石の一時的保管施設「大びん」や石積などは保存し、12年8月までに植栽などで整備する予定。」とされていますので、一部は残ります。
山田社宅とセットになった貴重な産業景観ですので、見に行くことのできる方は8月までに見に行かれてはと思います。
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山田社宅内から見た選鉱場。
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これがインクラインでしょうか。
※上記の記事内の写真も拡大するようにしました。
(2010.6.17記)
(追記)
「まちかど逍遙」で最近の様子が紹介されています。
→「東予の旅 新居浜のまちなかを巡る(1)」 (2015.1.8記)
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