友ヶ島灯台と第1砲台跡(和歌山市)
第2砲台跡を見た後は友ヶ島灯台のある高台に登りました。
昔は小島だったのがつながったのでは、と思う地形です。
ちょっとした坂道を登ると、ほとんど頂上近くで道の脇にトンネルが現れます。
残念ながら扉が閉じられていますが、これが友ヶ島第1砲台跡の入口です。
扉の隙間から覗き込むと暗い煉瓦のトンネルの向こうに明るい中庭が見えます。
階段を登り、中庭を上から覗き込むと、このようにいくつもの窓が中庭に開かれているのが分かります。上からも入ることはできません。
友ヶ島第1砲台は明治22年に着工して翌年竣工した、友ヶ島で最初の砲台だそうです。
(すみません、ピンぼけです)
砲座だけでなく、両翼に観測所があり、このような装甲掩蓋まで残っています。先ほどの中庭からこの観測所までは浅い通路でつながれているようです。
第1砲台跡の隣には友ヶ島灯台と旧吏員退息所があります。
この灯台は英国人技師ブラントンの設計で明治5年に建設され、明治23年に第1砲台の建設に伴って東に移設されたものです。
高さ12.2mで、近くで見ても大きな灯台ではありませんが、
石造(花崗岩)の貴重な灯台です。
毎年5月と11月に一般公開されるようですよ。
灯台にはプレートがはまっていて、
明治五季六月廿七日初点灯於旧台
明治廿三季八月五日再点灯於新台
とあります。先ほどの移転の記録です。
旧吏員退息所は明治3年に建設され、昭和55年に改修されているそうです。
明るい石積みの建物。
灯台の先は眺めの良い芝生になっています。向こうは崖。
この灯台にはもう一つ特徴があって、ほとんど東経135度上にあります。つまり明石の真南。東経135度・日本標準子午線の標識が近くに立っていました。また、東経135度が通る日本の陸地としては最南端なんだそうです。本州でも四国でもなく、ここ友ヶ島を通っているのも不思議で、いっそう特別な場所という感じがします。
ところで、灯台のそばの地面を見ていて、刻印煉瓦が落ちているのを見つけました。
この刻印は丸に3本線の最大手・大阪窯業です。またしても六光星ではない。しかし、第2砲台跡では岸和田煉瓦でしたので、使われた煉瓦は1種類だけではないということですね。
頂上を一回りして、別のルートで丘を下りました。
坂の途中の脇道に廃墟があったので寄り道をしました。
煉瓦の積み方からして便所かもしれません。
丘の下は池尻浜のキャンプ場になっています。
池の脇に建物跡がありました。
住宅だったのでしょうか。基礎と便所らしき建物(またか)だけが残っています。
島にはあちこち井戸が掘ってあります。
こんな風に年代物のポンプが今も現役です。
キャンプ場にはぴったり。
ここからが本格的な山道(といっても知れていますが)です。
島の最高点に続く遊歩道を上っていくと、途中に分岐があって「海軍聴音所跡」の矢印があります。
興味をひかれる名称なので、もちろん寄り道します。
途中、唐突に上の写真のような貯水槽が現れました。
島なので水が貴重だったのでしょう。
そして岬の先に海軍聴音所跡はありました。
いかにも軍事施設然としています。
昭和16年頃といいますので、砲台の作られた時期から50年ほど下ります。
島で唯一の海軍関連施設で、砲台はみな陸軍の施設とのこと。
なんと2002年に「発見」されたらしい。
荒廃していてちょっと怖い雰囲気。
全く注意書きがなかったので、ずんずん入っていきましたが、もう少し注意を払うべきだったかもしれません。
海が見渡せる部屋。なぜか壁の煉瓦はところどころ抜いてあります。節約のため?
海軍聴音所とは、紀伊水道に進入してくる潜水艦のスクリュー音を聴いて発見するための施設だそうです。実際に入ってきた潜水艦はなかったようですが。
外から見ると目立たぬようになっています。
壁に石を積んでみたり、工夫をしています。
海軍聴音所の前に赤煉瓦が落ちていました。刻印は、私は初めて見る分銅型です。東京の小菅集治監(監獄)製の煉瓦には、桜とともに分銅型があるそうです。海軍は調達先が違うのでしょうか。
刻印はいろいろ見つかるのに、肝心の六光星の刻印はありません。
ここである考えが浮かびました。砲台ごとに使われている煉瓦が違うのでは、という。
期待しつつ、第5砲台跡に向かいました。
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