初めての北海道(17)北大散歩
北海道旅行の最終日・札幌です。
泊まったホテルは札幌駅の北側でしたので、数分歩くとすぐ北海道大学の正門(門柱は昭和11年)に出ました。札幌のまち歩きはここからスタートします。雨も降っていましたし、全部回るには広すぎますので、キャンパス南側のほんの一部だけ散歩しました。
ちょうどこの日は大学祭「北大祭」が行われていました。私の母校は狭かったので学祭になると人が溢れるのですが、これだけ広いと静かですね。
札幌大学は明治9年(1876年)に開校した札幌農学校を前身とする大学です。最初のキャンパスは時計台のあたりにありましたが、明治36年(1903年)、附属農場のあった現在のキャンパスに移転しました。札幌農学校は明治40年に東北帝国大学農科大学、大正7年に北海道帝国大学、そして戦後の昭和22年に北海道大学となります。
正門を入るとすぐ大学の本部があります。
昭和12年に建てられた予科講堂の建物です。
正面玄関は改修されているようですが、アーチはもとのデザインでしょう。
チェーンのようなデザインです。
同様のデザインでも、むしろ脇の入口の方に味があります。
アーチはオレンジ色のテラコッタでしょうか。
壁面はスクラッチタイルで覆われています。
それも細かいところまで丁寧に仕上げられています。
そのまま歩いていくとすぐ赤レンガの南門、そして緑屋根の門衛所(ともに明治37年)が残っています。ともに札幌農学校の移転当時のもので、南門は正門の位置にあった元・正門だそうです。
この南門のまっすぐ先には北海道庁の塔が見えて、非常に計画的に線が引かれているのを感じさせます。
美しい北大キャンパスというイメージ通りに、キャンパス内をサクシュコトニ川が蛇行して流れています。うらやましい限り。もともとあった小川だそうですが、扇状地伏流水の水源が涸れたので、今は人工的に水を流しています。
続いてクラーク像と向き合って、明治の洋館らしい瀟洒な古河記念講堂が見えてきます。
緑豊かなキャンパスで、下がるとたちまち森の中。全体を撮るのは困難です。
元は明治42年(1907年)に建てられた林学科教室。
古河財閥・古河虎之助からの寄付金で建てられたので、古河記念講堂です。
フランス・ルネッサンス風とのことですが、私は様式はよく分からず。
三角破風には植物模様。何の植物なんでしょう。
2階正面には「古河家寄贈」の文字がしっかり書き込まれています。
こんなにはっきり書くものなんでしょうか。
窓枠もシンプルながら、植物柄の線刻が入っておしゃれです。
床下換気口のつくりは煉瓦アーチに要石まではめて凝っています。石材をかませていて、このアーチに要石はいらないと思うので、装飾でしょう。
格子の模様も見たいところですが、鉄製ふたがはめられています。
キャンパスのメイン通りをはさんで西隣には北大交流プラザ「エルムの森」があります。
見た目には新しいですが、明治34年(1901年)に完成した札幌農学校昆虫及養蚕学教室で、キャンパス移転後では最古の建物です。
床下換気口にはアールヌーヴォー風の(?)植物柄。昆虫柄ではありませんよね。
裏手に目方の重そうな石造の建物がありました。
これは不明です。
さらに西隣には、今は北海道大学出版会が入る、旧札幌農学校図書館(明治35年)があります。これも古い。
木の玄関が抽象化されつつ装飾的です。
裏には赤煉瓦の書庫もつながっています。
緑に覆われて見えませんが、一番西には農学部本館(昭和10年)があります。
札幌農学校が原点の北海道大学ですから、農学部こそが本流、ですね。立派なのももっとも。
キャンパスにちょっと入るだけでこれだけの建物があるのですから、博物館のような大学です。しかも森の中でゆったりしています。イメージに違いません。
まだ他にも実験農場の建物など、貴重な建築はありますが、それはまたの機会にしたいと思います。
○参考
さっぽろ文庫・第23巻「札幌の建物」ほか
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