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2009年5月 6日 (水)

網干の町並み(1)新在家と興浜

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網干(あぼし)(姫路市網干区)の旧中心は、JRの網干駅よりも3kmほど南の山陽電車支線の山陽網干駅が近いのですが、それでも駅からは少し離れているので、知らなければ駅の周りを見渡して引き返してしまいそうです。

駅から南に細い道を入っていくと、向こうに特徴的な円錐屋根が見えてきます。

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商店街に入る前に網干川を渡ります。
モーターボートが何艘も係留されていて、運河のような雰囲気。

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旧網干銀行本店。今はタケダ洋品店です。
現在の建物は、大正10〜12年頃に竣工したそうです。
非常に風格があるので、実物を見ると写真よりも小さく感じられましたが、それでも意外なほど立派な建物です。店とはいえ、婦人服店ですので、ちょっと覗けません。

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角の部分では非常に凝った装飾をしています。
人造石とタイルを貼っていますが、構造は煉瓦造だそうです。

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こういうのもセセッションの一種なのでしょうか、側面は幾何学的なデザイン。

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床下換気口の格子は植物模様のようです。

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あぼしまち交流館前の案内地図>

網干の町は、揖保川河口の町で、大まかに網干川の北の余子浜(よこはま)、南西の興浜(おきのはま)、南東の新在家に分かれています。町名が違うだけでなく、江戸時代の万治元年(1658年)から明治維新まで、興浜と余子浜は丸亀藩領、新在家は龍野藩領に分かれていたようです。それだけ物流の重要拠点だったんでしょうね。

屋敷の構えからみて、江戸時代は興浜が賑わっていたようですが、近代に入って、新在家側に明治41年、三菱が日本セルロイド人造絹糸(株)(のちダイセル化学工業(株))を設立すると、化学工業が発展して、新在家の商店街が賑わったようです。旧網干銀行本店も新在家にあります。

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今は寂れてしまった橋本町商店街のアーケードを抜けると、旧街道にぶつかります。
あぼし一番街という商店街になっています。
ここを西に歩いていきました。

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モダンな店の扉。

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通りには網干片岡庄屋塾という施設がありました。
大庄屋の江戸時代の建物を活用しているようです。

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さらに進むと幅広の道に出て、道の脇に古い橋が残されていました。

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案内板によると、これは「境橋」といって、新在家(龍野藩)と興浜(丸亀藩)の両藩を隔てる堀割に架かっていた橋だそうです。

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橋を渡ると興浜。
高い望楼をもつ民家があります。
明治初期、大正期の山本家住宅です。
大正時代に先ほどの網干銀行の頭取や網干町長を勤めた方の家だそうです。
銀行と家とどちらも町並みから飛び抜けていたことでしょう。

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とにかくこの興浜の町家というのは立派で、この玄関の石組みなどをみても、非常にきっちり作られています。

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金刀比羅神社の隣にある魚屋さんは、元料理旅館などではないでしょうか。格式が高そうです。

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興浜には深入りせず、街道に沿って揖保川を渡り、浜田地区を歩きました(改めて紹介します)。その後、興浜に戻って、網干商工会館(これも改めて紹介)から網干川沿いを歩きました。網干川沿いに近代建築が多いような気がします。

この建物は余子浜にある小林鍼灸整骨院さんです。
かなりきれいに改修されていますが、下見板張りの洋館だったのではと思われます。
(追記)
旧長久医院であると教えていただきました。
『兵庫県の近代化遺産』にも載っているのでした。昭和3〜5年の建物で、設計・施工は永岡組となっています。(2010.3.15記)

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また面白いのが、川北にある新在家の幸町集会所。
赤い瓦屋根で左右対称、とくに両端に入り口を作っているのがユニークに思います。
直感的には昭和15年ぐらいの建物じゃないかと思うのですが、どうでしょう。

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入り口部分に近寄るとこうなっています。

網干銀行にしても、この町に洋風の建物が建ったのは、ダイセルの外国人技師やその住宅に影響された部分もあるのかなと思います。

<追記:関連HP・ブログ>
 旅ぽた『網干&室津&+相生』2002年
 道草画日記「網干<1>のすたるじぃ」〜 2005年
 道草画日記「山陽網干・飾磨ポタ<1>巨大お百度石」〜 2007年
 (2010.1.23記)

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コメント

はじめまして、姫路生まれの広島生まれの者です。今日、新在家行ってきました。ダイセル異人館に何年か前に行ったときに、気になったので、旅の宿題として残しておきました。興浜地区は次回の宿題になりそうです。

投稿: うてきなぷりぱ | 2011年1月 1日 (土) 20:27

うてきなぷりぱさま

初めまして。コメントありがとうございます。
新在家に行ってこられましたか。いいところですよね。
網干に関しては、既にご存じかもしれませんが、地元の英ちゃんさんの「網干在住日記」が詳しいです。

投稿: びんみん | 2011年1月 1日 (土) 21:24

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