住吉大社で灯籠を楽しむ(大阪市住吉区)
改めて住吉大社の西側正面です。
参道には有名な太鼓橋があります。
住吉大社の本殿は4つあります。
左が第三本宮、右が第四本宮、奥に第二本宮、第一本宮があります。奥の本殿は改修中でした。
現在の本殿は文化7年(1810年)のものだそうで、国宝です。
住吉大社は211年、神功皇后によってこの地に鎮座されました。
→住吉大社HP(よくできています)
源氏物語にも登場するように、古くから信仰を集めてきた神社ですので、境内・境外に見どころはたくさんありますが、今回は灯籠を楽しんでみました。
住吉大社には大小600余りの石灯籠が奉納されています。
その多くは江戸時代に海の神様として、全国の廻船業者が寄進したもの、そして様々な業種の同業組合が寄進したものです。広告塔の意味もあったのだとか。
◇寄進者を楽しむ
別に石灯籠鑑賞に詳しくはないですけど、楽しみ方のいくつかを。
石灯籠には寄進者の名前、寄進年などが記されています。
この灯籠は陸奥の灯籠。廻船業者では、松前、南部、津軽、仙台、越中、江戸、安芸、尾張内海、摂津伝法、紀州、土佐、伊予、日向延岡、肥後、薩摩といったところから、今では埋もれている壱岐勝本、塩飽牛島、讃岐粟島などまで全国です。海だけでなく、伏見の三十石船もあります。
こちらは大阪の灰屋株仲間。意外と(?)大きな灯籠です。
業種別では、大阪の干鰯、魚料理、砂糖、絞油、薪、土砂、堺の茶船、阿波の藍、吉野の材木、北国積の木綿などなど。大きさともうかり具合は比例するのかなどと思ったり。
◇大きさを楽しむ
かなり大きな石灯籠も何組もあります。
これは仙台の石灯籠ですが、隣の普通の大きさの灯籠と比べると大きさが分かります。
◇細工を楽しむ
これだけたくさんあるので、石工の細工も見どころです。
これは堺の呉服古着商。灯籠の裏にまで彫刻されているのがすごいところ。
商売柄、凝っているのでしょうか。
商売柄といえば、大阪の小間物問屋の灯籠は小ぶりながら細工が細かいです。さすが小間物。
紅花商の灯籠には花びら付きです。
砂糖商の灯籠ですが、まるで屋号の見本帳のようになっています。
◇素材を楽しむ
多くの石灯籠は花崗岩だと思いますが、中には「異色」も。
この2基は白さが目立ってますでしょう?
足元を見ると、美濃赤坂山産と書かれています。
ということは大理石!
江戸時代の慶応2年(1867年)のもの。
美濃赤坂の大理石というとカラフルなものを想像しましたが、
脇水鐡五郎氏の「美濃赤坂大理石に就て」という論文p99では、9種類に分類されています。
1.鼠(淡灰色緻密フズリナ石灰岩)
2.霞(灰白色クリノイド石灰岩)
3.鮫(濃灰色緻密フズリナ石灰岩)
4.黒(漆黒色炭質シュワゲリナ石灰岩)
5.白(雪白色微晶質石灰岩)
6.下部太理(斑色微晶質石灰岩)
7.花絞(黒色珊瑚シュワゲリナ石灰岩)
8.上部太理(斑色微晶質石灰岩)
9.更紗(雑色石灰角礫岩)
どれに当たるんでしょう。
これとは別に、大事に覆いをされている灯籠が2対あって、こちらも同じような質感なので、これも大理石なのかもしれません。
石灯籠以外では、他に岡山の備前焼の狛犬もあります。
明治2年に寄進されたものです。
今回紹介したものは境内のものだけですが、住吉大社の参道には、住吉公園の方まで、住友家寄進の石灯籠が並び、公園の先にも石灯籠が続いています。
600基もあれば、これ以外にも、いろいろな楽しみ方ができると思います。
| 固定リンク
「日常旅行(大阪)」カテゴリの記事
- 2022年もよろしくお願いします(2022年初歩き)(2022.01.02)
- トンガリ屋根の市営住宅(東大阪市)(2021.08.02)
- 野里を歩く(大阪市西淀川区)(2021.07.25)
- 姫島を歩く(大阪市西淀川区)(2021.06.13)
- 住吉大社門前の道(大阪市住之江区)(2020.01.03)
「神社」カテゴリの記事
- 飾磨の天満宮(姫路市)(2010.05.16)
- 古代の岬の敏馬神社(神戸市)(2010.05.13)
- 初めての北海道(15)網走市立郷土博物館(2009.07.26)
- 住吉大社で灯籠を楽しむ(大阪市住吉区)(2009.05.29)
- 神社の松(2008.07.17)
コメント
びんみんさん、こんばんは。
住吉さんは、毎年お正月に、家族揃って初詣をしています。それと、とんど焼きと。
子どもが小さい頃は散歩に行ったりもしてましたが、今はその行事の時に行くだけで、境内も大にぎわいですし、ゆっくりと「見る」ということをしてませんでした。石灯籠にそんな面白さがあったとは、驚きです。
今度行く時は、色々見て回りたいと思います。
(びんみんさんのブログを読ませてもらうようになってから、今まで気づかなかった家々の様子なども楽しめるようになり、いつもの景色が一新しました。感謝しています。)
投稿: ふぁっちゃいん | 2009年5月30日 (土) 20:57
ふぁっちゃいんさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
お正月の住吉さんはほとんど人しか見えないでしょうね。
私が行ったときの住吉さんは、たぶんインフルエンザの影響もあっていつも以上に少なかったと思います。
今回は石灯籠を取り上げましたが、狛犬は表情を楽しめますし、摂社・末社、本殿の彫刻、記念碑、玉垣の名前などなど、神社はいろいろ楽しみどころがありますので、ぜひゆっくりご覧下さい。
(日常的な風景に旅行的な楽しみを見つけるのが、ここのブログの主旨なのでそういっていただけるとうれしいです。)
投稿: びんみん | 2009年5月30日 (土) 23:38
こんばんは。
僕も姫路の色々な街を見て回っていまが、神社の石碑に書かれてあるものは特に気になります^^
びんみんさんのブログを参考に、いつか大阪の風景も見てみたいです。
投稿: 英ちゃん | 2009年6月12日 (金) 20:17
英ちゃんさん、こんばんは。
神社の石碑では思いがけない物語が書かれていることもあって興味深いですね。
例えば、大阪の鷹合神社で、明治20年代の神社合祀を避けるため(財政基盤の弱い神社は合併させられた)、氏子が共同で銭湯を経営した話が書かれているものがあったり。
面白いものを見つけたら、ぜひ教えてください。
投稿: びんみん | 2009年6月13日 (土) 00:40
住吉大社は221年、神功皇后によってこの地に鎮座されました。
と ありますが、221年 ではなく 211年 が正しいのではないでしょうか。
投稿: むこうた | 2017年8月31日 (木) 17:25
むこうたさま、コメントに気付くのが遅れましてすみません。
ご指摘ありがとうございます。
訂正しておきました。
投稿: びんみん | 2017年9月10日 (日) 23:42