北白川・小倉町住宅地(京都市左京区)
都文研の京都街歩きの続きです。
間を省略しますが、疎水に沿って北白川まで歩きました。
北白川の小倉町は、大正15年から分譲された古い住宅地です。開発したのは日本土地商事(株)で、藤井善助(美術館「藤井有鄰館」で有名な実業家)が設立し、片岡安を社長に迎えた会社です。
当初、売れ行きは悪かったそうですが、昭和3年から売れ始め、4期に分けた開発で昭和12年まで、最終的に19600坪が分譲されました。
(『近代日本の郊外住宅地』)
住宅地の中でも目立つのが、写真の京都大学人文科学研究所分館。昭和5年に義和団事件の賠償金で建てられた東方文化学院京都研究所です。東畑謙三が設計したスパニッシュ・ロマネスク様式の建物だとのこと。中国文化を研究するのになぜスパニッシュなんでしょうね。
東畑謙三という方は、この建物が最初の作品で、のちに大阪駅前ビル、筑波研究学園都市、インテックス大阪、千里ライフサイエンスセンターなどに関わり、近年まで活躍されています。全然印象が違いますけど。
照明器具のような装飾の門柱です。
暖かみを感じる材質は凝灰岩でしょうか。
研究所の近くにある住宅。
大きく育った庭木に埋もれて出窓付きの住宅があります。
このあたりは京大から近いので、京大教授の家などがたくさんあります。
洛北ほどではありませんが、街路はゆったりと感じられます。
煙突のある洋風住宅。
びしっと塀のような生垣の足元には、ころころした生垣。
窓のバランスがちょっと変わった住宅です。
角地の和風住宅。
苔むした門柱と力強い庭木が風格を増しています。
車止めの石ですが、柱状節理の石(自然に多角柱に割れ固まった石)ではないでしょうか。
庭石のようです。
地区の南側に、ちょっと面白いものがありました。
「小倉町 久保田町 西部 公同組合」と書かれています。
公同組合とは、戦時中に全国に広まった町内会のモデルとなったという説もある、京都独自の地域住民組織なんだそうです。
地区の境を疎水が流れています(この写真は小倉町より南)。
疎水は小倉町を巻くように流れ、その向こうは低くなって京大キャンパスとなっています。
小倉町を歩いていると当時の京大教授クラスのステイタスや文化を感じます。
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コメント
こんにちは。このあたりの住人で、古い建築に興味があります。「研究所近くの住宅」は人文研と通りをはさんだところにあるお家ですね。そこはかつて京大の貝塚茂樹先生が住んでおられたところです。ノーベル賞受賞者の湯川秀樹先生の弟さんです。
疎水は春になると桜が美しいです。ちょうど桜が満開の頃、疎水沿いのカフェで映画「マザーウォーター」の撮影をしていて、小泉今日子さんともたいまさこさんをみかけました。普通の住宅地だけに、本物の映画撮影に驚きました。
投稿: maple | 2010年5月30日 (日) 00:33
mapleさま
はじめまして。コメントありがとうございます。
いいところにお住まいですね。
「研究所近くの住宅」についての情報をありがとうございます。
映画好きなので、撮影情報は気になるところです。
「マザーウォーター」という映画、10月下旬公開とのことですね。「かもめ食堂」「めがね」は観ましたので、疎水が舞台になるなら観てみたいと思います。
こちらも情報ありがとうございました。
駒井邸をまだ見学したことがないので、それも行かなければ。
投稿: びんみん | 2010年5月30日 (日) 01:46