新潟ふゆ歩き(3)沼垂をさまよう
新潟の駅前通りをまっすぐ進むと分岐路にぶつかります。左斜め方向に曲がると、万代地区の繁華街を左に見つつ、萬代橋で信濃川を越え、新潟の中心部に向かうメインストリートです。右に曲がると延々と古びたアーケードが続いています。この道は沼垂(ぬったり)に向かう道です。
沼垂(ぬったり)。
足を踏み入れると抜け出せないような響きをもつこの町は、今では新潟市の一部ですが、江戸時代の終わり頃までは対岸の新潟と信濃川河口の権利を争うような港町でした。新潟は長岡藩、沼垂は新発田藩の町だったそうです。
昭和9年の地図を見ても、はっきりと一つの町であることが分かります。
新潟港の後背地のようにも見えます。
沼垂駅ができたのは明治30年で、北越鉄道の終着駅として、旧新潟駅(明治37年)より先に設置されたそうです。しかし、昭和33年には旅客営業はなくなりました。
拡大するとこのような感じ。
この町が今どうなっているのか気になり、またレンタサイクルを借りて出かけました。
まずアーケードを走っていくと、古くていい感じの美容室が目に留まりました。入り口を斜めに構えています。
「伊原美髪館」と右→左の文字で、戦前のもののようです。(小道さんによれば昭和初期)
角のアールがモダンです。
沼垂の町に入ると今度は写真館がありました。
正面はスクラッチタイル張りです。
「勝山写真館」という名前です。
スクラッチタイルは凹凸を付けて貼られています。スクラッチタイルが傷んだところも新しいスクラッチタイル(でこぼこの小さいもの)で補修しているようでした。
2階隅の屋根瓦は松のデザイン。
この脇の道は「ぬったり古町通り」の名前で修景された道です。
その「ぬったり古町通り」には看板建築らしき建物がありました。
オレンジ一色に塗りつぶされていますが、2階にエンブレム状の装飾(メダリオン?)が見えます。
かつての栗の木川に面して、倉庫のような建物が並んでいます。
南の方を見たところ。この道路がかつて栗の木川で、この川をはさんで沼垂の町がありました。
昔の川跡を東に渡ると「沼垂定住三百年記念碑」が立っています。
要約すると、沼垂の発祥は、日本書紀・大化3年(647年)に登場する渟足柵(ぬたりのき)で、以後、日本海の物流拠点の商港として発展したのですが、阿賀野川・信濃川の浸食で再三・再四の移転を迫られ、ようやく貞享元年(1684年)に現在地に定住し、300年になるということです(昭和59年建立)。
その近くにいい建物がありました。
桟入りのガラスがふんだんに使われている近代の商家です。
とくに角の部分がみどころ。
何の商売をされていたんでしょう。
さらに近寄るとこんな感じ。
角は違い棚のあるショーウインドーのようで、もうお店はされていませんが、夫婦の松の盆栽が飾られていました。
南の方に行くと、新潟同様(かなりコンパクトですが)、大きな寺が並ぶ寺町があります。
寺町の南には市場の並びがありました。
この市場の背中側は飲み屋が並んでいます。新潟絵屋のUさんに伺ったところでは、ディープな飲み屋だそうです。
ところで、市場の店先で面白いものがありました。
漁にでも使う物かと思ったのですが、新潟絵屋で伺うと、田んぼに苗を等間隔で植えるための道具だそうです。なぜここにあるのかは不明。
向かいの家では1階の屋根の上下にこの道具を吊していました。
東に向かうと錆びた線路にぶつかります。
昔は港に直結していた線路も途中で切れて、今は最果て感が漂います。
向こうは大規模な石油工場や製紙工場の世界。
この線路が結界のようです。
線路の向こうには古い煉瓦倉庫がありました。
沼垂日石の赤煉瓦倉庫で、大正時代のものだそうです。
沼垂の町は、新潟の町に比べてさびしい感じがしますが、味のある街並みです。もう少しゆっくり歩き回っても良いかなと思いました。
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コメント
モダンな建物は魅力的ですね。
松の盆栽がある建物もなかなかすごい。
それぞれの建物は町おこしとかに使えるといいのにね。
田植えのときに使う農具は
DASH村でよ知りました^^
DASH村ではマルではなく三角形でしたよ。確か…。
投稿: 新之介 | 2009年3月 3日 (火) 19:34
新之介さん、こんばんは。
新潟は近代建築がたくさんあって、活用もされている方だと思いますが、これぐらいの街中のモダン建築はまだのようです。でもいずれ人が訪れるようになるでしょうね。
田植えのときの農具はご存じでしたか。
DASH村に登場したんですね。
日本の稲作の緻密さが現れているように思います。
投稿: びんみん | 2009年3月 4日 (水) 01:45