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2008年9月15日 (月)

青島・煙台の旅(26)青島八大関をさまよう

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青島の八大関にある花石楼を見た後は、八大関を散歩、というより行き当たりばったり、さまよいました。

八大関の中には、このように美しく整備された池のある公園もあります。そしてそこはやはり撮影スポットです。

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<八大関の街路・建物配置図>
八大関の説明がまだでした。
八大関は1930年代初めから開発された高級別荘地です。1922年から1937年までは、青島が中国に返還されていた時期だったので、領事館関係者や外国企業の支店長などが住んだようです。

八大関という名前は、中国の有名な関所の名にちなんだ8つの道路(例えば函谷関路、山海関路など)があるためです。今は10関に増えているそうです。

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たとえばこんな住宅。塀には青島の花崗岩が使われ、多少の幾何学的装飾もありますが、基本的に直線・曲線で構成されたモダン建築です。

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交差点の角地なども無理に宅地化せず、緑地にされていたりします。ほんとにゆったり。

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松林の中にあるこの建物は、今は療養施設になっています。いくつか療養施設の看板を掲げている建物がありました。レストランになっている建物もあります。『青島と山東半島』によれば、この地区にあるホテル「八大関賓館」が11の建物を運営していて、予約すれば泊まることができるそうです。交通は不便ですが、そういう過ごし方もいいかもしれません。

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この建物は栄成路と武勝関路の角地にあります(栄成路19号(番地))。山小屋みたいでいかにも別荘です。1931年に、王節堯の設計で建てられました。門柱のてっぺんに家が乗ってるのがかわいい。

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先ほどの写真では木に隠れていましたが、ヨーロッパのお城風の石塔が隅に立っています。

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このまま栄成路を海に向かって歩いていきました。
栄成路は「関」が付いていません。1920年代に道が開かれて、1930年代に建築が始まり、八大関開発の端緒となった通りなのだそうです。「建築博覧会」の称号もある通りなのだとか。

同じ並びの住宅です。シンプルで、丸窓があるのが1930年代ぽいかな。

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栄成路33号。鉄の門飾り、テラスが軽やかです。
(ちなみに中国の地番の付け方は道路が基準で、片方が奇数、もう片方が偶数です)

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栄成路34号のこのお宅は、1930年代後半に三菱株式会社青島支社の青山喜一支社長が住んでおられたそうです。窓枠のブルーとくに楕円形の窓と、モダンデザインの門扉が印象的です。

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フェンスのデザインは摩天楼をかたどっているのか、面白いデザインです。

いくつか住宅を紹介しましたが、八大関の代表的な建物というわけではなくて(八大関を外れてそうだし)、むしろもっと他に有名な建物があります。なにしろ樹木に隠れて見通しがきかないので、どこに魅力的な建物があるか分かりにくい状況です。下調べして住所を手がかりに回った方がよさそうです。反省を込めて。

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八大関をさまよったあと、海岸にも出てみました。
海からやってくる霧でほとんど先が見えません。

磯遊びしている中年カップルに思い切って声を掛けてみると、地元青島の人でした。ビニール袋の中の「獲物」は、小魚やカニ、ヤドカリなどでした。童心に帰って楽しそうです。
高級別荘地の八大関も今は気軽な遊び場になっているようでした。
そしてもちろん結婚写真の撮影地にも。

○参考資料
 『青島と山東半島』(旅名人ブックス)、2007年、日経BP企画 
 『中国近代建築総覧 青島篇』、1992年、中国建築工業出版社
 魯海『老楼故事』、2003年、青島出版社

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コメント

栄城路34号に昭和16年~昭和21年3月
引揚げるまで住んでいました。(小1~小6)
なつかしく拝見いたしました。
扉、窓枠は白でした。門扉モ白でした。
前住者は、白系ロシヤの方と聞きました。
室内は、冬はペチカで、とても暖かく、夏は涼しいでした。前の道はアカシヤ並木で5月の白い
花の頃は、花のトンネルでした。

投稿: 青山 喜一の娘 | 2009年12月15日 (火) 12:46

青山喜一さんの娘さん
ありがとうございます!
お住まいだった方に書き込みをいただけるとは思いませんでした。
アカシヤの花も含めて、白の映える素敵なお宅だったのですね。
ご近所はいかがでしたでしょうか。
よろしければお教えください。

投稿: びんみん | 2009年12月15日 (火) 19:53

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