« 青島・煙台の旅(20)青島の街を見下ろす公園 | トップページ | 青島・煙台の旅(22)青島の石畳の街 »

2008年8月29日 (金)

青島・煙台の旅(21)青島の奇怪な官邸

080525yingbinguan1
<信号山から見た青島迎賓館>
東西の建築を寄せ集めて粘土で固めたような、何とも奇っ怪な建物。

青島迎賓館は、青島を代表するドイツ建築です。
信号山の南山麓に、ドイツ総督官邸として建てられました。
1905年着工で、1908年竣工。設計者はドイツ人のラツァロヴィッツ、建築監督はシュトラッサーです。

1914年に日本が青島を占領すると駐青島守備軍指令官邸となりました。1922年に青島が返還されると膠澳督弁官舎、1934年に国民党が青島を接収すると迎賓館と改称され、日本再占領期の1942年から45年までは国際倶楽部が一時移ってきました。新中国となってからは再び迎賓館として、国家指導者と外国賓客を接待するホテルとして使われました。1999年から博物館として公開されています。目まぐるしい変遷です。

ちなみに入場料は15元(冬の閑散期は10元)でした。

080525yingbinguan2
まずは正面(西面)から。
細部に至るまで、いろんな要素が詰まっています。花崗岩の壁面は生物のようです。
ユーゲント・シュティールの影響を受けているといいますが、ここまで自由奔放とは。
ドイツの総督官邸という権威的な建物がこんなに奇抜な形で中国に残されたというのは時の綾といえるでしょうか。

080525yingbinguan6
中央に見えるちょこっとした出っ張りは、ドラゴンの彫像です。

080525yingbinguan3
北面は食堂の外壁。
ここはまだシンプルな方。

080525yingbinguan4
東面は花崗岩の荒々しさが目立っています。
ある意味、遊園地的です。

080525yingbinguan5
最も整った南面。
ベランダを挟んで塔がいくつも立っているようです。

080525yingbinguan7
一周して東の正面に戻りました。
こちらにも小さなベランダがあって、そこは総督の部屋です。

080525yingbinguan8
外観だけで、もう十分という感じですが、これから中に入ります。
ユーゲント・シュティール風アーチの玄関です。

080525yingbinguan9
中に入ると大ホールに出ます。2階まで吹き抜けの大空間。他の部屋はこの大ホールを囲んで配置されています。そして壁を巻くように2階に上がる階段があります。
1階奥の窓にはマリア様の描かれたステンドグラスがあります。残念ながら近くから撮り忘れていました。

ヨウタロウさんが中国・青島@建築探訪記で紹介されていますので、ご覧ください。

080525yingbinguan10
振り返るとこんな感じ。ふんだんに使われた木と白い壁の落ち着いた空間です。
右下に暖炉が見えますが・・・

080525yingbinguan11
近くで見るとこんな思い切ったデザインです。
緑釉のタイルが渋めの色合い。

080525yingbinguan12
こちらは別の部屋の暖炉で、花の模様が繊細です。

080525yingbinguan13
1957年に毛沢東が滞在したという喫煙室のステンドグラス。
青島の海なのでしょうか。

080525yingbinguan14
ディナールーム。もう一つ小さなダイニングルームもあります。

080525yingbinguan15
東面には温室がつくられています。
打って変わって鉄骨とガラスの空間です。

080525yingbinguan16
1階を1巡したら2階へ。
布でできたような柔らかな表現の階段手すりです。

080525yingbinguan17
2階にはL字型に回廊が巡っています。内にもベランダのアーチ。

080525yingbinguan18
総督夫妻の寝室です。

080525yingbinguan19
北西隅にある林彪の部屋。他の2階の部屋から1段下がっています。

080525yingbinguan20080525yingbinguan21080525yingbinguan22
室内装飾の数々を集めてみました。
左から林彪の部屋の漆喰細工、2階廊下の照明、非公開の部屋の内側出窓です。

080525yingbinguan23
2階の南側ベランダからは広い庭越しに青島の住宅地が見えます。
ベランダに出る部屋は子供部屋というのですからなんともぜいたく。

とことん凝った総督官邸でした。
青島で建物を見るなら、ここは外せません。

○参考資料
 「青島迎賓館解説リーフレット」
 竇世強・李明『画説 青島老建築』、2004年、青島出版社

|

« 青島・煙台の旅(20)青島の街を見下ろす公園 | トップページ | 青島・煙台の旅(22)青島の石畳の街 »

建築」カテゴリの記事

海外旅行」カテゴリの記事

コメント

青島と鎮多尾は別である。

投稿: ガーゴイル | 2022年1月21日 (金) 12:06

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 青島・煙台の旅(21)青島の奇怪な官邸:

« 青島・煙台の旅(20)青島の街を見下ろす公園 | トップページ | 青島・煙台の旅(22)青島の石畳の街 »