キャラバシ園(高石市)
高石市の伽羅橋に異色の郊外住宅地「キャラバシ園」があると知り、見に行きました。
ぷにょさんが「まちかど逍遥」でレポートされていて、かなり重なってしまうのですが。写真はそちらをご覧ください。
キャラバシ園というのは、伽羅橋の素封家・山川家の山川逸郎が大正後期に開発した住宅地です。
キャラバシとカタカナにすると異国の雰囲気ですが、そのイメージ通り、洋風の街づくりでした。
まずは南海高師浜線の伽羅橋駅を起点にします。この線自体、長兄の山川七左衛門が敷設に努め、大正7年に伽羅橋駅まで開通した線だそうです。上の写真のように小さな駅前広場があり、向かいには高石教会があります。こちらも七左衛門が関わっています。
左に折れて歩いていくと、すぐに大きな洋館が目に入ります。
登録文化財の赤木家住宅(旧飯井定吉邸:大阪の老舗料理店の家)。大正14年に山川逸郎が設計したコテージスタイルの木造2階建て住宅です。平成17年に修理されたばかりなのできれいです。
(追記)2022年1月に解体されました(2022.9.2記)
門柱なども石を丁寧に貼り込んで作られています。
広々した玄関ポーチが見事だそうですが、塀が高くて窺えません。
キャラバシ園の跡自体はすぐに分かりました。
三角形の街区がありますが、ここはもと庭園広場で、周りに十数棟の洋風住宅が建ち並んでいたそうです。庭園広場には噴水、植栽、街灯、ベンチ、それに温室があったそうで、モダンな街並みだったようです。残念ながら今はその面影はうかがえません。
ただ、こちらの和風住宅のセットバックした前庭に、ガーデンシティの精神の名残をみることができるかなと思います。
多少、古そうな住宅として、北の方にあるこの赤い屋根の住宅があります。
あるいはこちらの同じく赤屋根の住宅。
当時の写真にみるコテージスタイルの洋風住宅とはかなり違いますが。
また古そうな工場の建物もありました。重々しい木の扉です。
ちなみに駅前にはカステラの銀装の工場もあります。
ただの住宅地ではない一面も。
山川逸郎自邸が残っているという情報があり、探し回ってようやく見つけました。駅前を右に行ったところだったので、分かりにくかったのです。
こちらも非常に状態がよく、きれいです。
山川逸郎は大正6年に自動車研究のために渡米、大正8年に帰国し、最初に建てたのがこの自邸だったそうです(大正9年竣工)。前面に突き刺したように煙突が立っているのが風変わりに思います。
山川逸郎は続いて、キャラバシ園の計画に入り、大正12年に第一期工事が完了しました。
しかし、昭和に入ってからは彼の住宅への関心は薄れ、キャラバシ園も幻となってしまったのが惜しまれます。
○参考資料
山形正昭「赤木家住宅と「キャラバシ園」について」
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