浜寺昭和町1〜3丁の住宅(堺市)
浜寺公園を北に抜けた後、浜寺住宅地の中をぶらぶらと歩いてみました。住所でいうと浜寺昭和町1〜3丁です。浜寺住宅地で最初に開発されたのは、浜寺昭和町4〜5丁の濱寺土地(株)経営地(大正7〜10年)で、1〜3丁はそれより後の開発です。
まず最初に遭遇したのは福音交友会・昭和聖書教会です。
郊外住宅地に教会はよく似合います。この教会は1963年にできたようです。
その隣にはスクラッチタイルの門柱。これは。
教会関係者の住宅のようです。M家住宅。昭和4年(1929年)に錦華紡績社長の佐藤進自邸として建築されたそうです。木造で施工は竹中工務店。敷地は846坪もあるそうです。全体がよく見えません。
この蔵のような鎧戸は何なんでしょう。あるいは母屋の一部を蔵としていたのでしょうか。
(「大阪府の近代化遺産」参照)
ほとんど白一色に塗られた建物ですが、ハーフティンバー状の浅い突出部が見られます。元は違った色づかいだったのかもしれません。
福音交友会の記録をみると、1949年に「浜寺昭和町一丁の土地・建物購入、宣教師住居並びに浜寺聖書教会堂として使用」と書かれていますので、一時、教会にも使われていたのではないでしょうか。
その隣も近代建築です。ジグザグの壁面が印象的なこの建物は大正15年(1926年)のS家住宅。施主は元大丸の社長さん。ヴォーリズ風の木造住宅で、施工は竹中工務店。設計者はヴォーリズかも?と記されています(「大阪府の近代化遺産」)。見た目もさることながら、各室にラジエーターが配され、給湯設備もあって、設備が近代的だったようです。
門構えは比較的シンプルです。
裏に回ると、物置風の建物も古そうなものが残っていました。淡いブルーの縁取りも、地面から50cmぐらいスクラッチタイルを貼ってあるのも、建物本体と統一感があります。
(ここから追記)
浜寺昭和町1丁についてはかなり見落としがあったので、まちかど逍遥の「浜寺公園の洋館めぐり」を参考にまとめて見てきました。
上記の建物の並びなのになぜ見落としたんでしょう・・・
まず南海・阪堺電車からも見えるK家住宅(またはO家住宅)。昭和21年(珍しい)の戦後建築です。
頭の大きな屋根にドーマーウィンドウ(屋根窓)。
この写真は裏の南東側からです。
その東にあるU家住宅。
旧鶴巻邸を連想させる半円の出窓付き住宅です。
北側の窓という窓にステンドグラスがはまっています。
昭和13年の建物。
実は同じU家住宅の和館部分らしい。
その洋館付き部分(複雑)。
昭和聖書教会の隣にある、不思議な形をした住宅。
分厚い本を開いたような。
しかもジグザグの平面です。
昭和聖書教会の斜め向かいにある住宅。
窓の桟が立木のようで面白いです。
(追記ここまで。2009.5.22)
さて、住宅地を歩いているとあちこちに古い住宅地の風情を感じます。例えば、これは小さな水路の小さな橋だったのでしょうが、ちゃんと橋名の入った親柱があります。
窓の格子。木製です。窓枠も木製で、落ち着きがあります。
側溝は両側とも、2列ずつ石材(たぶん花崗岩)を敷いていました。ちょっとしたことですが、味があります。
木の表皮を活かした渋い木戸。銅製の金具も、モダンデザインの門柱もかっこいいです。ちなみに表の門も同様の木戸2枚でした。建物にも期待するところですが、生垣が完璧で中をうかがえませんでした。
そして、こちらが差し当たっての目標物だった、近江岸家住宅。設計はヴォーリズ建築事務所、です。見比べると先ほどのヴォーリズ風とヴォーリズではだいぶん違うようにも思います。3本ラインがクール。
この建物は三角形の敷地に建っていて、その三角部分が庭で柵が低いので、裏からよく眺めることができます。
近江岸家住宅は、昭和10年(1935年)に建てられた木造住宅で、国の登録有形文化財にも指定されています。
浜寺昭和町3丁で、濱寺土地(株)開発地とは隣接しています。
とくに側面からはじっくりと眺めることができます。
スパニッシュの明るい雰囲気で、表にも裏にもテラスがあり、のんびり庭を眺めていたら別荘気分が満喫できそうです。なんとも美しい。見飽きない。歩き疲れもとれました。
(追記)後日、3丁を再訪したときに、東の方(内陸側)で古そうな住宅を見かけました。
凹んだダイヤモンド型の換気口と鷲(か鷹)のエンブレムが光っています。
この鷲?は車輪に乗っているようにも見えるのですが、どこかの社章でしょうか。(2009.5.24)
この浜寺昭和町1〜3丁では、古い住宅は海岸寄り、線路寄りに多いようでした。
後で電車から気付いた住宅もあります。
見落とした住宅もそうですし、いずれ、浜寺昭和町4〜5丁も探訪しに行ってみようと思います。
○関連記事
「浜寺昭和町5丁の住宅」
「浜寺昭和町4丁の住宅」
他の郊外住宅地のインデックスはこちらです。
| 固定リンク
「建築」カテゴリの記事
- 野外博物館・四国村(香川県高松市)(2024.07.14)
- 屋島ケーブル跡(香川県高松市)(2024.06.24)
- 北白川の住宅地を歩く(京都市左京区)(2024.06.06)
- 岡ビルから南の建物(愛知県岡崎市)(2024.02.16)
- 六所神社の彫刻(愛知県岡崎市)(2024.02.11)
「日常旅行(大阪)」カテゴリの記事
- 2022年もよろしくお願いします(2022年初歩き)(2022.01.02)
- トンガリ屋根の市営住宅(東大阪市)(2021.08.02)
- 野里を歩く(大阪市西淀川区)(2021.07.25)
- 姫島を歩く(大阪市西淀川区)(2021.06.13)
- 住吉大社門前の道(大阪市住之江区)(2020.01.03)
コメント
このあたりでは近江岸邸がダントツの美しさ・素晴らしさでしょうか。
確かに正面からは見づらいのですが、側面(西面)と背面(北面)はよく見えるのが嬉しいですね。
特に側面からの眺めは様々な要素の組み合わせが変化の妙といった面白さを醸し出していると思います。
投稿: ひろ009 | 2008年7月26日 (土) 09:02
これ以外は見てないんですけど、近江岸邸がダントツですか。このすばらしい建物が見やすいというのはありがたいですね。
これ以外の住宅の敷地は全て整形なのに、ここだけ三角形なのが不思議です。
投稿: びんみん | 2008年7月26日 (土) 09:44
こんばんは。
土曜日はシンポジウム、お疲れさまでした。
私は昨夜から今朝にかけてサッカーW杯・準々決勝残り2試合を見てました(実質は1.5試合)。
浜寺昭和町のK家はたぶん中学・高校の同窓生のお宅(実家)です。U家は近隣の建築ファン(ってどれくらいおられるのでしょうね)には有名かも。
>昭和聖書教会の斜め向かいにある住宅。
>窓の桟が立木のようで面白いです。
私もこのお宅は聖書教会を見たときに初めて気付きました。
>鷲(か鷹)のエンブレム
へぇーっ、ここは全く知りませんでした。
投稿: ひろ009 | 2010年7月 4日 (日) 23:33
ひろさん、こんばんは。
土曜日のシンポジウム、充実していましたね。
サッカーW杯、11時スタートの分は見ています。
ここから先、3時半スタートばかりなので辛いですね。
さて、浜寺昭和町の住宅ですが、同窓生のお宅でしたか!
“K”が正しいのですね。ありがとうございます。
U家はとても美しいと思います。
投稿: びんみん | 2010年7月 4日 (日) 23:47
めちゃめちゃ実家の近所でびっくりしました!教会関係者の家?は日曜日には入れると思いますよ。私は教会の幼稚園に通っていましたが日曜学校でよく出入りしていました。
Uさんちはもう少し北側にも息子さんの家がありますよ。
投稿: ゆー | 2013年1月 1日 (火) 23:16
ゆーさま、はじめまして。
情報をありがとうございます。
ここの幼稚園に通われていましたか。
私は初めて訪ねる場所がほとんどなので、住んでいた方のお話は非常に参考になります。
投稿: びんみん | 2013年1月 1日 (火) 23:41