青島・煙台の旅(4)煙台・海岸街の西側
さて、煙台のまち歩きです。
旅館の前の海岸街から歩き始めました。
上の写真が海岸街の西側の現況です。
海岸街は東西わずか143mの通りですが、領事館あり、郵便局あり、洋行(外国企業)ありの(かつては)外国人地区でした。
海岸街には郵便局が5つあって、郵便局通りのようです。
旧ドイツ郵便局と旧茂記洋行は前に紹介しましたので、他の建物について紹介します。
旧ドイツ郵便局の隣にも同じような建物が建っていて、その間の通路にアーチの門が立っています。
上部には「法商永興洋行」と書かれています。つまりフランス商人の永興洋行。永興洋行というのはフランス企業では中国最大の貿易商だったようです。
この文字は、2007年の改修工事の際、壁の下から「掘り出された」そうです。
旧茂記洋行の東隣にあるのが、旧山東煙台一等郵政局。1925年の建築です。煙台は、清政府が1878年に建設した五大郵政機構(北京・天津・上海・牛荘・煙台)所在地の一つで、1887年に煙台郵政総局が設立され、山東省内の郵政分局を統括、1910年には副総局、1913年には一等郵政局に改められ、1937年まで続きました。
今も郵便局として使われています。
同じく旧山東煙台一等郵政局の正面です。
フランス古典主義の建築で、構造は煉瓦・石造。折り上げられた三角の破風?が変わっています。
はす向かいのドイツ郵便局など他国の郵便局に対抗する意図もあったでしょうか。
海岸街と朝陽街の交差点、煙台山の正面という一等地にあるのが、旧美孚洋行です。美孚洋行は1899年に設立されたロックフェラーグループのアメリカ企業で、自動車、ディーゼルオイル、灯油などの貿易の他、中国人労働者の海外送り出しも行っていました。1902年には芝罘島東口村に石油貯蔵庫と小さな埠頭を建設し、煙台との間で持ち船が行き来していたそうです。石油貯蔵庫3棟は90万ガロン(3407m3)の容量があり、東北地方まで供給されていました。労働者の送り出しは、約3万5千人に達したといいます。
市場開拓のため、美孚洋行は無料で灯油と街灯を提供し、市民に歓迎されたそうです。こうして、煙台と農村の市場を押さえ、のちに大きな利益を得ました。
1941年12月8日の日米開戦翌日、美孚洋行は日本軍に差し押さえられました。
建物も設立時の1899年のもので、木骨煉瓦構造の平屋です。
3面に入り口があり、ゆったりした建物に見えます。
同じく朝陽路の交差点で、美孚洋行の向かいにあるのが、旧克利頓飯店あるいは旧ロシア郵便局です。
プレートによれば1910年建設の木骨煉瓦構造の建物です(鉄筋コンクリートとする文献も)。
克利頓飯店は、ロシア商人が1910年に開業したレストラン兼ホテルで、とくにロシア料理で知られていました。1912年に、袁世凱に招かれた孫文が煙台に立ち寄った際、この2階手前角の部屋に泊まり、煙台で講演も行ったそうです。
克利頓飯店の前はここにロシア郵便局がありました。
裏側にあたる西側もなかなか装飾が豊富で美しい。
灰色煉瓦に赤煉瓦と赤い木製窓枠の線が映えています。
旧ドイツ郵便局にもありましたが、窓の下に、灰色煉瓦と赤煉瓦を使った意匠がはめこまれています。表現は洋風でありながら、素材は中国らしい意匠という気がします。
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コメント
はじめまして!
中国無錫在住のR-pandaです。
美孚洋行のことを調べていて偶然びんみんさんのブログを発見しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/igaitorpanda/34183321.html
一部参考にさせていただきました
謝謝!!
私もびんみんさんと同じ建物好きです。
よろしければ、R-pandaのブログに遊びに来て下さい☆
投稿: R-panda | 2010年11月28日 (日) 12:54
R-panda様、初めまして。
こちらのブログを紹介していただいてありがとうございます。
ディテールのデザインまで紹介されていて、とてもいいですね。
またブログ読ませていただきます。
これからよろしくお願いします。
投稿: びんみん | 2010年11月29日 (月) 00:47