もうひとつの住友赤レンガ倉庫
「海岸通建物物語3 旧住友倉庫編」の「もうひとつの赤煉瓦倉庫」見学ツアーに参加しました。再び、築港へ。
「もうひとつの」とは、築港の南にあって、大阪市の所有ながら耐震性の問題で利用できない状態が続いている旧住友倉庫(築港赤レンガ倉庫)に対して、その少し西寄りにあるあまり知られていない住友倉庫を指しています。でも有名な方が大正12年の建築なのに対して、地味な方(?)は大正4年と古くて、おまけに現役なんです。
実際、この日も荷役作業が行われていて、ご厚意で一時中断していただいての見学でした。
最初に説明されたのがこの部分。
住友のマークが入っていますが、よく見てください。壁当てに使われているとかいうことではありませんよ。うっすらと三菱マークの跡が。最初は三菱倉庫として建てられたようだとのことです。
正面を別の角度から。角の柱などが若干装飾的です。また、白のラインが特徴になっています。
この白い部分、普通は石を使いますね。よく見ると白いレンガ(煉瓦かどうかは不明)を積んでいるようです。赤煉瓦でも差し支えないようなところ、手の込んだことをしているものです。でもそのかいあって、目地が揃う分、きれいに見えます。
倉庫の見学会なのですが、さっきから気になっているものがあります。これ。クレーンのバケット? 赤レンガの色とコーディネートされているみたいで美しい。
さて中に入ります。
屋根を支えていたのは、木製のトラスでした。梁は丸太を何本も束ねてあります。
梁の端はレンガをせりだすように積んで支えています。
荷役用の道具も、きれいに揃っているとアートみたい。脱線する私たち。
これは道具を補正するためのちょっとしたハンマーのようなものらしい。倉庫を見に来たのに、そんな道具の数々に目を奪われる私たち。ギャラリーなどに転用されるのもいいですが、やはり現役で活躍している建物はいいなあと思います。「はい、次行きますよお!」と急かされて、名残惜しく倉庫を後にしました。
(追記)
この、もうひとつの旧住友倉庫が最近解体されたと聞きました。(2021.1.28記)
もちろん主役の赤レンガ倉庫も(外から)見学しました。この写真も金網の隙間からです。左がプラットホーム跡。この赤レンガ倉庫は大正12年ですが、赤レンガを使った建物としては最後の時期、かつ最大級のスケールだそうです。
また両倉庫の間にもコンクリートの住友倉庫があります。
どうも戦前らしいとのこと。地味だけど現役。
こちらは先日のまち歩きのときに見た川口の住友倉庫です。昭和4年なので、赤レンガ倉庫とは6年しか違わないんですね。技術の進歩の速さを感じます。
商船三井築港ビルに戻って、酒井一光さんの講演「赤煉瓦建築の見方・楽しみ方」を聴かせていただきました。赤煉瓦の初歩から始まって、最後はマニアックな領域まで(大阪城公園の道には刻印レンガが埋め込まれているとか、某団地の花壇には刻印レンガが再利用されているとか)。さらに理解が深まりました。
講演会場になったのは、ステムギャラリーではなくて、2階に入られたDANIA JAPANのジーンズ・ショップでした。私は疎いのでよく知らないのですが、こだわりのブランドだそうです。非常にゆったりした店内でした。ふだんはもっと商品が並ぶのかな。
この場所に価値を見いだして、発信してくださるのはありがたいことです。
最後は、ステムギャラリー改めババーバーで締めくくり。
キャンドルライトで素敵な雰囲気になります。
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