赤穂の塩の役所
赤穂というと塩で有名なところ。
江戸時代の17世紀、浅野家時代に、塩の干満を利用する入浜式塩田が大規模開発され、赤穂の塩は全国的に知られるようになったようです。
赤穂の塩業は明治以降も受け継がれ、日露戦争(明治37-38年)の戦費確保を目的に塩の専売制が敷かれた明治38年(1905)から3年後、明治41年(1908)に赤穂の塩務局庁舎が完成しました。
その建物が今も残っています。
これほど赤穂らしい建物もないでしょう。
Iさんが、私が近代建築が好きだからと案内してくださいました。
いい建物なので多めに紹介します。
折良く向かいは素晴らしい桜並木。明るい明治建築に、桜がよく似合います。
建物は複雑な形をしています。
全体に優美なデザインが施されていて、外観も見どころが多いものです。通用口(?)の玄関も凝ったものですし、窓もとりどり、半円形の換気口もおしゃれです。ちなみに石材は赤穂城からも運ばれているらしいです。
こちらが玄関。塔のようになっています。2階手すりの曲線が優美。ちょっとアールヌーヴォーが入っているのか。
そう今は「赤穂市立民俗資料館」となっているんです。入場料は100円で、申し訳ないぐらい安い。
玄関ホールは吹き抜けになっています。
外観同様、淡いブルーと白のパステル調。
館内は廊下も展示スペースになっていて、ほとんどフル活用されています。全体を見て回れるので、本当にありがたいことです。
外ではお花見。塩田は1972年に塩が工場生産(イオン交換膜製塩法)化されると不要になり、(塩分を含むためか)工業用地に転用されたようです。工業用地と住宅地・農地の間にはグリーンベルトが整備されたと思われます。ここに見える緑がそれです。
2階に上がる階段室。ここも高い吹き抜けになっています。
2階の屋根を支える部分。ハンマー・ビームと呼ばれる構造だそうです。いかにも留めてますというデザイン。
資料館は裏にも出られます。
裏から見た全景。裏から見ても複雑な形をしています。
付属の文書庫。オランダ積みのレンガ建築です。
同じ型の草刈り機が並べられているのがなんだか面白い。
後ろの壁は塩倉庫です。全景を撮り忘れましたが、2階建てぐらいの高さで、切り妻屋根です。
塩務局の近く(グリーンベルトの外側)には、日本塩回送(株)赤穂支店がありました。これも、塩業の歴史を感じさせます。木製サッシなので古いのかなと思ったのですが、「国土変遷アーカイブ」で確認したところ、昭和36年時点ではまだ建ってないので、それほど古いわけではなさそうです。
うまく伝えられてないですが、赤穂市立民俗資料館と向かいの桜並木との組み合わせは素晴らしく美しいものです。
なお、11棟並んでいたという塩倉庫、「国土変遷アーカイブ」の米軍撮影写真で確認すると、西(最初の写真でいうと右手)方向に2列で並んでいます。新聞記事では、改造されて事務所に使われている塩倉庫があるとのことで、実際、最近の地図でもそのような形の建物が何棟かありますので、出かけられる方はついでに確認されるといいと思います。
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コメント
ここに来るとほんとのものはやっぱりいい・・・、どう言葉にしていいかわからんけどいいよなぁといつも思ってました。そうそう複雑な形で、色もかわいいんですよね。白に薄い水色、春は桜色と新緑色でさらにかわいさアップだし、中庭の明るさもここちよいし、なんかいろいろ並べられてあるのも規則ないのになんかいい・・・展示品も笑かそうと思ってないのに笑えるところもあったね。
草刈り機最初に並べた時は他に展示するものがなかったのかな。。。ある意味中庭どれもインスタレーションやった気がする。
???がいっぱいで。
投稿: のーと | 2008年4月14日 (月) 21:33
いいですよね。よく吟味された建物はいいなという。
ここまで足を伸ばす観光客は少なそうですね。
あれだけ見事な桜並木なのに人が少なくて、この建物を背景にお花見できるなんてぜいたく、って思って見てました。
展示品を撮るのは気が引けたので撮ってませんが、展示品も面白かったですね。でも今の価値判断で価値ありそうなものを残すより、無作為に残した方が結果的に価値を生むかもしれません。未来に何が注目されるか分からないから。
草刈り機はあれだけあるなら、レンタ草刈り機しても面白いような気もします。
投稿: びんみん | 2008年4月15日 (火) 01:07