住宅改造博覧会跡の住宅(箕面市)
箕面の郊外住宅地探訪の続きです。
いよいよ桜ヶ丘住宅地へ。
大正11年9月21日から11月26日まで、ここで「住宅改造博覧会」が開催されました。会場には実物「改造住宅」25戸(コンペと建設会社出展)が建てられ、本館では模型、図面、材料が展示されたそうです。入場者数は7万人余り、多くは知識階級で、女性が多く、近畿からが7割で北は北海道、西は朝鮮・台湾・満州から来た人もいたそうです。その影響力はどれほどだったでしょう。
会場に向かうルートは2つあり、メインが正面の田村橋通、もう1つがこの紅葉橋通でした。
というわけで紅葉橋。粗く削った切石と、モザイク状の石張りを組み合わせた味のある橋です。下をのぞき込むとコンクリートのアーチでした。『大阪府の近代化遺産』によれば大正15年の架設です。(ただし、それぞれの親柱上部に金具が残っていますので、照明器具かモニュメントが載っていたと思われます。その後、金属供出か)残念ながら田村橋は架け替えられています。石張りを摸したデザインですので、こちらも同様の橋だったのでしょう。
これが現在の桜ヶ丘の街区。この図の中央やや右が会場でした。
田村橋通に移動します。
桜ヶ丘はその名の通り丘です。
振り返って駅方向を見るとこれぐらい高低差があります。
会場の西側は本館と西洋庭園のような形だったのですが、会期終了後に撤去されました。今はこのような広大なお屋敷の一部となって、残っています。
さて、ここから「住宅改造博覧会」跡の住宅です。
半円状の区画に沿って、住宅が並んでいます。
ただ、ぷにょさんがきれいな写真で詳しく紹介されていますので、私はごく簡単に。
→まちかど逍遥「興奮の渦!桜ヶ丘 〜その1・その2・その3」
<横河時介氏出品 米国式コッテージ> ※自邸として
<あめりか屋出品 あめりか屋式>
<大阪橋本組出品 和洋折衷式>
<日本建築協会6号(第3回懸賞2等) コッテージ式>
<日本建築協会3号(第1回懸賞3等1席) バンガロー式>
<片岡建築事務所出品(乙) 和洋折衷式>
<日本建築協会1号(第1回懸賞1等) ミッション式>
というわけで7棟現存ということでしょうか。平成11年には9棟残っていたので、2棟減ったことになります。ただ、周辺の住宅も雰囲気は合っていて、現存物件もきれいに手入れされているので、資料がなければ、分かりにくい感じです。街並みにはいいことですけどね。
街区の中には、箕面市が「住宅改造博覧会跡地」の説明板を立てていました。また、平成9年度「大阪都市景観建築賞 特別賞」の記念表示もあります。
このほか、箕面市の景観形成対象物件には小さな表示プレートが掲げられています。
どういう由来か分かりませんが、統一のものではなくて、デザインはいろいろ。
何重にも、守ろうという気持ちが表れていて、現存物件はまだ使い続けてもらえそうです。もっと後に建ったはずの周辺の住宅は建て替えられているものが多いので、やはり「この家は当時の日本の住宅のモデルだったんだよ」という語り継ぎが行われて、大事に守られているではないのかなと思います。
※今回の記事も『近代日本の郊外住宅地』を参照しました。
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