「アトリエインカーブ展」
天保山のサントリーミュージアムで最終日に、「アトリエインカーブ展」を見ました。
アトリエインカーブというのは、大阪にある知的障害者のアートスタジオですが、その作品は「温かい目で見る」対象ではなく、普通にアートとして通用するものです。アウトサイダー・アートとも呼ばれるとか。彼らの作品は、日本の美術館では初めての公開だそうです。
今回は5人の作家の作品で構成されていました。
それぞれに個性が際立っていて鮮烈です。
○寺尾勝広さん
鉄骨でぎっしり組まれたような画面を、+○△などの記号が埋め尽くしています。その執拗さにはめまいがするほど。一見、抽象絵画ですが、なんとなく具象の形が浮かび上がってきたりします。離れたり、近づいたりするといろいろな見え方のする不思議な絵です。
○武田英治さん
商品パッケージの説明書きをデフォルメしたような作品。知的障害者の作品には、独特な再構成の世界があって面白く思います。例え手本をもとに描いていても、個性をもった形に変容されています。なおかつ一貫性があるのがすばらしい。
○湯元光男さん
私はこの方の作品が一番気に入りました。フリーハンドで描かれた建物や動物が、モザイクのように塗り分けられています。その色づかいは思いがけないものですが、不思議と心地よさがあって、作品ごとに異なったトーンを示しつつ、一貫性もあります。センスでしょうか。
○新木友行さん
この方は手法的には湯元さんと似ています。でもこの方は格闘技が好きなのか、どの作品も組み合う2人の人間。プロレスの技をかけている姿は、二者一体のものとして見ると面白い造形とも見えるのかもしれませんが、それに作家の個性的なデフォルメが加わって独特の表現になっています。
○吉宗和宏さん
この方は他の方と対照的に、にじみを生かしたミニマルな表現です。微妙なさじ加減。
アトリエインカーブは、各種グッズへの展開にも力を入れていて、作品はポストカードはもちろん、Tシャツ、バッグ、時計、ブックカバー、タペストリー、バッジ、パズルなどになっています。ちょっと残念だったのは、商品の元作品が古い作品のようで、今回出品されていた湯元さんの作品は商品になっていなかったことです。仕方ないのでしょうが。
今回の作品はそれぞれに個性が強く、非常に見応えのある作品展でした。
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