京都国博の狩野永徳展
京都国立博物館で開かれていた「狩野永徳展」の最終日(先週の日曜日)に出かけてきました。
閉館時間は8時なので、寄り道して遅めに出かけ、待ち時間は50分。
木枯らし一番の吹いた日で寒かったのはともかく、この程度の待ち時間はまあ、仕方ないでしょう。
京都国立博物館は、片山東熊の設計で明治28年に竣工した建物なので、ゆっくり建物を眺めながら順番を待ちました。
狩野永徳は桃山時代に大活躍した画家です。
それも、足利義輝、信長、秀吉といった権力者に重用され、大きな仕事をなしたのですが、残念ながら、その作品は安土城や大坂城などと運命をともにしてしまい、あまり残っていないそうです。
その貴重な作品の多くを集めた回顧展が、今回の展覧会とのことです。しかも京都限定。
迫力のある作品がたくさん出品されていますが、
私の気に入ったのは、展示室に入って最初の作品、国宝の花鳥図襖でした。大徳寺の塔頭・聚光院(じゅこういん)の襖絵です。水墨画で大きく松と梅、川の流れが描かれ、幾種類かの鳥が配されています。この松にしても、梅にしても身を乗り出すように伸びやかに前へ前へと向かっていて、筆に迷いなく、気分のよい作品です。葉先まで前向き。
大徳寺なのでまた見に行く機会もありそうです。
同じ聚光院の襖絵でも、向かいに飾られていた琴棋書画図襖は、木々や岩がコキコキした描き方でちょっと苦手な感じ。上手いには違いないのですが。永徳の岩の描き方は独特です。
今回の展示品の一番人気は洛中洛外図屏風でした。
400年以上たっているというのに鮮やかなものです。
細密に描かれていることもあって、人が張り付いて動きません。
暮らしぶりが細かく表現されていますので、見ていて飽きないはず。残念ながら飽きるほど見る余裕はありません。
迫力のあるのが唐獅子図屏風。
これも人気のある作品のようです。2頭の獅子はそれぞれ体長2mほどで、これだけのサイズをびびらずに破綻なく描けるというだけで感心してしまいます。力が画面全体にみなぎっています。
晩年(といっても亡くなったのは48才)の檜図屏風の檜は枝がのたうっています。屋久島の森で見た杉のような感じ。油断していると枝に巻かれてしまいそうな怖さがあります。
この他にも、左手から吹く強風と鳥の甲高い鳴き声まで聞こえてきそうな老松竹虎図、弟子の作品らしいのですが、現代的な感覚の雲龍図屏風など、気に入る作品はたくさんありました。
京都国立博物館の特別展は期待に背きません。
かなり満足して会場を後にしました。
こういう説明は絵を見ていただきながらがいいのですが、直接画像を出せないのが申し訳ないです。
リンク先のあるものはリンク先で確認してください。
最後におまけで、博物館の床下換気口の面格子を載せておきます。
明治建築らしく華やかな面格子です。
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コメント
こんにちは。
京都国立博物館は内部に入ったことがないような気がします。建物と正門が西日を浴びた姿は圧巻ですね。
狩野永徳展、素晴らしかったようで良かったですね。狩野永徳では「唐獅子図屏風」が一番親しみがあります。今年は伊藤若沖展でホンモノの迫力と美しさに感動したのですが、これも観にいきたかったなあ。
投稿: ひろ009 | 2007年11月25日 (日) 18:56
ひろさん、こんばんは。
そういえば、京都国立博物館は少し高いところにあることもあって、夕陽が映えますね。煉瓦に夕陽、よく合います。そういえば、大阪市立美術館も西向きで開けてました。
狩野永徳展よかったですよ。
これは逃さないようにと狙ってました。
投稿: びんみん | 2007年11月26日 (月) 01:51
びんみんさん、こんにちは。ご無沙汰しています。
10月の末に、また神奈川引越してしまい、京都を離れました。
京都最後の晩、初めて京都タワーに登って、ライトアップされた国立博物館をみました。
こういう建物が残る京都は、素敵な所でした。国立博物館に行く機会は無かったんですけどね。
狩野派の絵は、実は苦手で、あまり見ないのですが、今回の作品展は良かった感じですね。
もう観る機会もなさそうですが。
投稿: てすこ | 2007年12月 3日 (月) 23:07
てすこさん、こんばんは。
ごぶさたしてしまっています。
また神奈川に引っ越されたのですね。
京都にいらっしゃる間に思ったほどお会いできなかったように思います。
京都住まいはいい思い出になりましたでしょうか。
狩野派の絵は私もちゃんと見たのは初めてです。
なんとなくイメージが良くなくて・・・
でも永徳展は良かったですよ。
投稿: びんみん | 2007年12月 3日 (月) 23:59